36話目
カエデは、しばらくして我に返る。それからマリアの意図を考えるが、情報が少なすぎて全く分からない。飲んだ方が良いのか、飲まない方が良いのか。ただ、何も言われなければ飲んでいた可能性が高いので、飲まないで欲しいと考えられる。だが、なぜ飲んで欲しくないならそう言わないのか。
「うー、分かんない事をいくら考えても仕方ないよね」
そう思い、時計を確認するとすでに6時近くだった。あれから1時間近く経っていた事に驚くが、それと同時にお腹がグゥと鳴る。いつもなら朝食は無いから水だけ飲むのだが、ここでは無料で食事を食べられるので食べないという選択肢はない。
「よし、気持ちを切り替えてアヤヒさんとユカリさんを誘ってご飯を食べに行こうっと」
一瞬、アサミも誘おうかと思ったが、アヤヒとユカリだけの方が安心できるので、2人だけ誘うことにする。とりあえず、隣のアヤヒの部屋からだ。
「アヤヒさん、ご飯食べに行きませんかー?」
「お、カエデちゃんか。いいよ、食べに行こうか」
「今日は起きてたんですね」
「まあ、飲んでるのノンアルだからね。二日酔いとかは無いけど、飲めないってなるとストレスたまるわ」
「今日あたり、アルコールが解禁されたらいいですね」
「そうだね。あたしが耐えられてる間に解禁して欲しいよ。ちょっと寝ぐせ直すから、しばらく待ってて」
「分かりました」
アヤヒがドライヤーで寝ぐせを直しているのをしばらく待つ。アヤヒの準備が終わったので、次にユカリの部屋へと向かう。
「ユカリさん、ご飯食べに行きませんかー?」
「・・・・・・」
返事がない。カエデは、まさかと万が一を考えドアを開ける。鍵はかかっておらず、部屋は真っ暗だ。
「ユカリさん!」
前回は壁に向かって立っていて驚いたが、今回は姿が見えない。しかし、カエデの心配は杞憂に終わる。すぐにバスユニットの扉が開いたのだ。
「・・・カエデちゃん? どうしたの?」
「あっ、ユカリさん。すみません、返事が無かったので心配になって」
「ちょうど、トイレに入っていて聞こえなかったわ。時間的に、食事のお誘いかしら?」
「はい、そうです。今日も一緒に食べませんか? アヤヒさんも一緒ですよ」
後ろにいたアヤヒも、ユカリに手を振る。ユカリは特に準備が無いようで、すぐに食堂へ向かってくれるようだ。食堂へ向かう時に、隣のマリアの部屋の前を通るのだが、カエデはあえて何も考えないようにして通り過ぎるのだった。




