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第3話

 いつも眠たい。あのひとに抱かれると、眠りに落ちる。うつ伏せになってもう動かない。


 忙しさのせいだと思っていた。だけど最近、きっとあのひとに抱かれたら、いつでもすぐに眠ってしまうだろうと気付いた。わたしたちは今難しい関係で、わたしは色々と考えてしまう。でも最近、本能的に求めてしまう時がある事に気がついたんだ。


 あのひとに抱かれて、それから、眠りたい。


 一秒だって良い。あの眠りはとても深くて、あのひとがさみしくなって何して来たって動けない。動いてあげないの。あのひととわたし。ふたりきりの時間は短い。その中で抱き合う時間はもっと短い。ひとつになって昇りつめる時間はもっと短いけれど、痺れた心身にその時間はずーんと重たくて、あのひとが果てて終わるのと引き換えに深い眠りを連れて来る。いつも。あのひとの精液は少なくて、勢いも弱い。わたしはいつもそれを身体の奥に受け入れて、少し震えてから眠る。必ず眠るの。その時あのひとはいつも目が冴えちゃうみたくて、わたしたちは別々。お布団掛けてくれるんだ。それはいつだって幸せだった。


 世界は複雑で、単純なわたしたちを複雑にしちゃった。


 あのひと「誰か良いひと見つけなよ、僕より良いひとがたくさん居るんだ。きみはこんなに魅力的なんだから」なんて言う。会えない長い時間の中で。わたしはあのひと以外の男なんて知りたくないって思ってた。だけど、もしそういう人が本当に居たら。わたしは男を信じてない。あのひとでもその人でも、性欲を満たすだけの相手なんか嫌なの。それでももし、いっぱいいっぱいなわたしは捨て猫ちゃんみたいな目で見つめてくるあのひとと、優しく見つめるその人と、どちらを選ぶんだろう?わたしはあのひとをお世話したい。とっても良い人だと思ってるから。それでも強がる程崩れたら脆い気がする。わたしがあのひとじゃなくてその人の逞しい胸にうっとりと抱かれて眠りに落ちる。あのひともそれを求めるのかな?お互いに心から少しずつ血を流して。


 血の涙流して


 そしたらわたしたちふたり、幸せになれるのかな?

 あのひとに気付いて欲しい。わたしは、そしてあのひともきっと、とっても幸せなんだよ。あのひと、わたしが誰かに抱かれるのを見たい、なんて言うんだ。わたしにはわけがわからない。だけどもしかしたら。あのひととっても賢いひとだから、そこにわたしたちふたりの本当の幸せがあるのかもしれない。


 でも一言言わせて。


 わたしはあなたとふたりで、ふたりきりで幸せになりたいんだ。


 わからずや!

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