16話目
「えっと、それはどういう・・・?」
「私、昨日部屋で自殺しようとしたの。そしたら、すぐに人が駆けつけたわ。これって部屋の中が監視されているからだとは思わない?」
「えっと、自殺しようとしたんですか?」
「そうよ。つい、電話のコードを見てたら首を絞めたくなって・・・」
「・・・・・・」
カエデは、どう返事していいか分からなかったので無言で通した。とりあえず、ユカリがコードで首を絞めて死のうとしたところ、すぐに誰かが助けに来たという事は分かった。そんな事が出来るのは、リアルタイムで部屋を確認している時だけだろうから、監視されているという根拠になるだろう。
「どうして監視しているんでしょうか」
「まあ、恐らくだけど私達に何か変化がある実験をするんでしょうね。私としては、早く死ねるなら何でもいいのだけど」
「いや、死なないでください。せっかく、私とこうして話す仲になったんですから」
「・・・そうね。じゃあ、とりあえずここにいる間は自殺しないでおくわ」
「それは、ありがとうございます?」
カエデはお礼をいうべき事なのかどうか迷う。普通、そう簡単に自殺しないものだから。それに、本当に死にたいのならばこうして誰かに話す事も無く、静かに死を選びそうだと思う。なんだかんだで、ユカリも自分の心情を誰かに知ってもらいたいのかもしれない。
それからは話題を変え、雑談を続けていたが、食堂に人が入り始めてきたので場所をあけようと、さっさと食事を済ませる事にした。アヤヒさんをまだ見ていないが、やはり二日酔いなのだろうか? ミカコさんも見ていない。彼女は普段どこに居るのか分からないが。二人は、食器を片付けると部屋へと戻るため歩き出す。
「ユカリさんは、昨日は何をして過ごしていたんですか?」
「部屋でずっとどうやって死ぬのが良いか考えていたわよ?」
「そ、そうなんですか・・・。じゃあ、今日はどう過ごすんですか?」
「とりあえず、午前中は検査だと思うわよ。昨日と同じなら、9時ごろには案内があるはずよ」
「え。ご飯を食べてしまってよかったんでしょうか。検査とかって、普通は朝食を抜くものだと思うんですが」
「別に、健康診断をするわけじゃ無いから大丈夫よ。詳しく知りたかったら、部屋にある電話でコマツさんに聞いてみればいいわ。番号は書いてあるはずよ」
「分かりました」
カエデは、部屋に帰ったらとりあえずミカコに聞いてみようと思う。ここの事をもっと詳しく知らなければならないと思った。ユカリさんに聞こうかとも思ったが、もう部屋まであと少しの所まで戻ってきているし、監視の話もあったので今は自分の部屋に戻る方がいいだろうと判断した。ユカリさんは監視については特に気にしていないようだが、カエデは昨日部屋で着替えていたので、それを見られたかもしれないと気が気でない。それを含めて、関係者であるミカコと話したいのだ。




