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混沌終焉、神龍の願いと勇者の覚醒

刹那、俺の脳裏に無限図書館からの新たな戦術提言が閃光のように流れ込んできた。

《対象の混沌エネルギー、その本質は「無秩序なる創造と破壊の繰り返し」。対抗するには、絶対的な「秩序」あるいは「無」そのものをぶつけるしかありません!マスターの「想像力」ならば、あるいは…!》

(秩序…無…!? そうか、混沌には秩序を、無には存在を…!)

俺は破滅的な光が肌を焼く寸前、ありったけの魔力と精神力を「想像力の申し子」スキルに注ぎ込み、イメージする。俺がこの世界に来て得た全ての経験、全ての力、全ての絆(たとえそれが今は亡き両親との記憶であっても)、それら全てを凝縮した「存在そのもの」の盾を! そして、その盾には、この世界のあらゆる法則を律する「絶対的な秩序のルーン」が刻まれる様を!

「イマジネーション・オーバードライブ! 『秩序の聖盾オーダー・アイギス』!!」

俺の眼前で、眩い白銀の光が凝縮し、複雑な黄金のルーンが刻まれた巨大な盾が出現する! それは、カオスドラゴンの放った混沌の奔流と正面から激突した!

ズウウウウウウウウウウウウウウン!!!!

空間そのものが引き裂かれるかのような轟音と衝撃波! 俺の創造した聖盾は凄まじい勢いで亀裂が走り、砕け散る寸前だったが、確かにカオスドラゴンの攻撃を――ほんの僅かだが――相殺した!

(いける…! 俺の想像力は、この化け物にだって通用する!)

希望の光が見えた瞬間、俺はすぐさま次の手を打つ。

(カオスブレスの耐性変動が厄介なら、全ての属性を同時に叩き込めばいい! そして弱点である聖属性を最大に!)

俺は〈エクスカリバー〉を天に掲げ、再び「イマジネーション」を発動。炎、水、雷、風、土、そして聖と闇。俺が知る、ありうる全ての属性エネルギーがエクスカリバーの刀身に渦を巻いて集束し、七色の混沌とした輝きを放つ。

「これがお前の混沌に対する、俺の混沌だ! 全属性融合奥義――『セブンス・カタストロフィ』!!」

七色の破壊光線がエクスカリバーから放たれ、カオスドラゴンの巨体に直撃する!

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

カオスドラゴンが、これまでで最も大きな苦悶の咆哮を上げた。その黒曜石の鱗が砕け散り、体表を覆っていた虚無のオーラが薄れていく。HPが見えないまでも、確実に大ダメージを与えた手応えがあった!

《対象のHP、50%以下に到達!「龍魂顕現ドラゴンソウルアウェイク」発動を確認! 全属性耐性無効化、与ダメージ2倍状態に移行!》

無限図書館の警告。カオスドラゴンの全身から、血のような紅黒いオーラ――龍魂――が噴き出し、その虚無の瞳が真紅に染まる!

「まだだ! まだ終わらせない!」

俺は予備の〈竜殺しの魔剣 - ドラグヴェイン〉をもう一方の手に抜き放ち、二刀流の構えを取る!

(全属性耐性無効化…! ならば、純粋な物理攻撃力と、対竜特効、そして聖属性が最大効率だ!)

龍魂を纏ったカオスドラゴンの動きは、以前とは比較にならないほど鋭く、そして重い。だが、その攻撃はより直線的になり、防御を捨てたかのようだ。

俺は紙一重でその猛攻を避け続け、エクスカリバーの聖なる斬撃と、ドラグヴェインの竜を屠る刃を、的確に叩き込んでいく。広大な虚無空間で、極限の死闘が繰り広げられた。何度も吹き飛ばされ、叩きつけられ、その度に〈ヒール〉と〈リカバリーフィールド〉、そして〈セレスティア・グレイス〉(自身への単体使用)を駆使して立ち上がる。

そして、数えきれないほどの剣戟の後、ついにカオスドラゴンの龍魂の輝きが揺らぎ始めた。

(今だ!)

俺は最後の力を振り絞り、二本の剣を十字に交差させ、渾身の力を込めてカオスドラゴンの胸、紅い第三の眼があった場所へと突き立てた!

