第二節 ターゲット
「もちょっと……近寄ってください。はい、いいです。……いっそのこと腕組みますか?」
で始まった12分45秒間のデート。実害がないうちは忠吉……もとい、佐久夜もまんざらでもない。
なにせ美人で清潔感があって、ドレスから覗く胸の谷間が彼女の形のよさと大きさを物語っている。そんな女がおでこがくっつきそうな距離でニコニコと自分に対して微笑みかけてくれているのだ。この瞬間だけを切り取ったら嫌がる男などいるわけがない。
相変わらず質問をすればとんでもない答えしか返ってこないが、とりとめのない自分の話をしだすと、彼女はどんなことでも笑顔で受け止めて聞いてくれた。
青空も濃い初夏の空を仰ぎながら、二人は談笑に花を咲かせて道を折れた。ややきつい勾配はあるが、その先には港の見える雰囲気のいい公園がある。
「どれくらいで公園ですか?」
「あと5分くらいかな」
「あ、じゃあそれまでに決着がつきますね」
「け……決着……?」
屈託のない笑顔で"また"意味不明なことを言われて、佐久夜は思わず組んでた腕を振りほどいた。
「あ、だめです。外に出ちゃ」
「ちょっとまてちょっとまてちょっとまて」
日傘の外で、一度深呼吸をした佐久夜は「ちょっと怖いんだけど……」という言葉を搾り出す。
「怖いですか?」
「怖いよ……」
「怖くないです。男の子ですから」
ムスカリアは両手を広げた。
「ほら、怪しいものなんて何も持ってないです。さわってみてもいいですよ」
「え……さわっていいの……?」
「はい、どうぞ」
彼女はキノコだから、人間にさわられるとかハエの体液が手のひらを汚すとか、そういうことをまったく気にしない。そして、妖精だからかは知らないが、どんなことをしても服装や肌に汚れが残ることはなかった。
ふかふかに広がったスカートのすそ……まさか拳銃などを持ち歩いているとも思えないが……。
佐久夜は腰の辺りのポケットを探ってみたものの、どうやらこのドレスにはポケットというもの自体が存在していない。映画などでふとももにバンドをして武器を隠し持っていたりする女性を見かけたことを思い出しても、さすがにこのシュチュエーションでこんな大きなスカートの中に手を突っ込むほど、この男子高校生はおっさんではなかった。
「公園に怖い男がいたりする?」
「いないです。わたしの知り合いに男の人はいませんです」
嘘をついているような目ではない。というか、目を合わせていると顔が上気して長く目が合わせられない。それほどに彼女の笑顔は魅力的であった。
思えばこの時、すでに佐久夜の中に、この娘への気持ちが芽生え始めていたのかもしれない。
公園は全体的に白を基調にしている。
空の青と水平線、海の群青に、その白い風景がまぶしく浮き上がっているように見えて、まるで天空に浮かぶ庭園のような爽快感があった。
「きれいですね」
ムスカリアはそういいながら、こんな塩分の多い場所では絶対に生きてはいけないだろうなと感じている。風はさわやかだが、塩を帯びて自分には重い。どっかから枯れていったりはしないかだけ心配になった。
「風強いから日傘が飛ばないようにね」
「はい、潮風で干からびないといいと思います」
「……」
意味不明すぎて怖い。
二人はそのまましばらくその庭園の一部となっていたが、やがて白と青の風景に不釣合いな黒い影に、二人の視線は止まった。風景や置物ではない。それは、娘だった。
明らかに様子は異様である。この透明な空間において彼女の周りだけに黒いもやがかかっているようだ。いや、比喩ではなく、本当に黒いもやが彼女を取り巻いている。どのようなトリックを使っているのか見当もつかないが。
