表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/20

深層への階梯、成長と試練

「無限インベントリ」という新たな、そして強力無比なスキルを手に入れた俺は、もはや物資の運搬に悩む必要はなくなった。〈セレスティアルルーンマップ〉が示す最短ルートを辿り、宝箱を回収しつつ、ダンジョンのより深い階層へと突き進んでいった。


第三階層から下は、出現する魔物の種類が一変し、その強さも明らかに増していった。

瘴気を纏う狼〈マッドウルフ〉の群れに遭遇した際は、その遠吠えと共に撒き散らされる毒の瘴気と視界不良に苦戦を強いられた。しかし、鑑定で弱点が火属性と判明していたため、〈フレイムアークソード〉で炎の渦を作り出し、「燃えろッ!」と心の中で叫びながら瘴気を焼き払いながら一体ずつ確実に仕留めていった。


より大型で連携を得意とする〈ディアウルフ〉の群れは、その高い機動力と強靭な顎で何度も俺を追い詰めた。鑑定結果の「弱点:刺突(急所は首筋)」を頼りに、フェイントを多用し、炎の斬撃で牽制しつつ、一瞬の隙を突いて「そこだ!」と念じ首筋に剣を突き立てる戦法で辛くも切り抜けた。


火山洞窟のような灼熱のエリアでは〈ファイアスライム〉が、氷で覆われた通路では〈アイススライム〉が待ち構えていた。それぞれの弱点属性を突き、時にはSランクの筋力でゴリ押ししながら進んだ。


森のような構造の階層では、硬い甲羅を持つ〈ビートルガード〉の群れに手を焼いた。斬撃は甲羅に弾かれ、奴らの突進「シールドチャージ」は威力が高い。鑑定で刺突が弱点と分かってからは、隠し部屋の宝箱から手に入れた三ツ星の〈スチールスピア〉に持ち替え、「貫け!」と気合を込め甲羅の隙間や関節を狙うことで撃破数を重ねた。


洞窟の天井からは〈ダンジョンバット〉が、花の香りがする美しい中庭のような場所では〈ヴェノムワスプ〉と〈ヴェノムホーネット〉の巣が襲ってきた。いずれも〈フレイムアークソード〉の広範囲攻撃で対処したが、一歩間違えれば窮地に陥る場面も少なくなかった。


これらの戦いを通じて、俺は様々な三ツ星クラスの武具や防具、アイテムを手に入れていった。頑丈な〈ナイトシールド〉、動きやすさと防御力を兼ね備えた〈シャドウレザーアーマー〉、毒耐性を上げる〈サーペントリング〉など、鑑定でその効果を確かめながら装備を更新し、無限インベントリに予備や素材を際限なく収納していく。


どれほどの時間が過ぎたのか、もはや感覚が曖昧になっていた。昼も夜もないダンジョンの中で、戦闘と休息、そして探索を繰り返すうちに、日付の感覚などとっくに失われていた。ただ、確実にレベルは上がり、俺は少しずつだがこの世界の理不尽なまでの暴力に慣れ始めていた。

そして、数えきれないほどの魔物との死闘を乗り越え、いくつもの階層を踏破した俺は、ついにダンジョンの第十階層へと続く階段の前に立っていた。

ここまでの道程で、レベルは19まで上がっていた。スキルや称号に新たな変化はなかったが、確実に俺は強く、そしてこの世界の戦闘に順応してきている。


「ステータスオープン」


名前: (前世の名前)

種族: ヒューマン

レベル: 19

HP: 6900/6900

MP: 4600/4600


【ステータス】

筋力(STR): S

体力(VIT): S

敏捷(DEX): S

知力(INT): S

魔力(MAG): S

幸運(LUK): S


【スキル】

「鑑定」、「無限インベントリ」


【称号】 「ゴブリンハンター」、「スライムハンター」、「ウルフスレイヤー」


挿絵(By みてみん)


(よし、だいぶ強くなったな。第十階層…ここからが本番、というやつかもしれないな)


俺はステータス画面を閉じ、改めて自分の能力値、特にHPの数値に目を向けた。現在HP6900。これまで戦ってきた魔物たち――ホブゴブリンでHP約150、ディアウルフでもHP約200程度だった。俺のHPは、彼らの実に30倍以上の数値だ。


(このHPの差は圧倒的だな…。最初に願った「健康で頑丈な体」のおかげなのは間違いないが…。しかし、このレベルとHP/MPは、一体どこまで上がるんだろうか? いつか、その限界も確かめてみる必要があるかもしれないな。…まあ、色々と考えたところで、今の俺にできるのは進むことだけか。しかし、あの段階で無限インベントリがなくて、あの重い袋をずっと抱えてたら…それはそれで地獄だったろうな。ある意味、今あってよかった…かも?)


そんなことを考えながら、俺は深く息を吸い込み、新たな戦いに備えて気を引き締めると、第十階層への階段をゆっくりと降り始めた。


第十階層に足を踏み入れると、これまでの階層とは明らかに空気が違うのを感じた。壁や天井の自己発光は弱まり、通路全体が薄暗く、ひんやりとした湿った空気が肌を刺す。しん、と静まり返っている。自分の足音と、時折どこからか吹き抜ける微かな風の音、そして床の石がパキリと小さくひび割れるような音以外は、何も聞こえない。時折、地面からズン…と微かな振動が伝わってくる気もする。〈セレスティアルルーンマップ〉は相変わらず正確に周囲の構造を映し出しているが、そこに示される魔物の反応が極端に少ない。まるで、何か強大な存在が他の生物を寄せ付けないかのように。

マップが示す「重要地点マーキング」は、この階層の中央付近に一つだけ。そこを目指して進むと、やがて通路の突き当たりに、ひときわ巨大な両開きの石扉が姿を現した。

扉は黒曜石を思わせるような黒光りする石材で作られており、表面には威圧的な、それでいてどこか神聖さも感じさせる複雑なレリーフが施されている。周囲には他の扉や通路は見当たらず、この扉だけが異様な存在感を放っていた。明らかに、今までの隠し部屋の扉などとは格が違う。


(…ボス部屋、か?)


ゴクリと喉が鳴る。ふと、あの何もない空間で「声」が言った言葉を思い出す。『貴方の願いを聞いて転生させてあげましょう』…そして、俺が願ったいくつかのこと。丈夫な体、消えない記憶、不屈の精神、ゲームのようなコンソール、そして、ALL-Sのステータス。あの時の選択が、今の俺をここに立たせている。あの〈フレイムアークソード〉を手に入れた時の高揚感も新しい。全てが、この先へ進むための布石だったのかもしれない。

俺はこの威圧的な大扉に対して、意識を集中し「鑑定」を発動した。

瞬間、掌にこれまでで最も強い魔力の流れ込みを感じ、周囲の空気がピリッと張り詰めたような感覚と共に、どこからか微かな石の軋む音がした。扉の上に淡い金色の光と共にウィンドウが現れる。


名称: 〈第十階層神獣守護域・封印の大扉〉

分類: 特殊結界扉/神造ダンジョン構造物(★★★★★★)

備考: 神代の時代に封印されし「何か」を守護する領域への入り口。開門には対応する〈神門開扉石〉、あるいはそれに匹敵する解錠手段、もしくは圧倒的な「力」が必要。内部には強大な守護者が存在する可能性が極めて高い。


(星、六つ…!? やっぱりボス部屋で間違いなさそうだ。しかも「神獣守護域」だって?…おいおい、神獣ってなんだよ、神の獣か? ヤバそうな響きしかしねぇぞ…)


鑑定結果が、この先の戦いがこれまでの比ではないことを物語っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