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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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48話目

「それじゃあ、私がまだ見ていない場所へ向かうが、いいだろうか?」

「はい、それは構いませんが・・・私の事、もう番号で呼ぶ必要は無いと思うんですが」

「そう言えばそうだな。名前は確か、カエデだったか? 私はこれから君の事をカエデと呼ぶので、君も私の事はアオイと呼ぶがいい」

「はい、分かりましたアオイさん」


 名前で呼ぶと、親しくなれた様な気がする。ずっと4番って呼ばれるよりは名前で呼ばれた方が全然いいよね。


「それじゃあ、行きましょう」

「とりあえず、5番・・・アサミの部屋から見るか」

「分かりました」


 私とアオイさんは、廊下へと出て隣の部屋へと入ることになった。廊下も真っ暗だったけれど、不思議と見る事が出来た。廊下は、ところどころの壁が凹んだり、ひびが入ったりしている。これも、マリアさんがやったんだろうか? アオイさんは、壊れかけているアサミさんの部屋のドアを開け、中へ入っていったので着いて行く。


「ふむ、壊されてはいないな。ただの部屋にはそれほど壊す意味が無いからだと思うが。実際、他の部屋も無事だったからな。やはり、研究施設だけを狙って壊していったのか」

「確かに私の部屋も無事でしたね。けど、どうして私は見逃されたのでしょう? マリアさんはなんか私に対して敵愾心を持っていた様な気がするんですけど」

「恐らくだが、すでに死体だと思ったんじゃ無いか? カエデは寝ていたつもりかもしれないが、部屋に運ばれた時には心肺停止状態だったのだ」

「え、そうなんですか?」


 私は、そっと自分の胸に手を当てる。あれ? 心臓が動いていない気がするんだけど。それに、胸が石のように硬い気がする。


「あの・・・私って生きていますよね?」

「ああ、生きているぞ。ただ、すでに人間ではないから生物学的にはどうかは知らんがな」

「どういう意味ですか?」

「カエデを起こす時に体を少し調べたが、生物的な反応は全く無かった。さっきも言ったが、心肺停止状態だったからな。ただ、薬で変化した私にはカエデから微弱な電流が発生しているのが分かったから起こしたのだ。普通なら、死後硬直をした死体だと思うだろう」

「えぇ、そんな状態なんですか、私・・・」


 今思うと、確かに私は呼吸をしていなかった。息を吸おうと思えば吸えるけど、吸わなくても苦しくない。体に触れると、触った感触はあるんだけど、全身が石のように硬い。確かに、この状態でアオイさんに抱き着いていたのなら、すごく痛かったのかもしれない。


「あの、さっきは抱き着いてごめんなさい。まさか、自分がこんな状態だったなんて知らなくて」

「ああ、気にするな。私もナノマシンを取り込んでいるから、仮に怪我をしてもすぐに治るはずだ。私自身もどういう変化をしているかは分からないが、エネルギー問題は解決している・・・と思う。別に、腹も減らないしな」

「そう言えば、私もずっと寝ていた割にお腹は空いていません」

「カエデも何かしらをエネルギーにしているのだろう。でないと、これほど長時間寝たきりで平気な訳はないからな」


 アオイさんは、部屋の床に溜まった埃を掬って見せてくれた。どのくらいの時間が経てばこのぐらいの埃が溜まるかは知らないけど、一週間やそこらで溜まる量では無い気がする。


「どれくらい時間が経ったんでしょうか」

「分からん。時計も無いし、電気が来ていないからテレビも見れん。今がいつなのか調べるには、外に出るしか無いな」

「それなら先に外を見に行きますか?」

「そうしたいが、研究所の中で無事なものがあれば確認しておきたい。どれほど月日が経ったかは、今は重要では無いからな」

「そう言われればそうかもしれませんが、気にならないですか?」

「どうせいつかは分かる」

「そうですが・・・」


 とりあえず、年長者の意見としてアオイさんの意見を優先することにします。

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