3話目
カエデが怒鳴った後、玄関のドアが開く。スーツの上に白衣を着るというよく分からない眼鏡の男と、スーツの男が2人だ。
「だから言ったじゃ無いですか、黙っていた方がいいと」
「だが、何も伝えずに連れていかれたら、誘拐と変わらんじゃ無いか」
「本人にとってはどちらも同じような気がしますがね・・・」
「お父さん・・・この人たちって誰・・・?」
「さっき言っていた人たちだよ」
だから、それがどういう事か聞きたかったんだけど、お父さんもうまく説明できないみたいだ。恐らく、お父さんもよく知らないのだろう。よく、そんなところの言う事を信じて私を売ったのかと再び怒りが湧いてくる。
「君にも分かる様に、説明しよう。おい、飲み物を用意しろ」
「はい」
眼鏡の男が命令しているところを見ると、この人が一番偉い人なのだろう。命令されたスーツの男は、家の前に停めていた黒いベンツからペットボトルのジュースを持ってくる。持ってきたのは、リンゴジュースとオレンジジュースの2本だ。
「君、どちらでも好きな方を飲みたまえ。2本とも飲んでも構わない」
「それなら、オレンジジュースをお願いします・・・」
こんな怪しい人から飲み物を貰うなんてどうかと思われるかもしれないが、家には飲み物は水道水しか無いので、ジュースを飲めるの何て何年ぶりだろうか。いや、エリの家で清涼飲料水は頂いたからそれほど日は経っていないか。
「それじゃあ、そこのテーブルで話そう。中へ入っても構わないかね?」
「ああ、どうぞ」
お父さんが男たちを家の中に入れてしまったので、仕方なく私も奥へと行く。
「喉が渇いただろう? 飲みながら聞き給え」
「はい、ありがとうございます」
私は、久しぶりのオレンジジュースをぐいっと飲む。少しほろ苦いジュースは、思い出補正なのか、すごく美味しく感じる。
「美味しいです。あっ、話をどうぞ」
「いや、いい飲みっぷりだ。我々に構わず、もう少し飲みたまえ」
「ありがとうございます!」
私は、ごくごくとオレンジジュースを喉へと流し込む。喉が渇いていたので、あっという間に飲み干してしまった。
「それじゃあ、話を始めようか」
そこから、眼鏡の男性が話し始めたのだけれど、私は急に眠くなってきてしまった。こっくり、こっくりと寝そうになるが、大切な話のはずなので聞かないと。しかし、どうしても眠気を我慢できなくなってきた。
「・・・すいません、急に眠くなってきて・・・」
「ふむ。疲れていたのかな? 我々は君のお父さんと話をしているから、暫く休んだらどうかね?」
「はい・・・少し休んできます・・・」
カエデは、壁にもたれかかりながらもなんとか自室まで歩いて行く。そして、敷いてあった布団に、倒れ込んで眠るのだった。




