79話目
「まずは、この世界のことを教えてほしい。具体的には、こんな世界になった時から」
「そんな体になっているんだから、あなたたちも当事者でしょう?」
「いや、私たちはお前達とは違う」
「そう。その辺にマリア様があんた達を排除するように言った理由がありそうだけど、まあいいわ。どっちにしろ私には達成できないことだし」
「では、話してもらおうか」
「わかったわ」
アイラさんは、どこから話したものかと少し首を傾げた後、話し始めた。
「正確な年月は私にもわからないけど、大体10年ほど前かしらね。急に人間がミイラ化する事件が発生したの。随分とワイドショーやらニュースやらを賑わせていたけど、ある日、私の前にマリア様が来られたわ。ちなみに、私とマリア様は親戚よ」
「なるほど。その辺は何となく予想はついていたが、本人の口から聞くことができてよかった」
「予想していたの? そう。それなら、細かい話は要らないかしら?」
「いや、私のはあくまで推測だから、真実を聞かせてほしい」
「分かったわ。マリア様は、私に少量の赤い液体の入った小瓶を渡して、こう言ったわ『これから世界が変わりますわ。その中心に居たければこれを飲みなさい』って。私の性格を多少は知っていただろうから、そう言えば私が飲むって分かっていたみたいね。実際に飲んだし」
「その赤い液体と言うのはなんだ?」
「その時はわからなかったけれど、今ならわかるわ。マリア様の血ね」
「血・・・ですか?」
「ええ。ただ、人間の血とは違ったから、その時は分からなかったのよ」
「味が違うということか。まあいい、続きを」
「血を飲んだ瞬間、私は気絶したわ。気が付いたら、もうマリア様は居なかったけれど、気絶することが分かっていたのか、手紙が残されていたの」
「その手紙は?」
「読み終わったら処分しろって書いてあったからもう処分したわ。内容は、私にこの地を治めろって内容と、マリア様の目的ね」
「マリアの目的・・・? それはなんだ?」
「世界平和。笑う者も居るでしょうけど、私は笑えなかったわ。実際にこんな体になったのだから。具体的には、人類を選別し、力を持つものだけで世界を治めるという内容ね」
「それで、今、マリアは何をしている?」
「きっと、日本以外の国を滅ぼしているでしょうね。なぜかは知らないけど、力を得られるのは日本人の中でも特定の人だけみたいだから」
(なるほど。マリアの血筋から遠い外国人では、きっとナノマシンに適応しないのだろうな。日本人ですら、全員が対応できるわけではないしな)
私たちは、現状について徐々に理解していきました。




