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胞子の傘に包まれて・・・  作者: 矢久 勝基
ベニテングダケの妖精 ムスカリア編
2/10

第一節 笑顔の妖精

「傘に入りますか?」

 モノクロといえる雨の夜道を、不釣合いなほどに華やかな風貌をした少女が彩っている。

 その声音はどこまでも柔らかく、不思議なほどに魅力的で、雨にぬれながら走る男をつい立ち止まらせた。

「入っていいの?」

「どうぞ」

 男は吸い込まれるように傘の中へ。おかげでYシャツを肌に貼り付ける不快な雨水の攻撃がやむ。

「ありがとう」

 ちょっとかがめば顔が届く距離だ。見ず知らずの娘と二人きりでそんなことになった経験などないこの高校生は思わずずぶぬれになった自分の容姿を気にしてしまっている。

「急な雨でしたからね。わたしもあわてて沸いてきました」

「沸いてきた?」

 その変わった表現を笑ったこの男の名は佐久夜さくやという。

「ところでこれって日傘……?」

「はい」

 パラソルのような大型の傘は暗がりでもわかるような真っ赤なものだった。日傘だと思ったのはそれに白いフリルがついているせいで、肩丸出しの白いドレスと相まって雨空に突如不思議の国のアリスでも現れたかのような強烈な存在感がある。

「学校帰りですか?」

「うん」

「家まで一緒に歩きましょうか?」

「いいの?」

「ええ、それまであなたが耐えられるなら」

「え?」

 やや長身の少女は男が走っていくはずだった方向を指差した。

「あっちですか?」

「ああ……うん。その傘持とうか?」

 それよりもさらに長身の男は言ったが、微笑を絶やさないこの少女は首を横に振る。

「これはわたしの首みたいなものですから渡せません」

「はぁ?」

「渡すとしたら旦那様になる方だけです」

「あ、そう」

 二人はすでに歩き出している。が、佐久夜は家の前まで送ってもらうのはやめようと決めた。

 大雨の中でのこの姿といい、ズレた言動といい、意味不明のやさしさといい……たった数瞬のやりとりで、彼女に家を知られるのはまずいという結論に達している。まさか幽霊……とまでは思わなかったが、何か面倒なものに取り憑かれてしまいそうな……そんな寒気を感じた。

(もったいないなあ……)

 かわいらしく整った顔つきだけに、そんなことを思ってしまう。

「その髪ってホワイトブリーチ?」

「いえ、地毛です」

「うそだろ」

「ホントです」

 ショートに切りそろえられた髪は透き通るような純白だ。嘘をついているようには思えないほどその声は毅然としているが、彼女のことを同じ国の人間だと信じている彼には信じられない。

「そういえばさっき俺が耐えられるなら、っていってたけど、どういう意味?」

「ああ、それは……」

 屈託のない笑顔はまったく動じない様子でさらりと言ってのけた。

「この傘の中にいると毒が回っちゃうんです」

「はぁ?」

「耐えられたら家に帰れます」

「……」

 佐久夜はしばらく質問をやめて黙る。

 雨が空気をかき分けていく音と、二人の歩く靴が道の雨水を割る音だけが耳を通り過ぎていく中で、あれこれとロジックを組み合わせていた佐久夜の頭はやがて一つの答えを出したらしい。すっと立ち止まった。

 一歩だけ余計に歩いて止まる少女。不思議そうに振り向く顔がかわいらしく、彼はもう一度もったいないなと思いながら、

「わり、ここでいいや。ありがとう」

 と言い捨て、いまだ降り続いている雨の中をバシャバシャと大きな音を立てて走り出した。

「あ! 待って獲物!」

 後ろから聞こえた声は考えてみれば恐ろしい意味を内包していたが、彼がその時逃げ出したのは決して"毒"や"獲物"というキーワードからではない。


「っっっっっっっっっっっかじゃないの!?」

 彼女たちの住む場所で、先ほどの少女を出迎えて溜めたっぷりの罵声を浴びせたのはヴィロサという名の彼女の姉だ。

「獲物に毒があることを教える馬鹿がどこにいるのよ!! あぁここにいるわね! 馬鹿ムスカ! 馬鹿ムスカ!……馬鹿が毒着て歩いてるわ!!」

「わたしの名前はムスカリアです」

 コロコロと愛嬌のある笑顔を浮かべながらまったく動じていないムスカリアは、立ち並ぶ木々の一つを背もたれにして地面に腰掛けた。

「わかってるわよ! お前はいつもいつもいつもいつもそんなだから毒が強くなんないのよ! 毒キノコのプライドないの!?」

「いずれ強くなります」

「そんなの待ってる時間はないのよーー!!」

……そんな、意味不明な会話を続けている彼女たちはキノコ妖精……正式には"キノコの娘"という名の精霊たちであった。

 あまり知られていないが、キノコというのはもともと妖精が宿る苗床であり、彼女たちはこの国の長い歴史の中で何度か気まぐれに姿を現している。

 古くは「竹取物語」に登場する「かぐや姫」。モチーフになったのはヤブニワタケの妖精「メントーサ」であり、彼女が中秋の名月を竹林から仰いでいた姿から物語が書き起こされたと言われている。

