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ラストヒーローズ   作者: やましくないヤマシィ
日本蹂躙編
1/52

襲来

あの時は、こんなことになるとは考えもしなかった。こんな、、、ひどいことになるなんて……



「朝よーー!早く学校に行きなさーーい‼︎」

「んんーー」

はぁ、もう朝か。昨日は少しゲームをやり過ぎたかな。少し頭が重い。

「よっと」

ベッドからむっくりと起き上がる。

全く春先にゆっくり寝てられないなんて世も末だ。何で学校は朝始まるんだろうか。昼食った後なら目が冴えてるのに……。

なんて、馬鹿なことを考えつつ冷たい床に足を着け、ドアに向かう。


リビングに行くと母親が忙しそうに出かける準備をしていた。

「あれ、どっか行く用あったの?」

「昨日言ったじゃない、中学時代の同級生と久々に会うって。」

ん、あぁそんなこと言ってたかもしれないな。恐らく早くゲームがしたい一心だったから聞き流していたんだろう。

「夕飯は冷蔵庫の中にあるからね、あとお母さん今日はサエちゃん家で泊まってくることになったから。」

(はいはい、いつもの事ね)

うちの母はよく人の家で泊まってくる。他の男の家に行ってるんじゃないかと思ったことがあったけど、父親一筋な人だからそれはないだろうと以前結論づけた。

「あいよ、ゆっくりして来てね」

こちらとしてはその方が心置きなくゲームができて好都合だ。

早く寝ろだ、勉強しろだ言われなくて済むことほどストレスを感じないものはない。

「じゃあ行ってくるからね」


(ガチャ)

「行ってらっしゃ……」

「勉強して、早く寝るのよ」


……結局言われるのかよ……


朝ごはんを食べ、すぐに家を出る。今日はやけに鳥の声がうるさいな。そういえば、今日テレビで

『小型の隕石のようなものが近づいてきています。宇宙連合は、毎度のことながらうち落とす大気圏に入る前に、レーザー砲で焼くようです』

と、言ってた気がするけどそういう第六感的なものが鳥にもわかるのかな。

宇宙連合が出来てから100年ぐらい経つけど、彼らは探査機や戦艦やらを作って、地球以外の星へ行こうとしているらしい。なんか18年前、つまり俺が生まれる1年前に大きな事件があったらしいが、大人たちは皆その話をしようとしない。

おっと、自分の名前をいうのを忘れてた。俺の名前は薩美凌。17才だ。外見は、まあ太ってる、言っておくがデブでもメタボでもない、ちょっとぽっちゃりしているだけだ。お菓子だけでなく、野菜に米に肉を食っているんだから、健康体そのものだ。趣味はシューティングゲーム、一応は何作か世界ランク2位を取ったことはあることは、数少ない自慢の一つだ。今まで役に立った事なんて一度もないんだけどな。部活は何かって?『自宅及びご近所さんの安全そして交流を目的とした警備隊高等部』(帰宅部)ですが何か?要はやりたい人が玉を投げたり、走ったりすれば良いのだ。彼らは肉体が疲れ、俺は指先と戦略を考える脳が疲れる、というだけの違いなのだ。


学校に着くと、またいつものやつらが騒いでいる。

通称『イケてると錯覚をしている軍団』(俺しか言わない)だ。

その中でも茂部一もぶいち 航平こうへいは、イケメンでその上性格まで良いからクラスの中での中心的存在だ。要は僕の一番嫌いな属性の人間だ。全く、顔も性格も良いんじゃ勝ち目ないだろ。今だって女子を何人も相手にしながら話している。

(君は聖徳太子じゃないんだから全員の話なんか聴けねーだろ)

と、妬みつつ日々暮らしている。


そこにはクラスで一番可愛いと言われる綾月優香もいた。彼女は茂部一と同じく性格がいいことで知られ、また成績面でも優秀だと評判だ。一度くらいは話してみたいものだが……


「おーーい、凌ーー!」

「なんだよ、金作」

話しかけてくるのは剛力金作。その名に違わない筋肉質の男だ。

「お前、昨日の音楽番組見たか?まじでかわいいアイドルがいてさ……」

「へぇ、そりゃよかったな」

(はぁ、また始まったよ)

こいつは根は良いんだが、アイドルの事となると止まらなくなるんだ。そのせいかこいつには誰も寄ってこない、この俺を除いて。なんでかって?

