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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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20/79

20話目

 カエデは会議室の扉を開ける。その後ろにはアヤヒが、そのさらに後ろにはユカリが続く。


「おはようございます・・・」


 カエデは、恐る恐る中に入りながら挨拶をする。そこにはすでに一人の女性が立っていた。会議室内は、すでに健康診断の会場のように器具がセットされていて、きちんと椅子も用意してあるのだがその女性は座るつもりは無いようだ。その女性は、緑色の長い髪の毛で、温厚そうに見える。


「あら、おはようございます。初めまして、わたくし、長縄まりあと申します。どうぞマリアとお呼びください」

「あ、本渡楓です。よろしくお願いします!」

(うわー、すごいっ、アニメ声だ! 魔法少女みたい!)

「うー、あたしは高垣彩陽、よろしく」

「・・・私は、田村ゆかり」


 カエデは、マリアのアニメ声に驚き、また、地球人に存在しないはずの緑色の髪と雰囲気から、まるで異世界の住人のように感じた。それに、貴族の様な話し方は、それだけでマリアを高貴な存在に感じてしまっていた。


「わたくし、マリア教の巫女をしております。こうしてあなた方がわたくしに出会えたのも運命でしょう。ですので皆さん、わたくしの教団に入りませんか?」

「え、あの、その、今はちょっと・・・」

「あー、あたしはパス。そういうの分かんないから」

「・・・・・・」


 真面目なカエデは、どう返事したものか迷うが、アヤヒはあっさりと断り、ユカリにいたっては、自分は誘われてないと判断して返事すらしなかった。


「・・・スリッパ」

「あ・・・どうも、ありがとうございます・・・」


 空気を読まず、ユカリはアヤヒにスリッパを渡す。すでに話が終わったものにされたと感じたマリアは、少しムッとした表情で再び勧誘を開始する。


「わたくしには特殊な力がありますの。世間的には予知夢と言われるもので、わたくしには未来が視えますわ。近い将来、人類は滅び、新たな種が地上を支配するでしょう」


((あっ、これはヤバイひとだ))


 カエデとアヤヒは、同じ感想を持った。ユカリは、どうせそんな世界になる前に自身は死んでいると思っているので何とも思っていないが。


「わたくしは世界の救いなのです。わたくしの言う通りに行動すれば、世界は救われるでしょう」

「えっと、マリアさんはそのためにここへ来たんですか?」

「わたくし、ここに居る予知夢をすでに視ておりますので、その通りに行動したまでですわ」

「ちょっ、カエデちゃん」


 アヤヒはカエデの検査衣を引っ張って会議室の隅へと連れていく。そこで、小さな声で話しかける。


「ああいうのには、話しかけない方が良いって。話をするだけ、興味があると思われて付きまとわれるよ」

「でも、無視するのも悪いかと思いまして・・・」

「とりあえず、出来るだけ関わらないようにしないと、家にダイレクトメールとか送られるよ」

「それは大丈夫です。すでに家は売却されて、無いので」

「え・・・あ、そう、なんだ?」


 アヤヒは、カエデの目から一瞬、ハイライトが消えたのでどういえばいいか迷う。が、住所が存在しないならダイレクトメールは送られてこないだろう。それ以上にヤバイ状況の様な気がするが、借金地獄のアヤヒも助け舟をだす余裕はない。

 向こうでは、マリアがユカリに話しかけている様だが、ユカリはぼーっとして会話になっていないようだ。そうしているうちに、新たな人物が会議室へと入ってくる。

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