96話目
リナさんが起きたのは、結局次の日の朝になってからでした。仮眠ではなく、普通に熟睡でしたね。夜の暗い間に移動する必要は無かったので、普通にリナさんの回復に時間をあてた感じかな。私とアオイさんは、リナさんとは別室で小声で会話をして夜を過ごしました。
「うーん、すっきりした! ってもう朝じゃん!?」
「あっ、リナさん。おはようございます。夜に移動するのも暗くてあぶないので、朝を待った感じですね」
「そうなの? でもごめんね、待たせて。おかげで元気いっぱいだよ!」
「私達の準備は出来ているので、リナさんが良ければ出発ですね」
「オッケ、大丈夫だから出発しようか」
「では、リナには自分で自分の荷物を持ってもらおうか。私とカエデで集めてきた食料が入ったバッグだ。要らないものがあればここに置いて行ってもいいぞ。とりあえず、確認するといい」
アオイさんがリナさんに私たちが昨日持ち帰った保存食を渡す。リナさんは好き嫌いは無く、食料の貴重性を考えてか、すべてのものを持っていくことに決めたようだ。バッグの中にすべて入っているから、特に選別する必要が無いってこともあるかもしれない。
「準備はいいようだな。じゃあ、出発だ。神奈川まで約40キロほどなら、午前中には着くか?」
「あー、普通にいけば多分、県境に誰かいると思うよ。その時は私が対応するけど、間違っても攻撃を仕掛けないでよね?」
「誰がわざわざ戦いを挑むものか。・・・なぜ県境に人を置いているのだ?」
「監視ってことになるのかな? 街から逃げ出した人が勝手に他の街へ入り込まないようにっていうのが建前。実際は、自分の治める街を誇示するためって感じかな? 逆に言えば、県境に誰も居ないなら、そこは誰も治めていない場所ってことになるよ。使徒の庇護下にない場所でただの人間が生きられるわけないから、実質無人の場所ってことになるかな」
「ということは、最大で13の都市しか守られていないということか?」
「それもどうだろ。もしかしたら、ランク3の誰かが勝手に支配してるかもしれないけどね。まあ、そういう余裕があるかどうかはさすがに分からないけど、可能性の話だから気にしないで。少なくとも私はそういう話は聞いてないから」
「ふむ。ということは、少なくとも使徒の治める街であれば、ユカリ君やアヤヒ君が来たかどうかは聞けそうだな」
「とりあえず、最初は私に任せてよね」
リナさん、いつの間にか、かなり私たちに協力的になってる。少し、裏切る心配をしていたんだけど、今の様子だったら大丈夫かな? 思えば、昨日、私たちが家を留守にした時に逃げようと思えば逃げられたはずだし。・・・それすら思いつかず、本当に熟睡していたのなら話は別だけどね。