 "娘"たちは江戸……いや明治初頭まで、人間と身近な存在だった。だが、科学が発達していく中で、どちらかと言えばオカルト的な彼女たちは忘れられていき、今ではその存在を信じる者などいない。……どころか、時に人間をも支えた彼女たちの存在を今、彼ら自身が脅かしている。

 森林を伐採し、環境を整え、人間の住みやすい場所にしていくにつれ、彼女たちの住める場所は急速に圧迫されていた。その状況は深刻で、先日、キノコたちを統括する議会、通称"キノコの山"は恐ろしい取り決めをするに至る。

 すなわち、種族の間引き。

……キノコと言うのは食用・毒合わせて140種類以上が存在している。それが残った土地にひしめき合い、互いの毒で芽をつぶしてしまうことは愚かしい。

 であれば、生存するきのこの種を厳選し、少なくなった生息域でキノコという菌類の存続をなんとしても図る……というのが本旨であった。

「我キノコ、ゆえに我あり」

 で始まったその議会演説がテングダケ一族の長女、ヴィロサを戦慄させたのが一週間前である。

「キノコの一族単位で"競争"を行い、より強い種だけを残そう」と。負けた一族は存在自体を消されてしまうことになる。

 というわけで、なんとしても一族を挙げてその"競争"に打ち勝たなければならないと言う使命感が、頭から足まで純白の猛毒娘、ヴィロサをイラつかせていた。その余波で、今、長々と説明している間もずっと、"獲物"を逃したムスカリアに対する説教が続いている。

「……それなのにお前と来たら!! フリゴ! なんか言ってやって!」

 勢い余って二人の脇でわれ関せずを装っていたもう一人の少女に叱咤を煽ったが、フリゴと呼ばれたその娘はしばらくの無反応の後、はっとした表情で姉のほうを見た。

「え? なに?」

「聞いてなかったの!!?」

 彼女は自分の耳を指差して弁明する。

「よく聞こえないんだよ。音楽がうるさくて」

 その耳には黒くて丸い大型のヘッドフォンが張り付いていた。性能がいいのか音漏れは一切していないが、それだけに大音量で聞けば外からの情報力は皆無に等しいだろう。

「消せばいいでしょーーー!! こんな大切な話をしてるのに! この馬鹿フリギネア!」

「フリギネアって呼ばないで!」

「そういうことだけは聞こえるのね! ああーー、馬鹿妹たち!! お前たち結婚するとき披露宴で端から端までぶちまけてやるわ!」

 ヴィロサがそういうのなら本当にその日まで忘れないだろう。彼女のネチっこさにフリギネア……通称フリゴはうんざりしている。普段、天使のように優しいだけにその弱点が残念だった。

「あたしらお姉みたいに喧嘩っ早くないんだよ……いいじゃんわざわざ人間やっつけてこなくたって……」

「私たちの存在が消されちゃうのよーー!」

「だぁいじょぶだよ。キノ山だって本気じゃまさかそんなことしないって」

 議会の愛称を挙げて決定の真偽を疑ったフリゴはパタパタと手を振った。

 ヴィロサの視線がフリゴ、ムスカリアを映し、その気持ちがため息になって現れる。能天気な妹たちを持つとこんな場合は苦労するが、この姉にとって、その無邪気さが本当はかわいくてたまらなかったりもする。

 それだけになんとしても一族で生き残らなければならない。彼女は大きな帽子で表情を隠しながら、険しく中空をにらみつけた。


 議会は彼女たちの持つ"毒"を試すことでキノコの未来を賭けた。

 毒性が強ければそれだけ種として寄り付かせぬ武器を持っているということで、無作為に選び出された人間100名をターゲットに、彼らを彼女たちの毒で捉えた数で勝敗を決める。

 今の三人はその中でもテングダケ一族の妖精たちだ。一様に毒をもっているがためにこの活動に参加しなければならない。(なお食用キノコたちは人間たちが勝手に培養するので対象外)

 とはいえ、この妖精たちの"毒"はあくまで自分を守るためのものであり、努めて人間を"攻撃"するものではない。そういう特性も手伝って、彼女たちの士気はいまいち上がらないのも事実だった。

