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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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17話目

 カエデは4番の部屋へ入ると、そっと部屋の中を窺う。まずはユカリの話が本当かどうか、自分の目で確かめてみようと思ったからだ。カエデは、「部屋の汚れはあるかしら」という感じで、部屋の天井付近を確認する。監視と言えば、カエデの中ではコンビニやスーパーにある防犯カメラしか知らないからだ。盗撮用の小型カメラや盗聴器などの現物を見た事は無いうえ、そういうものがあるということすらもテレビなどを見ないカエデは知らなかった。


「とりあえず、怪しいものは無いけど・・・。やっぱり、ミカコさんに聞いてみよう」


 カエデは、電話番号表でミカコの番号を探す。その中に、小松未可子の名前を発見したのでそこへ電話をかけようとする。しかし、カエデは今まで電話なんてかけたことがなかったので思ったよりも時間がかかった。通話ボタンを押し、何コールか呼び出し音がなると、ミカコが電話に出る。


「もしもしー? こんな朝早く、急患かしら?」

「あっ、おはようございます。カエデです」

「カエデちゃん? どうしたの? 何かあった?」

「いえ、えっと、今は話していても大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ」

「とりあえず、今日の予定を聞きたいんですけど、いいですか?」

「今日の予定ね。朝食を食べ終わったら、9時から検査よ。それが終われば、検査の結果が出るまで自由行動で、問題が無ければさっそく治験が始まるわね」

「朝食はもう食べ終わりました。9時にどこへ行けばいいですか?」

「昨日の会議室の隣に中会議室っていうのがあって、そこが検査場所になるわ。当然私も行くから、一人で行くのが不安なら、一緒に行ってあげるわよ?」

「ユカリさんかアヤヒさんに聞いてみて、大丈夫そうなら一緒に行きたいと思います」

「あら、もう他の人たちと交流を持ったのね。本当なら、今日の検査時に皆が集まった段階でまとめて紹介する予定だったんだけど。まあいいわ、それで用件はおしまいかしら?」

「いえ、あともう一つ。・・・聞きにくいのですが、もしかしてこの部屋って監視されているんですか?」

 

 カエデは、まるで悪いことをしたかのように心臓がバクバク鳴る。ユカリさんの気のせいであればいいのに、最悪、ユカリさんが自殺しないように監視されているだけだと納得したかった。


「あ・・・もしかして気が付いたの? ごめんね。でも、それを今日の検査時に説明予定だったんだけど、やっぱりまとめてやろうとするとダメね。でも、普通は気が付かないのよ? 今まで、気が付いた人なんて居なかったし。あっ、監視しているのは女性職員だけだし、治験者の体調不良とかが無いかどうかを見ているだけだから」

「そうだったんですか・・・。けれど、先に教えておいてほしかったですよ。私、着替えを男の人に見られたんじゃないかと思って心配になっていました」

「本当にごめんなさいね。そういう配慮をしてしかるべきだったわね」


 ミカコは、何とか納得してもらおうと言葉を尽くす。実際は、薬の影響を事細かく調べるために隠しカメラが設置されている。何なら、プライベートな場所であるはずのユニットバスにまで設置してあるので、説明する訳には行かなかった。本来なら素人に見つかる様なカメラの設置の仕方などしていない。それに、これから部屋の中はこちらで確認しますよとアナウンスし、監視用のカメラを今日の説明後に偽物のカメラを部屋にわざわざ設置する予定だった。それも、部屋の奥に防犯カメラのような分かりやすい物をつける予定だったのだ。


「いえ、説明する予定だったのならいいですけど・・・」

「本当にごめんね? 他に、聞きたいことはあるかしら?」

「いえ、これで用件は全てです。お時間をいただき、ありがとうございました」


 カエデは、ミカコが切るのを聞いてからそっと受話器を置く。電話のマナーは知っているつもりだったので、きちんと切るのを待ったのだ。そういう知識は、スーパーの割引シールが貼られるまでの暇な時間に学校の図書館にある本で学んでいた。


「そういえば、一番の部屋の人ってどんな人なのかなぁ。話しやすい人だといいな」


 カエデは、9時の検査の時に会えると思い、それまで楽しみに取っておく事にした。

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