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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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8話目

「ごちそうさまでした!」


 カエデは満足そうにカップを机に置く。未可子は机に置いてあるゴミを見る。


(まるで、洗ったかのように綺麗ね)

 

 ピザの切れクズどころか、チーズの欠片、ポテトの欠片すら無い。カップラーメンの汁までも飲みつくされている。カエデの食料に対する執念には恐ろしいものを感じた。


「それだけ食べられるのなら、食べきったら無料のお店で挑戦した事とかあるのかしら?」

「無いですね。そういうお店は近くにありませんでしたし、もし残しでもしたら支払いできませんから、怖いですよ」

「ああ、食べきれなかった事を考えたらそうね。それじゃあ、ゴミはそのままにしておいていいから、あなたの部屋へ案内するわね」

「部屋があるんですか?」

「そうよ。ワンルームマンションかビジネスホテルの様な狭い部屋だけど、大丈夫そう?」

「はい。むしろ、掃除をする手間が少なくて済むのでいいと思います」

「掃除はしなくていいわ。検査なんかで部屋を出た時にすべて専門の職員が掃除するから」

「そうなんですか?」

「そうよ。それじゃあ、ついてきて」


 未可子は部屋の電気を消して移動を開始する。その後ろを、カエデが着いて行く。階段があり、下へと降りていく。窓が無く、階数表示も無いためここが何階かは分からないが、思ったよりも広い建物のようだ。


「ここがあなたの部屋ね」

「4番・・・ですか?」

「そうね。あっ、ここはホテルじゃないから4を使ってるけど、深い意味は無いわよ? 単純に、1番から順番に番号が振ってあるだけで。それと、この番号がここにいる間のあなたの保有番号になるの。ここでは名前を使わずに、すべて番号で治験者を呼ぶことになっているのよ」

「そうなんですか」


 カエデは、特に4という数字が嫌いなわけじゃ無いので普通に納得する。しかし、普通ならば病院みたいな施設で4を使う場合、死をイメージするため使わない事が多いだろう。

 鍵は内側からかけられるタイプで、中に誰も居なければ普通に誰でも入れるようだ。部屋に入ってすぐ左手が風呂と洗面所、奥にはベッドとテレビと電話、上にはエアコンが設置され、テレビの下には小さな冷蔵庫が置いてある。当然のように窓は無いが、必要なものはすべてそろっている様に見える。


「うわぁ! こんなにいい部屋なんですね!」

「そ、そう? まあ、一通りのものはあるし、足りないものがあればそこの電話で言えば用意してくれると思うわよ。食事は基本的に食堂でとることになるわ。その間に掃除に入る場合が多いかしらね。お風呂もあるから、好きな時間に入るといいわ。特に、これから頻繁に健康診断があるから、綺麗にしておいてね」

「分かりました! うわー、久しぶりにお風呂に入れる。うれしいなぁ」

「歯ブラシは使い捨てだから、毎日新しいものが用意されるわ。タオルも1日に1回は入れ替えられるわ。すぐに健康診断を行えるように、パジャマ代わりに検診衣けんしんいが置いてあるから、明日からはそれで行動する事になるわ」


 それからも少し、カエデは未可子から施設での過ごし方のレクチャーを受けた。

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