「いいわよ。お前が仕損じた学生はわたしがやってくるわ」

 ヴィロサは立ち上がった。

 この長女はムスカリアに比べても極端に強力な毒性を帯びている。先ほどムスカリアは佐久夜を自身の傘に入れて毒を注入していたが、あんなに長く異変がなかったのは彼女の持つ毒の弱さに他ならず、猛毒を有する彼女にかかればあのような手間も必要なかった。

 ちなみに一度他の妖精が捉えた人間は対象外となる。対象である100名のターゲットを早い者勝ちで捉えていくのが"競争"であった。

「ヴィロサ姉さま」

 その姉を見上げるようにして名を呼んだムスカリア。日傘を少し傾けて顔を覗かせると、

「わたしに任せてくれたのでしょう? わたしががんばるのです」

「だってお前はあまりやる気ないでしょ?」

「それは姉さまも同じでしょう?」

「……」

 ムスカリアも、言葉に詰まった姉の前にゆっくりと立ち上がる。

「いやなことは姉さまだけにさせないです。わたしだってテングダケの一族ですから」

 そんな妹の言葉を最後まで聞くのを待たず、ヴィロサは彼女に飛びついた。

「かわいい!!!」

 繰り返すが、ヴィロサは妹たちがかわいくて仕方がない。


 次の日はよく晴れた。

 ムスカリアの日傘が、今日は本来の役目を果たしている。

 昨日と同じ笑顔のまま、昨日と同じ道にたたずんでいる彼女は、昨日よりもはるかに早い時間に佐久夜の姿を見出した。日がやや西へ傾いただけの時刻……午後の空を背景に、二人は対面している。

「こんにちは」

「うわ」

「今日は早いんですね」

 今日は土曜日だ。高校で昼まで部活をやって帰る途中だった。

「っていうか、君は誰?」

「わたしですか? わたしはムスカリアです」

「蒸仮屋?」

 珍しい苗字だが、たしか本仮屋ナントカというタレントがいるから蒸仮屋がいてもおかしくはないだろう。彼はそう片付けて話を続けることにした。

「蒸仮屋さん、ひょっとして俺のこと知ってんの?」

「いえ、昨日会ったばっかりです」

「じゃあ、今日もここにいるのはたまたま?」

「いえ、あなたに会いたかったです」

「え?」

 佐久夜の胸が一度大きく高鳴る。ヘンな女だが美人だ。自分を待っていた……などといわれたら胸がときめいてしまうのも仕方がない。

「どうして?」

「わたし昨日ヘンなことを言ってしまったから……」

 どれのことだろう。すべての受け答えが変だったので彼女がなにを指してそういったのか見当もつかないが、佐久夜はとりあえずこの娘が自分で変なことを言っていたと認識していたことに少し安心した。

「ああ、気にしなくていいよ。昨日はいきなり走り出してゴメンね」

「それで、お詫びといってはなんですけど、どこかでお茶でも飲みませんか?」

「う……うん。いいけど……」

 明るいところで見る彼女はまるでどこかの貴族の娘であるかのような気品と美しさを兼ね備えている。佐久夜は別にこれといったモテ期のある男でもなく、このようなシチュエーションにそもそも慣れていない。

「なんかの勧誘とかじゃないよね?」

「勧誘はしませんです」

「じゃあ、どこ行けばいい……?」

「いいところを知っていますか?」

「うーん……」

 しゃれた店など無縁な男だ。

「メックバーガーでいい?」

「どこでも」

「行こう」

 佐久夜はギシギシとぎこちなく、帰る方向とは別の方向へ歩き出した。そんな彼にとって、笑顔を絶やさない彼女の格好は、いつの間にか「奇妙なもの」ではなく「きれいなもの」に変わっている。


 もちろん、すべて警戒を解いたわけではない。

 何かあればすぐに退散できるように、馴染みのある「メックバーガー」を選んだというのもあった。

「なに飲む?」

「アイスティーをいただきます。あ、わたしがお金は払います」

「いいよ。これくらいおごるよ」

 妖精も茶は飲めるし食べ物も普通に食べられる。種類によっては人間離れした容姿の妖精もいるが、そこでもムスカリアは普通の人間と変わりがなかった。

 対座する二人。一階、店の出口に程近い席だ。他にもちらほらと客がいて、もちろん女性もいたが、目の前にすわる少女のかわいらしさは、やはり群を抜いている。

「えっと……あのさ……」

 佐久夜のぎこちなさげな声が申し訳なさそうにあがる。

「はい」

 この娘の笑顔に気圧されながら、彼は続けた。

「店の中では日傘は閉じようか」

「あ……気づきませんでした」

 んなわけねえだろ……と内心では思うが、素直に閉じた彼女に追い討ちするつもりもない。

「蒸仮屋さんって何歳なの?」

 アイスティーにガムシロップをあけながら、まず切り出したのは佐久夜のほうだった。見た感じではほとんど年齢は変わりそうにない。すると高校生であり、そこから話を膨らませることができるだろう。

