14話目
ユカリとカエデは料理が出来るまで待つ。当然、ユカリの白米の方はすぐに出てきたので、今はカエデの定食待ちだ。そして、カエデの定食も出来上がる。2人はチケットをカウンターに置き、料理を受け取る。
ユカリの白米は小なので、平皿におにぎり一個分くらいの量が盛られているだけだ。カエデのハンバーグ定食は、ごはんとみそ汁、大皿にハンバーグとキャベツの千切り、小皿に白菜の漬物と朝に食べるにしては少し量が多い様に思えるが、普通の定食だろう。
「うわー、美味しそうです。久しぶりのハンバーグだー」
「カエデちゃんはハンバーグが好きなの?」
「はい。食べ物の中で、一番好きかもしれません。まあ、食べた事の無い料理もいっぱいありますが・・・」
カエデは高級料理を食べた記憶は全くない。そもそもが貧乏な方の生活水準だったため、外食自体行くことが無かった。その中でも、ごくたまに外食した時に食べたのがハンバーグであり、そのおいしさから虜になったのだ。と言っても、別に専門店とかではなく、普通にチェーン店の600円くらいのハンバーグだったのだが、思い出補正も入っているかもしれない。
「そう・・・。それじゃあ、食べましょうか。いただきます」
「いただきます!」
カエデとユカリは頂きますと、箸を持つ。ユカリは少量だけ白米をつまむと、ゆっくりと咀嚼する。まるで、離乳食の始まった赤子のように、ほんの一口のご飯をゆっくりを噛みしめる。それですら、ユカリは吐き気と戦いながらの食事となるが、カエデの前でその様な様子は見せまいと我慢する。
カエデは、さっそくハンバーグを少しだけ箸で切り取り、口へと運ぶ。それをユカリ同様にゆっくりと咀嚼する。カエデの場合は、味わって食べている。
「美味しい・・・。それにしても、ユカリさんって食事の姿勢がすごく綺麗ですね・・・」
「・・・そう? ありがとう」
ユカリの食べる姿は、まるでモデルのようにきっちりとした姿勢で、ゆっくりと少しずつ食べる姿は、まるで高級なフランス料理を優雅に食べている様に見える。それを見て、カエデも姿勢を正し、綺麗に食べようと気を付ける。まあ、そもそもカエデは料理を綺麗に食べる方というか、切れ端すら全く残さない食べ方なので食べ終わりは綺麗なのだが、見る人が見れば、小さな欠片すら一生懸命に食べるカエデの姿は貧乏くさそうに見える事だろう。実際に貧乏だから仕方ないが。
「ところで、ユカリさんはどうしてここへ・・・? って、聞いてもいいですかね」
「別にいいわよ。隠す必要は無いし、むしろ聞いて欲しいかしら。けれど、気分が悪くなるかもしれないわよ?」
「聞いてみたいです。私以外の人たちが、どういう理由でここに来たのか聞ければ、気持ちの整理が出来るかもしれませんから」
「そう。分かったわ」
ユカリは、口の中のご飯を食べ終えると、静かに話し始めた。