褐色のドレスはムスカリアのものよりややタイトで、くもの糸が結束したような網目模様のファーで覆われていた。
「よっす」
声の届くところまで一直線に歩いてきたそのショートカットの娘は、どちらかといえばムスカリアのほうに手を上げた。その手はなぜか小刻みに震えているが、もはやツッコミどころとしては薄い。
「アルゲンティ?……珍しいですね。こんな昼間の外で会うなんて」
「仕方ないだろ。うちらの家系はガキとラリ坊と安パイしかいないからね。私が昼間にも働かないと勝ち目がないんだよ」
「知り合い?」
佐久夜がリアクションに困っている。ムスカリアも異様だが、このアルゲンティと呼ばれた娘はそれに輪をかけてもはや"怪異"と言えた。
「ええ、まあ、知り合いと言うか……アルゲンティ、今日は昼間にこんなところでなにをしてるんです?」
「さっき言ったので察せよ!! "競争"のために働いてんだよ!」
「ああ、がんばってください」
「他人事っぽく言うな。その獲物ちょうだいよ」
「獲物……?」
いぶかしげな佐久夜の声。
「だめです。これはわたしの獲物です」
「えものーーー!?」
その言葉を隣からも重ねられて、右からも左からも食われそうな錯覚に陥った佐久夜が思わず飛び退って距離をとった。
「ああ……日傘から出ちゃだめです」
「まてまてまてまて。獲物って?」
この女を見てるとそんな言葉にリアリティはなかった。が、もう一人の、よどんだ影を纏った肌色の悪い女を見ると、急にその言葉が現実味を帯びてくる。
「獲物って……?」
恐る恐る繰り返す佐久夜。すると返答は活発そうなほうの女がした。
「獲物は獲物だよ。ググればわかるだろ」
「アルゲンティ。獲物は他にもいます。わたしたちのことはほっといてください」
「そうはいかないんだよ。一回ツバつけた奴はもう獲物にならないだろ?」
すると"競争"の最後のほうは獲物を探すのを苦労するようになる。
同じ時間で別の目標を求めて1:1の割合で勝負を進めていくよりも、他人が見つけた獲物を横取りすれば1:0に抑えることができる、というのがアルゲンティの主張のようだった。
「せこいです」
「うるせーー!」
「これはわたしの獲物です。わたすのは嫌です」
「ちょっと待って。獲物……」
「そうはいかない。あたいがもらうよ。おいお前、そんなおたふくヅラやめてこっちおいでよ」
黒雲にまかれた女が少し気の強そうな笑顔を見せて佐久夜を手招きする。
「あぁ……そうか」
その時不意に、佐久夜に一つの可能性が浮かんだ。
「わかった。これ、なんかの番組だね?」
市民どっきりかなにかなのだろう。最近の映像技術は凝っているから、なにかの効果だと信じれば黒雲と共に現れた彼女が、だますという部分で逆にリアリティをなくさせてしまったといっていい。
自分が大きなリアクションをすればするほど、後々のテレビの前で笑う視聴者が増えるわけだ。そうはいかない。
「お前ら、俺のことナメてると痛い目にあうよ」
「ははーん、威勢のいい獲物だね。ポイント高そうじゃないの」
「調子に乗るなよ。テレビだってことはわかってんだぞ」
「テレビじゃないです」
「嘘つくなよ」
テレビなら蒸仮屋がこんなにきれいで奇抜な格好なのもうなずける。タレントなのだ。そりゃきれいだろう。
「まぁなんでもいいよ。こっちにおいで」
「忠吉さんはわたしがいいって言ってます」
「んなわけあるか無個性女。……おい、忠吉とやら、どっちか選べ」
「はぁ?」
また妙なことになってきた。実際選ぶとどうなるのか。番組は自分になにを求めているのか。あれか?一般人に変な二択を迫って心理を計る番組がどこかでやっていたが、あれなのか?
