第8夜
〜無題〜
あなたがふっと笑う
その顔を見るのが好きでした
君がムキになって怒る
その表情を見てるのが大好きだった
〜雨降り〜
傘をささずに歩いてみる
空がさめざめと泣いている
雨が全てを洗い流してくれたなら
どんなに楽だろう
罪も
後悔も
記憶も
想い出も…
〜窓〜
四角く区切られた空を
ずっと見ていた
高く澄み渡る空に
いつか飛び立ちたいと
強く思っていた
窓辺に立ち
青い空を見上げる
白い雲が
やわらかく
微笑みかける
いつかあの空の下に
〜無題〜
手をつないで
ここから走りだそうよ
そう言って
君の手を握って走りだせばよかった
手を握って
ここから連れだしてよ
そう言って
あなたに甘えればよかった
手をつないで
手を握って
〜無題〜
空に星が綺麗
手をのばせば
届きそうな星たち
見上げるだけの
星空にしておけばよかった
手を伸ばすことなんて
しなければよかった
そうすれば
いつまでも手が届きそうなところに
星があったのに
手を伸ばしたが為に
届かないことを
知ってしまった
〜無題〜
後悔なんて
掃いて捨てるほどあるよ
ふぅん
私は掃いて捨てきれないほどあるわ
ためを息つく余裕すら
私にはないわ
〜忘れ物〜
あなたが忘れていった
一冊の小説を
パラパラとめくってみる
あなたが忘れていった
小説を
深く読んでいて気付いた
あなたが忘れていったのは
この一冊の小説ではなく
私のココロ
忘れていったのではなく
置いていったのだってことは
知っているけれど
もう少しだけ
忘れていったんだって
思っていたい
もう少しだけ…
〜無題〜
つまんない
こんな言葉を言って
あなたを困らせた
つまんない
あなたが居ないと