「おいおいなんだよ、どうせお前だってぼっちなんだからもうちょい喋ろうぜ〜」

その通り、俺もぼっちだからだ。自分でも理由はわかっている、コミュ障なのだ。今から直そうと思っても難しいだろうから諦めている。

別に話すことが嫌いなわけじゃない。話すことがないから話さないだけだ。

(それをコミュ障と言われたら終わりなのだが……)


「キーンコーンカーンコーン……」

ようやく今日も5時間目の授業が終わった。

(後1時間かぁ、最後は英語で怖い教師だから寝れないしなぁ。

そう言えば今日は両親が帰ってくるの遅くなるって言ってたっけ。

よし、今日は経験値稼ぎまくるか……)

と思っていたその時だった。


「ウィィィィン、ウィィィィン、緊急事態宣言、緊急事態宣言!」


突然耳が痛くなるほどの大音量で警報がなった。


(なんだ?)


今までに聞いた事のない警報音にクラス中が驚いているようだった。いろんな方向から放送が流れ、クラスのスマホからも警報音が鳴り出した。


(地震の警報とは違うな)


そんなことを考えていた次の瞬間、

「ヒューーーン、ダァァァン」

先ほどの警報とは比べ物にならないほどの爆音が響く。

(なんかが落ちたのか?音が近かった気がしたが、落ちたとこに人がいたら大変だぞ。全く何が来たんだ?あぁ、朝言ってた隕石の一部か、しっかりしてくれよ連合さんよ、これだから…)

「おい、見ろよあれ!」

(ん?なんかあったのか?)

そう思って外を見た瞬間、、、体に震えが走った。

落ちた場所はうちの学校の校舎だった。ほぼ倒壊していた。それだけではない、落ちた隕石のなかから何かが出てきているのだ。まるで、生命体のようだ。

「おい、あいつらなんか持ってるぞ!」

(⁉︎)

見てみると、ああ確かに持っているのが見える。そう、それは銃のような形をしてた。

「スパァァン」

「どさっっっ」

それはほぼ同じタイミングだった。真っ先に発見した彼が床に倒れた音だった。

「「「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」

叫ぶ声が聞こえる。

(まずい、早く逃げないと)

直感的にそう思った。それは皆考えたようで、気付いた時には全員が走り始めていた。


廊下はカエルの卵が一気に孵化したかのように人がごった返していた。

うちの校舎はコの字型をしている。校門から、一年の教室棟、3年の教室棟、2年の教室棟と続いている。俺たち2年生は校門から最も遠いので、校門から逃げることは危険だろう。さらに悪いことに、うちの学校は警備のためか柵が高めに作ってあるので校門以外からは外には出られない。そこで僕が考えたのは、

(奴らがいなくなるまで隠れよう)

というものだった。

結局たどり着いたのは、2年の教室棟にある理科実験室の棚の中だった。


今同じ場所に3人がいる。

俺と金作と、もう一人は絢月優香だ。彼女はこんな僕から見ても可愛い。こんな時でなかったら、これほどまでにハッピーなことはなかっただろう。

俺がここに来たときにはすでに絢月さんは棚の中に座っていた。

開いたときに彼女にガスバーナーの土台で殴られ、しばらく棚の中でうずくまっていた。

その後、金作が棚の戸を開け、同じように殴られたのだが、筋肉があるおかげで「ん?」と一言言っただけだった。

誤殴するたびに絢月さんはものすごく謝ってきたが、今はそんなことに腹を立てている余裕はなかった。

「ね、ねぇ」

絢月さんが棚に耳をつけながらこちらを見てくる。

「ん、どうしたの?」

その表情はこわばっていた。


「うん、あのね……なんか近づいてきてる音がするんだけど……」

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