「人間観察ってヤツ? きれいでおとなしいお嬢様タイプと、人並みだけど活発で気さくな幼馴染タイプ、あなたならどっちを選ぶ?的な……」
「人並み言うなーーーー!!!」
アルゲンティが声を荒げると、彼女の纏っている黒もやがそれに伴って大きく膨張した。ムスカリアがむしろ佐久夜を心配しはじめる。
「忠吉さん、本当にテレビじゃないですし、アルゲンティをあまり怒らせないほうがいいと思います」
「いいよこんな奴。とにかくどっちか選べよ。……言っとくけど、あたいを選んだらものすっっっっっっごく気持ちよくしてあげる」
「え……?」
唐突なことをいわれて別の意味での動揺をする佐久夜。
「めくるめく倒錯の世界にご招待してやる。面白そうだろ?」
アルゲンティはモエギタケ科・シビレタケに属すキノコの妖精であり、中枢神経系の毒を有している。幻覚症状などを引き起こし、彼女の言うとおり人間を未知の世界へ誘うことができるのが特徴で、余談ながら、日本では"マジックマッシュルーム"の名を冠し、現在使用は法律で禁止されている。
「そんなねぇ、顔がいいだけのカマトト女なんてつまんないだろ?最高の時間をプレゼントしてやるからおいで」
「……」
その間に、もやが佐久夜の周りに忍び寄っていることには気づかない。
「言っとくけどそいつにはなにも期待しないほうがいいよ。それに引き換え、あたいなんて、もろすっぽエッチだよ」
「エ……エッチなの……?」
「すごいよ。異世界級ってことは間違いないね」
「……」
よく意味はわからないがすごい自信だ。佐久夜の魂がふらふらともう一人の女に流れ始める。確かにこの虫も殺せなそうな少女(殺していたが)では、どう転んでも官能の世界へご招待してもらえることはなさそうだ。
佐久夜は気がつけば、"番組"と言った自分を忘れて目の前の娘に見入っている。あるいは、すでにもやから発生している彼女の幻覚毒に冒され始めていたのかもしれなかった。
「……絶対に気持ちよくしろよ」
「ああ、約束するよ」
佐久夜はだらしない笑みを浮かべると、隣にいる不思議の国の少女のほうを向いた。そして気づく。
「じゃあそういうわけで……あ……」
ムスカリアは、じっとこちらを見ていた。
彼女は、笑っていた。でも……それは、多くの感情を噛み締めてなお浮かべる、そんなさびしそうな笑顔だった。
「あの……俺……」
「ごきげんよう。さっき、すこしだけ……期待しました」
それでも笑顔は絶やさない。ある意味で気丈な妖精の笑顔に、佐久夜は思わず目を背けて声を上ずらせた。
「俺……」
「どうぞ。いってください」
「俺……」
佐久夜がもう一度アルゲンティのほうに振り返る。ムスカリアを指差した。
「こっちのほうがかわいいからこっちにする」
「はぁ!?」
一瞬、彼女の髪が風もないのに揺らめく。
「ふざけんなお子ちゃま!! 世の中顔か!? 顔がよければそんなおかざりでもオッケーか!?」
間違った方向とはいえ、人間を喜ばせることが大得意な彼女である。見た目で女を判断されては彼女の自尊心も傷つこうものだ。
「むかつく! お前はあたいがいただく!」
怒声にまぎれて彼女のドレスに巻かれた菌糸が幾重にも分かれ、佐久夜目掛けて飛び出した。
「うわぁぁぁ!!!」
投げ網のように放射状に広がった白い糸が意思を持ったかのように佐久夜に迫る。そんな未知の体験に最善手で反応するほどこの男は優れてない。両手で顔を覆ったまま体を硬くしてしまったその判断は、菌糸の勢いを考えれば危険であった。
が、それが到達する直前、硬く目をつぶった彼は脇からものすごい力で引き寄せられた。
「うぉっぷ!!」
一瞬、やわらかいものに叩きつけられた感覚がしたかと思うと、佐久夜の顔は気がつけばムスカリアの胸の中にうずもれていた。高速で飛ぶハエを一瞬で落とした神速の腕に包まれたまま、彼の耳にはおっとりとした穏やかな彼女の声が聞こえてくる。
