18話目
カエデは、8時半になったのでユカリとアヤヒに声をかけに行こうと部屋を出る。まずは、隣のアヤヒからだ。この時間なら、まだ部屋に居ると思う。カエデはアヤヒの部屋のドアをコンコンとノックする。
「アヤヒさん、居ますかー?」
しばらく待つが、返事が無い。
「アヤヒさん? 居ませんかー」
もう一度声をかけるが、やはり返事は無かった。とりあえずドアノブを下げるとカギはかかっていないようだ。カエデは不用心だと思ったが、自分の家も鍵が壊れたまま放置されているので人の事は言えないが、ここではきっちりと鍵をかけているので言う権利くらいあるだろうと思い直す。
「アヤヒさんー、入りますねー」
一応もう一度声をかけ、ドアを押す。玄関付近から中を見ると、床に倒れているアヤヒが見えた。
「アヤヒさん!」
カエデは慌ててアヤヒの元へと駆け寄る。アヤヒは仰向けのまま、寝ているだけの様だ。夜遅くまで起きていたので、今の時間まで寝ているのかもしれない。
「よかった、寝てるだけだ・・・。アヤヒさんー、アヤヒさんー」
カエデはアヤヒの耳元で呼ぶが、起きる様子は無い。
「仕方ない、先にユカリさんの部屋に行ってみようっと」
カエデはそっと扉を閉めて隣のユカリの部屋へと向かう。
「ユカリさんー、居ますかー」
こちらも返事は無い。アヤヒの事もあったので、ユカリも寝ているのかもしれない。どうやら、鍵はかかっていないようだ。ユカリの場合は不用心ではなく、鍵をかける意味が無いのだろうと予測する。
「ヒッ!!」
カエデは入り口で硬直する。今朝同様に、ユカリが壁の方を向いてうつむき加減で立っていたのだ。
「ユ、ユカリ・・・さん?」
ユカリはゆっくりと入口の方、カエデの方に振り返る。
「・・・カエデちゃん、どうしたの?」
「いえ、こっちのセリフだと思いますが、ユカリさん、何をしているんですか?」
「見ての通り、何もしていないわよ。ずっと考え事をしていたの」
「そうなんですか? 呼んだのに、返事が無いから寝ているのかと思って」
「ごめんなさいね、考え事をしていると何も聞こえないのよ。それで、どうしたの?」
「あっ、9時の集合に、一緒に行かないかと思いまして」
「構わないわよ。もう行くの?」
「いえ、アヤヒさんも一緒に誘いたいのですが、いいですか?」
「・・・別に構わないわよ」
「じゃあ、アヤヒさんの部屋に行きましょう」
カエデは、ユカリを連れてもう一度アヤヒの部屋へと向かうのだった。