 ところが、

「歳ですか? 歳なんてないです」

「はぁ?」

 この娘に対して、彼は昨日から何度「はぁ?」と言ったか。質問に対するまともな答えが返ってきたためしがない。

「歳がないって言うのは……秘密ってこと?」

「秘密っていうか、ないです」

「ど・う・い・う・こ・と・な・の?」

「そのことは言えないことになっています」

「歳を?」

「いえ、歳がないことに対して秘密であることです」

 この妖精たちの掟である。人にキノコであることを教えてはならない。

「じゃあ……どこの高校かとかは聞いてもいい?」

「あ、ハエ!」

 その時、中空をさまよう黒い豆粒のようなものを彼女の笑顔が捉え、話が折れる。

「あぁ、ハエだね」

 無関心に答えた佐久夜の声はすでに彼女の耳には届いていない。瞳が、今おかれている環境すべてを忘れ去ってしまったかのようにハエを追ってぐるぐると動き、絶対に逃すかと言う気迫が感じられて佐久夜は黙った。店の明かりに照らされて赤く輝く瞳の色はこの国の人間にはない。

 ハエは、テーブルの周りをあざ笑うように飛んでいる。それを瞬きもせずに目で追っている彼女の顔を、佐久夜はただただ見ているしかなかったが、

「あのさ……」

 痺れを切らして彼女を呼んだ時、その右手が一瞬、何センチかずれた。

……ように佐久夜の目には映った。

 次の瞬間、店内に響き渡る「ばんっ!!!!」という大音響。

…………………

 続く静寂……すべての視線が、佐久夜たちのテーブルに向いていた。

「ケンカ?」とか言う声も聞こえてくる中、ムスカリアは満面の笑みを浮かべて嬉しそうにしている。

「やりました!」

「ええ!?」

……事に気づいたのは、彼女の小さな手がアイスティのカップに戻った時だった。

 テーブルの上でハエがつぶれている。どちゃっとグロテスクな扁平死体を晒していることも信じられないが、それ以上に、なにが起こったのかを予想すると、彼女の手の平に圧迫されてああなったと言う過程のほうが信じられない。

「いやですよね。ハエって」

「つーか……今、なにやった……?」

「え? 手で……こぅ、ばんってやりました」

「ぜんぜん見えなかったんだけど……」

「あの子達もすばしっこいです。たくさんつぶしてる間に手も早くなりました」

 顔色一つ変えずに、撃墜したハエを見て肩をすくめるムスカリア。

 もっとも彼女たちをそれぞれの席から囲む多数の視線にはそのハエすら見えない場合がほとんどで、なにが起こったのかわからないまま、ケンカではないことだけは認識して三々五々それぞれのテーブルに戻っていった。

「だってコイツ、飛んでたろ」

「はい、だからこぅ、捕まえて、ばんってこのテーブルでつぶしました」

「……」

 すると、何十センチかの距離を往復してテーブルの音が鳴るまで、佐久夜の目には何も映らなかったことになる。

「……ボクサー?」

「いえ、ボクサーじゃないです」

 明日にでも世界が取れそうだ、と、真剣に思える佐久夜。同時に鳴り響いたのが、昨日もそれをきっかけに逃げ出した脳内の警戒警報だった。

 この女、何かがおかしい。絶対に、おかしい。

 とりあえず景観が悪いのでテーブル脇にあるペーパータオルを何重にもしてそのハエを回収すると、愛想笑いを浮かべ、

「とにかく昨日のことは気にしてないから、気にしないでね」

「よかったです」

「家は近いの?」

「近くはないですけど、飛べばすぐです」

「……」

 もう気にしないことにしよう。そして、できることならこのまま関わりになるのはやめよう。

……表面的にはそんな意志を固めた佐久夜にムスカリアは笑いかけた。

「あの……そういえばなんて呼べばいいですか?」

「ん?えっと……忠吉ちゅうきち

「忠吉さん、わたしとちょっと直線距離の長そうな公園とかを歩きませんか?」

「え……?」

「今日は天気もいいから気持ちいいと思います」

「……」

「ね? わたしの日傘に入って……12分45秒くらいでいいんです」

「なにその具体的な時間は!?」

「UVカットもされてますから、日焼けにも安心です」

「いやあの……日焼けよりも12分45秒って……?」

「それくらいの時間はかかるだろうなって思うんです。あ、この際その公園に着くまでに12分45秒かかってもいいです」

「まてまて」

「お願いです。わたしと一緒に歩いてください!」

「……」

 その時一瞬だけ見せた彼女の必死さに目を見張った彼の喉を、生唾が通り過ぎる音がした。

 警戒警報が鳴って鳴り止まないのに押さえきれなくなる衝動。

……いい女を前にすると、男は馬鹿な生き物だ。

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