「人間に直接危害を加えるのはだめです」
「うるせー! その人間さっきからむかつく!」
「でも、わたしが抱きしめてる間は菌糸もだめです」
それは"きのこの山"が下したもう一つのルールだった。
人間に毒以外の怪我を負わせてはならない。キノコ同士が戦ってはいけない。
だから、ムスカリアに包まれている間、佐久夜には事実上、他の妖精たちは手が出せない。
「くっ……」
アルゲンティがあからさまに険しい顔をして二人を睨みつけた。するすると元のドレスに戻っていく菌糸。
ルールを破ればしばらくペナルティがつく。それはモエギタケを引っ張る彼女にとっては痛い代償となる。
歯軋りせんばかりに顔をゆがめた彼女は、作戦を変えざるをえない。
まず、叫んだ。
「おい人間! お前そのままいたらその女に食われるよ!」
「え?」
「その女の傘の中は毒の力場が働いてる。やられたくなかったら離れるんだね!」
右手と胸に抱かれている佐久夜が、身体をにじって、形の整ったムスカリアのあごを覗き見る。
「蒸仮屋さん……」
その言葉、何度か聞いた。いぶかしげに思いながら、何度も何度も無視してきたが、いい加減、現実のものと受け止める心構えができた佐久夜の目が、ムスカリアと合う。
一方彼女もその目がなにを訴えているのかわかっている。つくづく嘘のつけない無垢な瞳で、彼女はつぶやいた。
「食べはしないですが、毒が回るのは本当です」
「……」
その声はあまりに柔らかく、母親にあやされている気分さえしていた佐久夜にとって、"毒"を信じる気になっても恐怖はなかった。
「ナァ……俺って何でこんなに狙われてるの?」
「忠吉さんは、ターゲットなのです」
「ターゲット?」
「詳しくはいえません」
「じゃあ別のこと聞いていい?」
「はい」
「どうして俺がターゲットなの?」
「わたしたちが生き残るためです」
どういうことか佐久夜にはわからない。わからないまま、脳裏に浮かんできたことは一つであった。
「まてよ。お前らが生き残るために何で俺がやられなきゃならないんだ」
「……」
そのとっさに出た人間の心底が、妖精たちの胸を大きく貫いた。その人間の勝手さが自分たちにこんな作業を強いている。
「ほらな? 人間なんてこんなもんだよ」
暗黒を背負った娘が地面につばを吐き捨てた。
「自分たちが生き残るためには他が死んでもいいってハラさ。こんな奴らほんとに殺しちゃえばいいんだ」
温度、湿気、害虫、雑菌……山から下りてきた大型の獣まで、自分たちの環境に合わないものはすべて排除しようとする。キノコに、特に毒キノコに、住みにくい世の中をつくったのはこの人間たちの勝手な選別だ。
マジックマッシュルームと呼ばれ、かつて勝手にもてはやされたことのあるシビレダケの彼女にはその気持ちがひとしおなのかもしれない。
だが、一方のムスカリアは別のことを思ったらしい。彼を抱きしめていた右手をゆっくりと離した。
「わたしたちの仲間は本当はみんな、こんなことしたくないんです」
先ほど述べたとおり、この妖精たちの毒はあくまで自分を守るためのものであって、人を攻撃するためのものではなかった。
「だから逃げてください。アルゲンティはわたしが何とかします」
そして佐久夜を隠すように一歩進み出たムスカリアを、小刻みに震えたままの娘が苦い顔でねめつける。
「人がいいのも大概にしろよ。このおたふくヅラ!」
「いつも笑ってるおたふく様はステキだと思います」
「馬鹿にしか見えない」
「とにかくこの人は嫌がってるので手を出すのをやめます。アルゲンティもやめてください」
「……ヴィロサんとこの子って何でこんな馬鹿が多いんだろ……」
