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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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37話目

 カエデ達3人が食堂へ行くと、時間的にまだ早いからか他に人は居なかった。食券を買い、テーブルへと移動する。


「カエデちゃん、今日は何にしたの?」

「私はオムレツとトンカツにしました」

「朝から、よく入るわね・・・。あたしはうどんにしたよ」

「ユカリさんはご飯だけですか?」

「ええ、そうよ」


 相変わらずユカリの白米が一番最初に出て来るが、他の料理が揃うまで待つ。


「待たせたみたいですみません。トンカツって出来上がるのに時間がかかるんですね」

「別に、このくらいの時間を待つくらいなんでも無いって」

「でも、うどんは伸びませんでしたか?」

「太い麺だから大丈夫みたいだよ」


 ユカリの白米は少し冷めたかもしれないが、もともとものすごく時間をかけて食べる関係上、どうせ冷めるのでユカリからも文句は出ない。カエデは、熱々のトンカツにソースをかけ、千切りキャベツと一緒に口へ入れる。


「んー! おいしい! 衣がサクサクで、キャベツもシャキシャキで食感も最高です!」

「あー、カエデちゃんが食べてるとものすごく美味しそうに見えるわー」

「ええ。・・・私も少し食欲が出るわね」


 幸せそうにご飯をほおばるカエデを見て、ユカリもご飯を口へ運ぶ。いつもならすぐに吐き気が込み上げてくるのだが、カエデを見るとそれが抑えられる。アヤヒは起きたばかりで食欲が無いため、うどんをちまちまと食べていた。


「・・・アヤヒさんとユカリさんは、いつまで治験を続ける予定なんですか?」


 カエデは、朝のマリアの言葉を思い出し、思い切ってユカリとアヤヒに聞いてみる事にした。


「んー、あたしはとりあえずお金次第かな。借金を返せるくらいに稼げたらやめると思うけど」

「私は、特に決めていないわ。続けても、止めてもどちらでもいいわ」


 アヤヒは金次第、ユカリは死を望んでいるので途中でやめるつもりは無いが、カエデが止めるなら自分もやめてもいいと思っていた。


「私は、どうしてここにいるんでしょう?」


 カエデは、食事の手を止めてぽつりとつぶやく。親の借金の為に治験を続けなければならないが、当然自分の意思がどこにもない。今は行くところが無いため、仕方なく居るだけだがユカリの家でお世話になるなら、とりあえず行く場所は出来る。借金がどれくらいあるのか分からないので、いつまで治験を続ければいいのか分からない。そもそも、治験だけで借金が返せるのかどうかも分からない。


「カエデちゃん・・・」


 アヤヒは、カエデの現状をすでに聞いているので気持ちはわかるが、自分にも借金があるためにお金に関しては手を貸すことが出来ない。


「あっ、ごめんなさい。ご飯の時にこんな雰囲気じゃ、美味しく食べられないですよね」


 カエデは、少し出てきた涙をぬぐい、食事を続けるのだった。

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