第12夜
〜無題〜
泣かないでください
ここであなたに泣かれてしまうと
何も言えなくなってしまうから
泣かないでください
あなたが先に泣いてしまったら
僕が泣けないじゃないですか…
別れを切り出しているのは
あなたなのですから
そんなに泣かないでください
そんなに泣かれてしまうと
別れたくないって
言えなくなってしまうじゃないですか…
泣きたいのは
僕のほうです
〜ホーム〜
駅のホームにたたずんで
君の姿を探していた
偶然に
逢えるのではないかと
期待なんて抱いたくらいにして
だけど
ここに君がいるわけなんてなくて
いつまでも一人でたたずんで
何本も電車を見送る
〜無題〜
空から雪が舞い降りて
季節の移り変わりを感じます
あなたが居なくなってから
もうどれくらい経つのでしょう
私はあなたが居なくなったことを
今でもまだ
時々忘れてしまい
今日も…
「初雪が降ったよ」
なんて電話をかけてしまいそうになりました
天国まで繋がっている携帯電話があれば
どんなにか良いだろうと
もう繋がらなくなった
あなたの携帯番号を見つめながら思います
〜無題〜
首都高から見える
東京タワーが
自分が東京にいるんだって事を
思い出させてくれる手段
だけど
首都高から見える
東京タワーを見ては
切なくなって
どうしても好きになれなくて…
気付いたら僕は
東京という街が
大嫌いになっていた
〜無題〜
優しい時間が流れる
この街で
僕は今日も生きています
独りぼっちになって
寂しいけれど
独りぼっちになって
初めて自分があなたにどれだけ支えられていたのか
知ることができました
この先に
答えなんてあるのかはわからない
だけど
今度あなたに会った時
色んなことを
話したいから
だから
いつだって新鮮な目で
色んなものを見続けたい
優しい時間が流れるこの街で
僕は今日も
歩いています