四天王の昔話 前編
いきなりですが、四天王たちがメインの過去のお話です。
電子都市リアリスの悲劇から約二週間前のこと。
手紙や切手も電子都市リアリスで遊んでいたとき、別のフィールドでは四天王が集まっていた。
「よかった。ちゃんと来てくれて」
心から嬉しそうにするのは、後衛戦士の桜城水月。その一番近くにいて、同じく喜んでいるのは攻撃術士の降千朝だった。
「本当に! 駆恋は全然来てくれないもの」
「…うるさいですわね。それは私の勝手でしょう」
桃色の長い髪を豪華に結った高校生くらいの少女は、そっぽを向く。『駆恋』という名の通り、可憐な容姿をしているが、その態度は悪かった。
「だいたいなんですの? 四天王で集まって意味なんかあるのですか? というよりレイは来ていないじゃないの!」
だんだんと苛立ちを見せ始めた駆恋は、その不満を表すように舌打ちをする。そんな彼女を眺めるように、優しく水月が声をかけた。
「レイはそろそろ来るはずだよ。…ほら、来た」
三人の視線が、やっと現れたレイに向けられる。
「…なんだ?」
いきなり全員に視線を向けられ、不快さを全開にしたレイが三人を睨んだ。それに耐えきれず、駆恋が声を荒げる。
「なんだ? じゃないでしょう!? 遅刻よ遅刻、大遅刻! 私をどのくらい待たせていると思ってるんです!?」
「悪かったな、あっちの仕事が長引いたんだ」
「反省していませんわね?」
まだ突っかかる駆恋に、思わずレイは深い溜め息をついた。それが駆恋の怒りの火に油を注いだようだが、すかさず朝が間に入る。
「まあ落ち着いてよ。そろそろ本題に入りたいし。今日は新しいステージのテストだよ? みんな準備はいい?」
「うん! さあ、いきましょう!」
楽しそうにする朝に引っ張られ、四人は場所を移動した。
「薄暗いね」
「うん、薄暗い」
「薄暗いですわ」
「…」
水月、朝、駆恋、レイは、テスト対象の新しいフィールドである『井戸』に着いた。
一応、井戸の中に入った洞窟のようなフィールドであるため、中は薄暗く四天王たちも不満げらしい。そのうえ道は狭く、人間が三人までしか横に並んで歩けそうにない。
そうすると、自然と四天王たちの列は決まっていた。
まず、防御力の一番高い駆恋が最後尾を守り、次に高いレイが先頭を務める。当初は駆恋とレイを逆にする案もあったが「駆恋を先頭にしたら、不安しかない」というレイの申し出により却下された。
そしてレイと駆恋の間に、朝と水月が並んで歩いている。
「そろそろこのフィールも終わりかな?」
数十分歩いたところで、朝が呟いた。
「そうだね。ということは強めの敵が来る頃かな」
弱い敵のほとんどは先頭にいるレイが片付けてしまうため、後の三人はただ歩くだけである。
それに不満をもったのは、彼女だった。
「ちょっと、レイ! ひとりで倒しすぎですわよ!」
「しょうがないだろう。一振りで終わるんだ」
駆恋の文句にも動じず、レイは大鎌を横に振るう。前方の広範囲を一度に攻撃できるうえ、レイの高い攻撃力では雑魚など空気と同じであった。
そして気付けば、四人はバスケットコート一面ほどの広い空間に出ていた。
「ここはまだ少しは明るいのね」
嬉しそうに朝が言うと、駆恋が気怠そうに頷く。
「そうですわね。それにしても手応えのない場所でしたわ」
「うーん、でも、ここからじゃないかな」
真剣な顔付きをした水月は、すぐに自身の武器である銃器を取り出し、肩に掛け始めた。
その水月を守るように、彼の前に出たレイも大鎌を構えている。
するとあまり待つことなく、この洞窟のような空間の奥から光輝く敵が現れた。
「…っ!? 眩しい!」
朝が苦痛そうな声をあげる。
突如現れたのは幅が五メートルほどある、立方体の敵。その全身が蛍光灯のように光を放ち、プレイヤーに眩しさを与えていた。
「全体的に薄暗いフィールドだったのは、こいつを引き立たせるためでしたのね?!」
眩しさに目を細めた駆恋が、悔しそうに言う。
そしてそれに反応したかのように、ついに敵は動き出した。
やっと四天王が全員出てきたので、各々のキャラクターのステータス一覧表のようなものを投稿する予定です。
いつになるか分かりませんが、もう少々お待ちください。