頭を抱えたい気分だった。今、自分たちが"競争"を忘れたところでこの男はターゲットなのだ。早晩別のキノコに狙われるのだから、何の解決にもならないのに。
「邪魔するんならただじゃおかないよ。アンタ、"モエギダケ"長女のあたいにかなうと思ってんの?」
「時間が稼げればいいと思います。ね、ほら、忠吉さん、行って」
「あ……あぁ、うん」
佐久夜はうなずくとおそるおそるを二三歩……そして一気に走り出した。
「行かせるか!」
スカートの菌糸に再び力が宿る。さながら白いくもの巣がロケット花火のように打ち出され、それが佐久夜のダッシュよりもはるかに速い速度で乱れ飛ぶ。
「!!」
周りを覆われ立ち止まってしまう佐久夜。しかしそれを再び包む赤い影。
「この日傘、お貸しします」
いつのまにか彼に追いついていたムスカリアが、傘を盾にしてにっこりと微笑んだ。
「蒸仮屋さん……」
その赤に阻まれて菌糸がスカートに戻っていくのを尻目に、大きな傘を開いたまま差し出して傾ける。
「この傘があればたぶん大丈夫です」
「いいの? なんか旦那にしか貸さないって」
「特別です」
その穏やかな笑顔を冷静に受け止められないまま、彼は彼女の手のぬくもりが残る傘に手を添えた。
「絶対返すよ」
「はい、それは本当にわたしの首なので、大事にしてくださいね」
そして彼を、背中で見送ることになったムスカリアがアルゲンティのほうを向けば、彼女は心底うんざりした表情を浮かべている。
「おい、いい加減にしろよ馬鹿おたふく!」
「おたふくでもいいですけど、わたしのほっぺたはそんなにふっくらしていないと思います」
「知るか馬鹿!」
スカートの菌糸がゆらゆらと揺らめいて今度は"おたふく"を威嚇し始めた。
そんな殺気の渦巻くここは土曜の公園であり、いつの間にか遠巻きに人だかりができていた。ただ、映画の撮影か何かかと思っているのか、一同声も上げないで見守っているのが救いか。
「こんなに人のいるところであんまり目立つと困ったことになります」
「くっ……」
そのとおりだ。妖精だとバレて顔が知れると後の仕事がやりづらくなる。
「しょうがねえ。あの男を追うかどうか……アレで決めよう」
スカートの菌糸がおとなしくなる。収まれば、見た目は単なる装飾品であった。
一方、ムスカリアは"アレ"と聞いて再び満面の笑みを浮かべてみせる。
「アレですか。いいですね。わたし好きです」
「あたいは嫌いだよ!」
しかしやむをえない。キノコ界に代々伝わる紛争を解決するための手法を用いて勝負を決す!
半身になるアルゲンティ。正面のままのムスカリア。
……右の拳に力を込めて、二人は同時に"印"を解き放った。
「ジャンケンポイーーー!!」
「あは、負けました」
……ジャンケンだった。三回勝負が正式で、ルールは人間と同じである。というかジャンケンというものは、もともと江戸末期から明治にかけて日本で成立したものとなっているが、実は今日のように気まぐれに現れる"キノコの娘"たちが行っていたものを人間が模したことが起源であった。妖精たちは毒をもっていても、戦う特技があったとしても、元来争いは嫌いなのだ。
それを平和裏に解決するために、ジャンケンは古来から妖精の間で行われている手段であった。
ともあれジャンケンだ。
二人は握手のできる距離まで近づくとおもむろに右手を出し合っていた。
グーとパーだから一本目はムスカリアが黒星となる。
「アンタはいきなりジャンケンするといつもグーなんだよね」
一勝を収めた娘が得意げに講釈をたれる。
「単純なのは自分でもわかってます。ジャンケンポン!」
チョキとパー
「でも、一回目出したのと絶対に同じのをアルゲンティは出すって知っていますか?」
「くそぉ!!」
相手を単純といった手前、余計に恥ずかしいアルゲンティ。これで1対1となった。