27話目
カエデは、部屋へと戻ってきたが特にやることが無く暇を持て余していた。カエデにとって、生活の中に娯楽というものが無く、記憶にあるのは勉強するか寝ているかの2種類しかない。
「うーん、アヤヒさんは何をしているかな。ちょっと行ってみようっと」
カエデは、別に他者との接触は禁止されていないので、アヤヒの所へ行く事にした。
「アヤヒさーん、いらっしゃいますかー?」
「んー? カエデちゃん? 鍵は開いてるから入ってきていいよ」
「じゃあ、お邪魔します」
カエデが部屋の中に入ると、アヤヒは飲酒・・・ノンアルコールの缶を開けていた。どうやら、飲みながらテレビを見ているようだ。
「やっぱり、アルコールがあってこそのお酒なのに、ノンアルじゃ飲む意味が無いわ。でも、お酒は全てノンアルに代えられてるから我慢してこれ飲んでるけど、物足りないよ、全然」
「じゃあ、何かして遊びませんか? 私、何もやることが無くて」
「好きなテレビ番組とか無いの? 言えば本とかも用意してくれるよ? ネットは無理だけど、それ以外なら大体用意してくれるっぽいよ」
「私、テレビを見た事が余りなくて、興味がほとんど無いんですよね。本も、教科書以外は読まなくて。一応、本屋で立ち読みしようとしたことはあるんですけど、読み始めるときりがありませんし、続きが気になっても1巻以外は包装されていて読めませんし」
カエデの通った本屋は、サンプル以外にも1巻だけ立ち読みできるようになっていた。当然、本を買ってもらうための寄せ餌であり、2巻以降を読みたければ購入するしかない。
「それで、部屋にカードゲームが置いてあるのを思い出したんですけど、一緒にやりませんか?」
「2人で?」
「ダメですか?」
「ダメじゃ無いけど、もう一人くらい居ないと面白くないと思うよ」
「そうなんですか? 私、ルールは読んだんですけど実際にやったことはなくて・・・。そうだ、私、ユカリさんも誘ってみますね」
カエデは、ユカリの部屋へと向かう。ドアをノックしながら声をかける。
「ユカリさーん、居ますかー?」
「・・・カエデちゃん? 入ってきていいわよ」
ユカリも部屋に鍵をかけていなかった。ここには無防備な人しか居ないのかと、自身も鍵をかけていないカエデは思う。もしかしたら、皆は寝る時くらいしか鍵をかけないのかもしれないと。
ユカリの部屋は暗かった。窓が無いため、最低限の消すことのできないぼんやりとした光は強制的に点いているが、それ以外の明かりがついていないのだ。相変わらず壁に向かって立っているユカリは一体何をしているのか。いや、何もしていないのか。
「えっと、ユカリさんは今から何か予定とかありますか?」
「・・・特に何も無いわ」
「じゃあ、私とアヤヒさんの部屋で遊びませんか?」
ユカリは、少し考えた後、了承する。
「・・・いいわよ。けれど、私、そんなにうまくないわよ」
「安心してください、私も初心者です」
「・・・そう。じゃあ、行きましょうか」
カエデは、ユカリを連れてアヤヒの部屋へと戻ってきた。




