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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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68話目

「とりあえず、研究所近くに居たユカリ君をもう一度確認したい」

「確認だけですよ? 傷つけたらだめですからね」

「分かっている」


 私はアオイさんに念のために釘を刺しておく。ユカリさんをあのおじさんみたいに実験体にしてほしくないし。


「でも、それって何のために確認するんですか?」

「あのユカリ君が今みたいな別人か別物かどうか確認するためだ。10年以上経っていると分かった今、裸だからとあのユカリ君を偽物と決めつけるわけには行かない」

「そうですね・・・。ついでに、その辺に服とかありませんかね。せめて服くらい着せておいた方が良い気がします」

「それはどちらでも構わないと思うが・・・。その辺の民家から出も拝借するしか無いだろう」

「誰も住まなくなってから結構な月日が経ってそうですし、きっと戻ってきませんよね」


 変異した犬が徘徊していたこの辺に、人が戻ってくるとは考えられない為、その辺の民家へ向かう。


「おじゃましまーす・・・」

「ふむ。あとでついでに靴も貰おうか。私に合う大きさの靴は研究所に無かったからな」

「ここまできたら怖いものなしですね・・・」


 警察も機能してなさそうなので、窃盗や不法侵入で捕まる心配も無さそう。それが良いこととは思わないけど、確かに裸足の小さな子供を私が連れ歩くのも見た目がよろしくない。私は学校指定の制服と靴の一式を身に着けていたため、そこまで気にしてなかったけれど、もう少しアオイさんの方を気にしてあげるべきだったかもしれない。


「ざっと室内を見た所、荒らされた様子も無いし、慌てて出て行った様子も無いな。玄関は施錠されていなかったから、恐らく何かしらの案内があったのだろう」

「地震などの災害の場合、鍵なんかは閉めない方がいいって聞いたことがあります。理由の方は忘れましたけど」

「まあ、空き巣なんかはどうせ窓を割って侵入するだろうし、変わらん気はするな。施錠されていないのはたまたまかもしれないし、今は気にする必要も無いだろう。とりあえず、服と靴、必要そうなものは貰っていく」


 私はユカリさんに着せるワンピースを。アオイさんは自分が着る子供服と靴を拝借する。他に情報は無いか室内を探したけど、新聞にすら何も有益な情報は載っていなかった。そういう情報を探しているうちに、結構な時間が経ち暗くなってきた。


「ついでだ、今日はここで泊っていこう」

「そうですね。ある程度は見えますけど、暗いより明るい中を帰る方が良いと思います」

「一応、蝋燭とマッチは置いてあった。湿気っていなければ点くと思うが」


 アオイさんは試しにマッチを一本擦ると、火がついた。どうやらまだ使えるみたい。


「こういう小物を集めて持って行こう。カエデもバッグかリュックに詰め込んで持っておくといい」

「分かりました」


 私は、家の棚にあった子供用のリュックを拝借し、使えそうな日用品を入れていくことにしました。

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