「これで……終わりだあああああああああっ!!!!」

聖と竜殺しの力が合わさり、混沌の化身の核心を貫く!

「グ……ア……アアアアアアアアアアアア…………」

カオスドラゴンは、宇宙の終焉を思わせるような、長く、そしてどこか悲しげな最後の咆哮を上げ、その巨体から徐々に力が失われ、黒曜石の鱗が砂のように崩れ落ちていく…。


『レベルが上がりました』

『スキル「勇者」を獲得しました』

『スキル「神に近し者」を獲得しました』


名前: (前世の名前)

種族: ヒューマン

レベル: 38 → 48

HP: 12600/12600 → 15600/15600 (全快)

MP: 8400/8400 → 10400/10400 (全快)


【ステータス】

筋力(STR): S

体力(VIT): S

敏捷(DEX): S

知力(INT): S

魔力(MAG): S

幸運(LUK): S


【スキル】

〈無限図書館〉、「無限インベントリ」、「言霊理解ルーン・リーディング」、「氷寒耐性」、「灼熱耐性」、「雷撃耐性」、「烈風耐性」、「流水耐性」、「大地耐性」、「猛毒耐性」、「瘴気耐性」、「暗黒耐性」、「想像力の申しイマジネーション」、「囁きの回廊」、「勇者」、「神に近し者」


【魔法】

「ファイアーボール」、「フレイムランス」、「インフェルノ」、「ヒール」、「リカバリーフィールド」、「セレスティア・グレイス」、「ライトニングボルト」、「《サンダーストーム》」、「ルミナスジャッジメント」、「アクアショット」、「ヴァイパーストリーム」、「レヴィアタン・ウェイブ」


【称号】 「ゴブリンハンター」、「スライムハンター」、「ウルフスレイヤー」、「神獣殺し」(玄武、青龍、白虎、朱雀討伐により効果絶大に深化)、「スケルトンスレイヤー」、「ゴーストイレイザー」、「リッチスレイヤー」、「ドラゴンスレイヤー」


(レベルが一気に10も上がった…!? それに、勇者と、神に近し者…? とんでもないスキルだ…)


俺が呆然としていると、崩れゆくカオスドラゴンが最後の力を振り絞り、その虚無の瞳を俺に向けた。そして、その額の紅い宝玉から、一筋の黒い光が放たれ、俺の右手の甲に突き刺さった!

「ぐっ…!?」

激痛と共に、禍々しい紋様が刻まれていく。バッドスキル「混沌の刻印」だ!

その瞬間、俺の意識はカオスドラゴンのものと激しく結びつき、周囲の景色が歪み、真っ白い、何もない空間へと引きずり込まれた。


挿絵(By みてみん)


目の前には、先程までの禍々しい姿ではなく、どこか悲しげで、そして高貴なオーラを放つ巨大な龍の魂がいた。それは、黒曜石の鱗ではなく、まるで星々を散りばめた夜空のような、美しい瑠璃色の鱗を持っていた。

『…ようやく、この永い苦しみから解放される…』

その声は、無限図書館を通じてではなく、直接俺の魂に響いた。

(お前は…カオスドラゴン…いや、違うのか?)

『我が名は、かつては星詠みの神龍と呼ばれていた。だが…”ある理由”により、同胞の裏切りに遭い、混沌の呪いをかけられ、あの忌まわしき姿へと変貌させられたのだ…』

神龍は悲しげに目を伏せる。

『それを憐れんだ神々は、もはや救いようのなかった私を、この【神々の試練】の最奥、時の流れすら曖昧なこの異空間に封印した。いつか、この呪いを打ち破り、私を真の安息へと導く者が現れることを信じてな…』

(そうだったのか…お前も、被害者だったのか…)

『若き魂よ。お主は見事に私を打ち破り、呪縛から解放してくれた。心から感謝する。そして…一つ、頼みがある』

神龍は、その瑠璃色の瞳で真っ直ぐに俺を見つめる。

『この世界には、私と同じように、あるいは異なる理由で呪われ、苦しみ続けている同胞の龍たちが、各地の秘境に封じられている。彼らはもはや救いを求める声すら上げられぬ。どうか、お主の手で、彼らにも安息を与えてはくれまいか…?』

(呪われたドラゴンを…眠らせる…?)

