50話目
「本当に、他に出口は無いんですか?」
「ああ、無い。でないと、これだけ厳重に出入りを監視できないだろう?」
「まあ・・・そうですね・・・」
「くそっ、ずっとこのままだというのか・・・」
アオイさんは背中を壁に付け、ずるずると座り込む。私は、あきらめきれずにコンクリートの壁を睨つける。これ、本当にコンクリートなんだろうか? 硬そうに見えないんだけど。私は、カリカリと壁を指で掻いてみる。あっ、普通に削れた。やっぱり、コンクリートに見えるけど柔らかいのかな。
「? 一体、何をしているのだ?」
「え? 普通に削れるなって」
「なんだと?」
「ほら、見て下さい。指で掘れますよ」
私はアオイさんに見えるように指で削った。砂場で穴を掘る様に、手で壁を掘る。
「よ、よし、そのまま掘り進んでくれ!」
「分かりました」
私は両手で壁を掘り進む。発泡スチロールよりもさらに柔らかく感じる壁を手で掴み、削り取って後ろに投げ捨てる。
「うおぉぉぉ!」
私は気合を入れて掘り進む。徐々に徐々に掘り進める。
「あれ、ここは材質が違うみたい。アオイさん~?」
「なんだ?」
「ここ、石が違うみたいなんですけど」
私は一旦戻り、アオイさんと入れ替わる。アオイさんは私が掘り進めた先まで行くと、地面を確認してくれる。
「ああ、これは階段だな。階段は斜めになっているから、このまま上の方へ向かって掘り進めてくれ」
「分かりました!」
私は階段に沿って掘り進めることにした。戻ってきたアオイさんと入れ替わり、斜め上へと掘り進める。どれくらい進めばいいか分からないけど、他に出来る事も無いから頑張って掘る。
しばらく掘り進めると、手ごたえが無くなった。どうやらコンクリートの壁を貫通出来たみたい。
「アオイさん! 開通しました!」
「本当か!?」
私は外へと顔を出すと、どうやら夕方の様で暗くなり始めていた。
「こ、ここは・・・?」
周りは壁に囲まれていて場所は分からないけど、地上であることは分かる。久しぶりに雲を見た気がする。私はそのまま地上へ這い上がると、アオイさんが来るのを待つ。
「よっと。どうやら無事に外へ出られたようだな」
「ここ、どこですか?」
「ん? 研究室の入口だとしか言えないが、とりあえず外へ出られてよかった」
アオイさんは壁の所にある扉へと近づくと、カードスキャナーへIDを通したみたい。けれど、何度通しても扉が開く様子は無い。
「くっ、やはり電気が通っていないか。すまないがカエデ、この扉を開けてくれないか?」
「えっ、私に開けられますかね?」
「コンクリートを簡単に掘り進められる力があるんだ、きっと開けられるだろう」
「はぁ・・・」
私は、半信半疑で扉へ手をかけると、ゆっくりと力を入れて開ける。すると、鉄で出来ているっぽい扉は、凹みながら開いていった。
「あれ? 思ったよりも簡単に開きました・・・」
「うむ。これで本当の外へ出られるな」
私達は壊した扉を通り、外へと出たのだった。




