91話目
「痛ーい、うぇーん、痛いよー!」
リナちゃんは泣いていた。それも、号泣っていう大人がしたらダメなやつ。アオイさんの攻撃は致命傷にはならないが、痛みはある。何度も何度も体を切られ、その痛みにとうとうリナちゃんは戦闘をやめて泣き出してしまったのだ。姿も、カメレオンの姿から元の幼女の姿に戻っていたため、私たちも攻撃するのをやめた。
「あの・・・そろそろ泣き止んだらどうですか?」
「そうだ。いい大人がみっともないぞ。再生は終わっているのだから、もう痛みなんてないだろうに」
「痛かったんだよー! 痛いのは嫌なのよー!」
いままで攻撃を受けたことがそれほどないのか、どうやら痛みに弱かったみたい。
「だったら、本当の情報を教えてもらおうか。嘘をついたら、どうなるか分かるよな?」
アオイさんはメスをリナちゃんの顔の前でゆらゆらと振る。リナちゃんの目はその刃先を追い、顔を青くした。
「わ、分かったからもう切らないで・・・」
「それは、お前の態度次第だ」
なんか悪役みたいな感じになっているけど、アオイさんは真剣にリナちゃんを尋問していく。
追加で分かった情報は、ほとんど私たちに関係ないものばかりで、マリアさんの居場所も知らないということだった。
「うぅ、もう、帰っていいですか?」
「今更帰すわけないだろう? お前には、神奈川で私たちの顔つなぎをしてもらう」
「えぇぇ、うぅ、分かりました・・・」
リナちゃんは、一瞬嫌そうな顔をしたけど、アオイさんがポケットからハサミを出すと一瞬で従順な態度になる。これは、尋問中にこりずに嘘をついたので、アオイさんが容赦なく刃物を肌に突き立てた成果の賜物だった。リナちゃんは完全に刃物恐怖症になっている。とりあえずリナちゃんは噓をつくときに目が泳ぐ癖を直したほうがいいと思う。そういう癖があるのを教えはしないけど。
「さて、とりあえずこいつのことは置いておいて、せっかくユカリ君の元へ来たのだ。改めて本物かどうか確認しようじゃないか」
「そうですね。それにしても、探していた割に、こんなに堂々と立っているユカリさんに気が付かないものでしょうか?」
「どうなんだ、リナ?」
「えっと、はい。この辺りは、野良の使徒が居るのであんまり詳しく調べられていませんでした」
「そうか。だとしたら、逆にここ以外は調べて、そのうえで見つかっていないということなら、もうアヤヒ君もユカリ君もこの近くに居ないということだろうな。このユカリ君が本物ならいいのだが」
「あっ、頭に花が咲いてる。邪魔そうだから、とっちゃいますね」
リナちゃんは、ユカリさんの頭の上に咲いていた一輪の花を、舌を伸ばしてちぎり取った。手が届かない場所はどうやら舌を伸ばして取るらしい。
「あああああ!」
「ユ、ユカリ君が・・・」
「え? 私、何かまずいことやっちゃいました?!」
花を取られたユカリさんは、あっという間にしおれてしまった。




