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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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10話目

「ちなみに、あたしは隣の3番の部屋よ。だから、きっと1番と2番の人が居ると思うのよ」

「なるほど。アヤヒさんの部屋もここと一緒の作り何ですか? 慣れてる様ですけど」

「うん、一緒一緒。ちなみに、場所は都内って事くらいしか分からないわね。テレビ放送は見れるから、その内容で恐らくってだけだけどね。あたし、ここへは窓の外が見えない車で連れて来られたんだ」


 カエデは気が付いたらここにいたため、自分の家からどのくらい離れているのかも分からなかった。ただ、アヤヒも詳しい場所は分からないらしい。今のところ、ここがどのへんなのかという事が分かっただけでマシだろうか。


「あっ、ちなみにこの引き出しにはちょとしたボードゲームなんかも用意されてるから、暇つぶしに遊ぶ?」


 アヤヒが電話の下の引き出しを引っ張ると、中にはオセロやトランプ、ウノ等が入っていた。一人で遊べるものでは無いので、恐らくこうして交友する事を見越しているのだろう。


「今日はもう遅いので、また暇なときにどうでしょうか?」

「あっ、そうだねー。ごめんねー、遅くまで。あたしもそろそろ部屋に帰って寝るわ」

「はい。おやすみなさい。あ、空き缶は私が片付けるのでそのままで構いませんよ」

「ほんと? ありがと、おやすみー」


 アヤヒは、少しふらつきながらも部屋を出て行く。まあ、隣の部屋に行くだけならきっと大丈夫だろうとカエデは鍵を閉め直し、風呂場へと向かう。

 風呂、トイレ、洗面所が一体となっている3点ユニットバス。カエデは服が濡れないように入り口付近にある棚の上にきちんと畳んで置く。そして、浴槽に立つと蛇口をひねってお湯を出す。


「・・・あったかい。久々のお湯、気持ちいい・・・」


 カエデはぬるめの温度で頭からシャワーを浴びる。家のガスが止められてからは、水で濡らしたタオルで体を拭くばかりの生活だった。水では石鹸も硬く感じ、髪がごわごわとしたものだ。ただお湯が使えるだけで、涙がこぼれてくる。

 今までの自分の生活は何だったのか。いっそ、もっと物心つく前からそんな生活だったのならば違和感も抱かず、こんな思いもしなかったのではないかと。


「ははっ・・・。私、どうしちゃったんだろう。悲しいわけじゃ無いのに・・・」


 4年生までの事を思い出し、止まらなくなった涙。カエデはシャワーに打たれるまま浴槽に座りこむ。涙をぬぐい、せっかくだからと使い切りのシャンプーや石鹸を使うことにする。どうやら、これも1日ごとに入れ替えられるようで、封を切って使うようだ。

 カエデは、少しシャワーの温度を上げ、体をあたためるとタオルで体を拭く。そのタオルも柔らかく、柔軟剤のいい匂いがした。やっぱり、家の使い込んだボロボロのタオルと違うなと思いながら、部屋を濡らさないように体の雫を綺麗にふき取る。

 下着は付けないまま、ユニットバスから出る。ベッドに置いてある寝巻として用意された検査衣に着替えると、制服と下着をクローゼットへ仕舞う。


「あっ、下着もあるんだ」


 クローゼットには使い捨てと思われるフリータイプのパンツとブラがあった。せっかくだからと、それを身につける。ブラは必要無いかと思ったけれど、用意されているのだからと付けてみる。うん、やっぱりブラは必要無いかも・・・。そう思いながら、カエデはベッドにゴロンと横になった。

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