40話目
「カエデがうちの話をこんなに聞いてくれるなんて思わなかったよ。ほら、うちってこんな見た目だろ? 初対面の人には大体避けられるんだ」
「私も最初は怖い人かなって思いました。たぶん、私ひとりだったら近づかなかったかもしれませんね」
「やっぱそうなのか。つっても、うちも見た目でなめられるわけにゃいかなかったからな。けど、ここじゃ知り合いなんていねーし、うちとしてもこんなのは初めてだから不安でよ。こうして話せるやつがいるのは正直助かる」
「分かります。私も、アヤヒさんやユカリさんのおかげでこうして普通にしていられますから。もし、一人だったらずっと不安で部屋に閉じこもっていたかもしれません」
そう思うと、常に一人でいるマリアは不安は無いのだろうか。言動的に、自分達とは違う景色が見えている気がするので、やはりあまり関わりたくないという感覚が強い。
「にしても、このトンカツうめぇな」
「ですよね。私もまた食べたくなりました」
「あーあ、あたしは早くお酒が飲みたいんだけど、いつになったら解禁されるんだろうね」
「あとで聞いてみてはどうですか? もしかしたら、今日から解禁されるかもしれませんよ」
「だといいんだけどね。自分じゃアルコール依存なんてしてないつもりだったんだけど、飲めないって思うと余計にきつく感じるわ」
「・・・もし、飲めるようになったら私の部屋のもあげるから、取りに来るといいわ」
「その時は、いただきに行きます」
「私の分も持って行っていいですよ」
「マジ? じゃあ、カエデちゃんの分も貰うわ」
「酒が欲しいのか? だったら、うちの分も渡してもいいよ。うちはアルコールは飲まないからね」
「いいの? いやー、安心して飲めそうだ」
「解禁したら、ですけどね」
冷蔵庫の中身は、1日に1回しか補充されない為、アルコール飲料は一部屋に2本しかない。なので、アヤヒは貰えるだけ貰いたいのだった。ちなみに、食堂では飲み物は水かお茶しか置いてない。
特にやる事も無いので、食事を終えた後も部屋に帰らずに4人で話をしていたのだが、途中で放送が入る。
「治験者は、先ほどの会場へ集まるように。繰り返す、治験者は先ほどの会場へ集まるように」
それは、アオイからの集合のお知らせだった。