『そのために、お主には呪いとなってしまうやもしれぬが、我が力の残滓である「混沌の刻印」を刻ませてもらった。それは、呪われた龍たちの気配を辿る道標となるだろう』

(俺の了承もなく、か…)

俺は腕を組む。自分としてはまだ、この世界での明確な旅の理由は決まっていない。何をすべきか、どこへ向かうべきかも。

「…正直に言うと、俺はまだ自分のことで精一杯だ。いつ、お前の同胞たちを助けに行けるかは分からない。それに、その刻印が本当に呪いじゃないという保証も…。それでも、いいのか?」

神龍の魂は、ふっと穏やかに微笑んだように見えた。

『片手間でも良い。もし、何かの折に思い出したり、彼らの気配に気づくことがあればで良い。どうか、我が同胞たちの魂にも、安息を与えてやってほしい…刻印の真の意味は、いずれお主自身が知ることになろう』

その言葉と共に、神龍の魂は眩い光に包まれ、ゆっくりと天へと昇っていくように消えていった。まるで、本当に成仏したかのように。


ふっと意識が戻ると、俺は元の虚無空間に立っていた。カオスドラゴンがいた場所には、ただ静寂が広がっている。

俺は右手の甲に刻まれた「混沌の刻印」を見つめ、無限図書館に鑑定を依頼した。


《解析中……対象:混沌の刻印》

《識別結果通知》

名称: 「混沌の刻印」

分類: 特殊契約スキル/神龍の遺呪(★★★★★★★)

◆スキル概要:

「混沌の刻印」は、神龍が死の間際に託した願いと、その広大無辺な混沌の力の一端を具現化する特殊スキルです。この刻印を持つマスターは、以下の能力の恩恵、あるいは影響下に置かれます。

1.呪われし龍の感知: 世界各地に封じられた「呪われたドラゴン」及び、それに類する強大な負の存在の気配を広範囲に渡って感知し、その位置を大まかに特定します。

2.混沌への親和と調停: 混沌属性のエネルギーに対する微弱な耐性と、それを部分的に調停し、安定化させる可能性を秘めます。これにより、呪われた龍の怨念や祟りを和らげ、対話の糸口や、彼らを安息へと導くための手がかりを得る助けとなるでしょう。

3.魂の共鳴(未覚醒): この刻印はマスターの魂と深く結びついており、特定の条件を満たすことで、さらなる能力が覚醒する可能性があります。

備考: これは呪いであると同時に、神龍からの切なる願いであり、祝福ともなり得る力です。その力の意味を真に理解し、使いこなすのはマスター次第です。


(…とんでもないものを、また背負い込んだのかもしれないな。呪われたドラゴンを救う旅、か…)

俺は苦笑しつつも、右手の甲に刻まれた「混沌の刻印」を見つめる。それは禍々しくも、どこか悲哀を帯びた神龍の願いそのもののように感じられた。


ふと、無限図書館が新たな情報を告げてきた。

《警告:この異空間「終焉の座」は、主であったカオスドラゴンの消滅に伴い、その存在基盤が急速に不安定化しています。空間崩壊の兆候を検知。マスターの安全のため、速やかなる脱出を推奨します。》

(空間崩壊!?)

見渡すと、永遠に続くかと思われた虚無の空間の彼方に、今まで存在しなかったはずの、揺らめくような「光の裂け目」が見える。それはまるで、この閉ざされた世界と外の世界を繋ぐ唯一の出口のようだ。

《あの光の裂け目が、現在の最も安定した脱出経路と推測されます。》

無限図書館の言葉に促されるように、俺はその光の裂け目へと駆け出した。


この長かった【神の試練】も、これで本当に終わりを迎えるのだろう。数々の死闘、手に入れた力、そして予期せぬ使命。

俺は大きく深呼吸し、その裂け目へと飛び込む。この先に何が待っているのか、まだ分からない。新たな冒険か、それとも更なる試練か。

だが、俺には「想像力の申し子」の力と、Sランクのステータス、そして「勇者」と「神に近し者」という新たなスキルがある。

(どんな未来が待っていようと、俺は俺の道を行くだけだ)

決意を胸に、俺は光の中へとその身を投じた。この異世界での、本当の冒険は、あるいはまだ始まったばかりなのかもしれない――。



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