7話目
未可子は、大人ですら食べきるのは難しいと思っていた量を、カエデがすべて平らげた事に驚く。正直、半分くらい残るかと思っていたのだ。
「どう? お腹は膨れたかしら」
「はい! ありがとうございます! 腹八分目くらいですかね」
「え・・・まだ入るの?」
未可子はカエデのお腹を見ると、ぽっこりと膨れている。どう見てもお腹いっぱいに見えるが、本人は余裕そうだ。
「えっと、夜食用にカップラーメンもあるけど、食べる?」
「はい! カップラーメンも食べるのは初めてです!」
「え。本当に?」
「はい、カップラーメンは値段の割に量が少ないので・・・。それに、ガスが止められていたのでお湯を沸かす事が出来ませんでした」
「そう・・・苦労したのね」
未可子は、隣の部屋へとカップラーメンを取りに行く。泊まり込みをする職員も居るので、夜食用のカップラーメンやカップうどんみたいなインスタント食品が常備されている。その内の一つにお湯を入れてカエデの元へと持って行く。
「その細い体のどこに入るのかしら」
未可子は、出来上がる3分間の間に話を聞こうとカエデに話しかけた。
「私、学校で給食を食いだめする生活を数年続けているので、胃が大きいみたいなんです」
5年生の時に死にかけてから、平日は朝を夕飯を抜いて、代わりに給食を人の2倍は食べて持たせていた。そのおかげで、給食の無い土日の食費を残す事に成功していた。そして、死に物狂いで食べ物を詰め込んだ胃は、フードファイター並みに大きくなったのだった。しかし、そもそも1日当たりのカロリーには足りていないため、太ることは無かった。
スーパーにしても、肉類の弁当が売れ残る事は少なく、大体は人気が無いような総菜みたいな弁当ばかりだった。栄養の偏りが無い代わりに、カエデの成長には物足りなかったようだ。
「そろそろ3分経つわね。食べていいわよ」
「いただきます!」
カエデは、ふたをあけた瞬間、食欲をそそる匂いに幸せを感じる。そして、ずずずっと麺をすする。
「美味しいです・・・! こんなお手軽に、美味しいものが出来るなんて・・・」
「そればかり食べると健康に悪いから、私はあまり食べないけれど」
「そうなんですか? いつもはどんなものを食べているんですか?」
「食堂で好きな物を食べられるわ。それこそ、丼ものやカレーもあるわよ」
「それは楽しみです!」
「でも、近々健康診断があるからほどほどにね?」
「はい!」
未可子は、カエデが食べ過ぎないように管理しようと心に決めるのだった。




