47話目 ここから新章 カエデ目線になります
「おい、起きろ4番!」
うーん、誰かの声が聞こえる。聞いたことのない声だなぁ。
「起きないか! あっ、こんなところに札束が置いてあるぞ!」
お金・・・? うちにはお金は無いはずだし、関係ないよね。
「ダメか。それなら・・・あっ、焼きたてのステーキが置いてあるぞ!」
「ステーキ!? って、あれ? 無いじゃないですか。えっと・・・?」
私の目の前には、見知らぬ女の子が居る。身長的には5歳くらいかな? どことなく所長さんに似てるけど、所長さんのお子さんかな? 私、ちっちゃい子が好きなんだよね。
「やーん、可愛い! なでなでしてあげる!」
「痛い痛い痛い! コラッ放せ!」
「えー、そんなに嫌がらなくてもいいじゃない」
「お前、気が付いてないから言うが、その怪力で普通の人間に同じことをしたらそいつは死ぬぞ!」
「え? そんなに力を入れてないよ、大げさだなー」
「あと、私は悠木碧だ! 薬の効果で小さくなったのだ」
「え、所長さん・・・? 本当ですか? 眼鏡もかけていませんよね?」
「薬の効果か、視力が直った。恐らく、若返りの効果だと思われるが詳しい事は分からん。私もさっき目を覚ましたばかりで、今がいつなのかも分からん。それと、もう所長じゃ無いから所長と呼ぶな」
「どういう事ですか? じゃあ、とりあえずユウキさんで・・・ハッ! そういえばユカリさんは!?」
「2番か・・・。お前が意識を失ってからの話をしよう」
ユウキさんは、私が寝ているベッドへ飛び乗った。その瞬間、布団から大量の埃が舞い上がる。
「うわっ、なにこれ! まるで、ずっと掃除をしていなかったみたいじゃないですか」
「みたいじゃなくて、実際にそうなのだ。見ろ、今は電気も通っていない」
ユウキさんがテレビの電源を入れようとしたけどつかないみたい。それに、部屋の電気もついていない。窓が無いから光も入ってきていないけど、私には普通に見える。ううん、普通ではなく若干白黒かな? ユウキさんは普通に見えるんだけど、部屋の中は白黒の濃淡で見える感じ。
「だから、電気もついていないんですね。あっ、すみません、私が意識を失ってからの話をお願いします」
「そうだな。お前が意識を失い、この部屋へ運び込んだ。それから一週間ほどは何も無かった。2番が目を覚ますことは無く、3番が常に食堂に通っていた事以外はな」
「ユカリさん、目を覚ましてないんですか?」
「ああ、あの時点ではまだ目を覚ましていなかった。そして、事件が起こった。1番が異形の姿へと変化したのだ」
「マリアさんが・・・? 異形って、どんな姿ですか?」
「上半身は人間のままで、下半身が蛇になっていた。どうやら、ナノマシンが取り込んだDNAが暴走したのだろう。だが、2番は冷静だった。まるで、そうなる事が分かっていたかのように」
「未来視、ですかね?」
「そんな能力が本当に存在するのかどうかは分からんが、2番は蛇の姿で研究所を破壊し始めたのだ。それを止めようとした職員達は、2番の攻撃を受けて死傷者が出た。そう言う私も重傷を負わされ、命からがら研究室に戻り、自分専用に作っていたナノマシンとDNA薬液を同時に飲んだのだ。そこから、私もさっきまで意識が無かったようだ。まあ、同時に飲んだのが悪かったのか、こうして小さくなってしまったが、死ぬよりはマシだろう」
「じゃあ、ユウキさんも現状は分からないって事ですか?」
「そうだな。まあ、ここへ来る間にある程度研究所内を見て回ったが、どこもひどく壊されていた。他に生存者も見つかっていない」
「そんな・・・」
私が寝ている間に、そんなことになっているなんて・・・。私も、実際に自分の目で見て回らないと。




