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#8.狂気の好意

 奏音カノンに別れを告げ、凛音リンネは『ギルド』へと足を運ぶことにした。どうやら『スマホ』に入っている『マップ』という能力で施設の位置が分かるらしい。


 便利な世の中になったのぅ。まぁ六日後への転生なので、ただ単にワシが時代に置いてかれていただけなのじゃが。


「……この服装は落ち着かぬのぅ」


初めて女性用の洋服に身を包んだ凛音リンネは味わったことの無い感覚によって言葉にすることが難しい感情に襲われていた。まだ能力の操作が未熟であることに加えて、武具を持たないことに対し若干の不安を感じつつも広がる景色が目に入る。


「平和になったのぅ」


  国内最高戦力師走しわすや国の重鎮共が身を置く王城に準え、王城を基点として同心円状に広がる街を『城下町』と呼ぶ。


 魔王討伐以前、城下町に活気はなく街並みも殺風景であった。国が魔族に脅かされていた時代だ。凛音リンネ。いや、『シュウ』は魔族の長である魔王討伐に大きく貢献し国の平和に多大なる影響を与え『剣聖』の称号を得たのだ。


 そんな街は現在『城下町』という名称が合う場所へと変貌していた。屋台や露店が並び食材、菓子、武器、防具、玩具など様々な商品が売買されている。


会話と笑顔が絶えない国風。


まさに、凛音リンネが平和を追い求め戦い抜いた功績がそこには広がっていた。


だが、全ての人を救済できた訳ではない。それを証明するかのように路地裏から回折した男たちが揉める声が凛音リンネの耳を掠める。


「放っておけないのぅ……」


音波の震源となる暗く汚れた路地裏を黄金色こがねいろに染まった鋭い眼で覗き見る。


するとそこにはいかにも柄が悪い三人の大男と気品のある格好をした少年がいた。


【錬成:凍結】


能力を使用し【凍結】の能力を作り出す。凛音リンネの雪のように白く光を反射する右手に霜が走る。昨晩、就寝前に行った練習の成果だ。


「ひぃぃぃ!! ごめんなさい!!」


「出すもん出せって言ってんだろ? 殴るぞ?テメェ!」


「お前兄貴舐めてったら怪我すんぞ!!」


兄貴と呼ばれた大男が拳を振り上げ少年に照準を定める。その刹那、凛音リンネは自身の掌に走った光り輝く霜を吐息と共に男達の方へと放つ。


「さみっ!! なんだ――」


「あに―――――」


「ぎょええ――――っ!」


凛音リンネを視界に捉えた瞬間、男たちは忽ち凍り、銅像の様に動きを静止させる。


「お主、大丈夫じゃったか?」


凛音リンネはその少年に近づき手を伸ばす。


しかし、予想に反し少年は両手で凛音リンネの手でなく腕を掴み凛音リンネの身を自身の方へと引き寄せる。


反応が遅れた凛音リンネはバランスを崩し少年と向かい合う形で膝を着く。


「なん……じゃ」


その少年の表情は先程とは異なり狂気に侵されたものと変化していた。その表情に凛音リンネは驚愕し固まる。その一瞬の隙に男は凛音リンネの肩に圧力を加える。その結果、少年がリンネ《リンネ》を地面に押し倒す様な形になった。


「あ、あ、あ、貴方は! なんて名前!? 何が好き? 僕なら何でも君にプレゼントいける!! その、連絡先! 交換しよう!? 今から! 暇!?」


少年の狂気的な好意に生前では感じたことの無い恐怖に襲われ反射的に彼を大男たち同様に凍てつかせた。


「はあ……はあ……な、なんじゃ? こやつは」


突然の出来事に完全に腰が抜けてしまった凛音リンネは少年が割れないように気をつけながら地面に手を当て体を起こす。


 ただのナンパ目的ではない。何か『狂』を感じるその変わり具合に恐怖と共に自身の風貌を再認識した。


8/6から再び投稿頻度を上げていきたいと思っておりますので

何卒宜しくお願い致します。


モチベーションとなりますのでいいね、感想よろしくお願いします。

剣聖凛音ばあちゃんの活躍を応援してくれる方はブックマークもよろしくお願いします。


誤字、語彙訂正受け付けております。

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