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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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19話目

 部屋を出る時、カエデはユカリが相変わらずスリッパを履いていない事に気づく。


「ユカリさんは、スリッパを履かないんですか?」

「・・・あら、忘れていたわ」


 ユカリはスリッパを履く。どうやら、こだわりで履かないわけではなく、本当に忘れているだけの様だ。ユカリを連れて隣のアヤヒの部屋をもう一度ノックする。


「アヤヒさんー、入りますねー」


 どうせ返事は無いだろうと、ノックだけして中へと入る。やはり、アヤヒは仰向けで寝ていた。カエデはゆさゆさとアヤヒをゆする。


「アヤヒさん、アヤヒさん、起きて下さい」

「うーん、今日は休むー。先に行って伝えといてー」

「ダメですよ、休むなんて・・・駄目ですよね?」


 カエデは、「もしかしたら休めるの?」と考え、ユカリを見ると、首をふるふると横に振っている。やはり、休みは無いようだ。というか、そもそも労働じゃない気がする。


「アヤヒさん、行かないとお金が貰えませんよ」

「それは困る!」


 アヤヒはガバッと跳ね起きる。カエデは危うく頭突きされるところだったが、ぎりぎり避けた。


「あ・・・、カエデちゃんおはよっ。ユカリさんもおはようございます」

「おはようございます」

「・・・おはようございます」


 アヤヒは、ユカリには丁寧に挨拶する。どうやら、年上と年下で態度を変えるようだ。それは別に普通の事なのだが、むしろギャルっぽい見た目から、逆に不自然に見えただけだ。


「うー、眠いけど、お金は大事ー。とりあえず、迎え酒を・・・無いや。スポドリでいいか」


 アヤヒは這いずって冷蔵庫の所へ行き、扉を開けてお酒を探したが、すでに飲みつくして無かった。なので、スポーツ飲料に変えた。ちなみに、自分の部屋の酒どころか、ユカリの部屋の酒も頂いており、そのためユカリとはすでに知り合っている。


「起き上がれそうですか?」

「うん、頑張る」


 アヤヒはゆっくりと起き上がる。這いずった時に検査衣が乱れ、下着が見えてしまっている。カエデは、あわあわと慌ててアヤヒの検査衣を直す。監視されていると知っているので、見られたくないだろうと気をきかせたのだ。


「ん、あんがと、カエデちゃん」


 アヤヒは頭が痛そうに手を当てながら、立ち上がる。身長が違うので、カエデはアヤヒに肩を貸す事は出来ないが、横で支える。ユカリはぼーっとしていて、特に手を貸したりはしない。


「さっ、行きましょうか」


 思ったよりはきちんと歩けるアヤヒに、カエデは安心する。さすがに一人でアヤヒを担ぐ事は不可能なので、自力で歩いてもらえると助かる。


「ユカリさん、アヤヒさんのスリッパを持ってきてもらってもいいですか?」

「・・・いいわよ」


 アヤヒにスリッパを履かせると転びそうだったので、あとで履けるようにユカリに一応持ってもらう。そのまま3人で会議室へと向かうのだった。

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