81話目
アイラさんとの話が終わると、アイラさんは護衛の人を呼んで私たちを古着を保管してある部屋へ案内するように命令してくれた。護衛の人は、部屋に入ってきて壁に大きな穴が開いているのを見て絶句していたけど、アイラさんが何も言わないからか追及することはなかったみたい。
「ここに都内で無事だった衣類がすべて保管されている。アイラ様から、好きなものを与えるようにとおっしゃられた。だから、衣類の持ち出しを許可する」
「ありがとうございます。うわー、こんなに多く服が置いてあるのを見るのは初めてです」
「サイズごとに分けて置いてあるから、自分のサイズの棚を探すといい。持ち出さないものは元の棚に戻すように」
「分かりました」
「私は外で待っている。何か聞きたいことがあれば声をかけてくれ」
「はい、ありがとうございます」
護衛の人はそう言うと、部屋の外へと出て行った。ここには下着類はなく、本当に服だけのようだ。Sサイズからフリーサイズまで棚ごとに分けて置いてあるけど、サイズ以外は無頓着なのか、種類は雑多に置かれている。スカートとズボンは別棚みたいで、とりあえず上着から探そうかな。
「私もカエデの制服を探そう。サイズはSか?」
「はい。もしあれば、今私が着ているものと変わらないはずです。アオイさんは服はいいんですか?」
「私は別に服にこだわりはないが、目立たないよう普通のシャツと下着があれば十分だな」
私たちは棚の前と後ろから手分けして制服を探した。そして、運がいいのか同じ制服が見つかった。
「ありました! 制服はスカートもセットで置いてあったので、スカートを別に探す手間が省けました」
「それはよかった。私もついでに自分用のシャツを見つけることができた。多くは要らないから、必要最低限だけ持っていこう」
「そうですね。もう何着か同じものが置いてあるので、破けたりしたらまた分けてもらえたらいいんですけど」
「移動手段が無いから、戻るのには時間がかかりそうだがな」
交通手段はまだ復活していないようで、車や電車は使えないみたい。車は、ガソリンが無ければただの鉄の箱でしかないよね。何より、道路の舗装も修理されてないし、雑草なんかも生えているから、今の道路を普通の車で通行するのは難しそうだとわかる。
「ありがとうございました。無事、服を見つけることができました」
私は、制服を入れたカバンを見せる。カバンもここでもらったものだ。さすがに、制服はアオイさんの白衣のポケットに入らない。
「そうか。よかったな。建物の外までは送ろう」
「ありがとうございます」
護衛の人は、特に私たちの詮索もすることなく、仕事に忠実なのか、見送りをしてくれた。




