表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

800文字ショートショート

「どんな本が好きなんですか?」って質問、やめませんか?

作者: 一色 良薬

 結論から言うと「趣味は何ですか?」って聞かれた時に「読書です」って答えなきゃいいんですよね。

 適当に「健康維持のためにウォーキングを」とか、「料理にハマってまして」とか「推し活に励んでます」とか。いくらでも大人の誤魔化し方が出来るんですけど、なんかそれは嘘じゃないですか? いや嘘ではないのは分かりますけど、ちょっと違うな~って違和感があるんですよね。面倒臭い奴だなってのは分かってます。

 だから正直に「読書です」って答えるんですよ。そうすると定型文の質問が返ってくるわけです。

「へぇ……どんな本が好きなんですか?」

 または「どんなジャンルが好きなんですか?」と聞かれる場合もあります。この質問、私にとってしんどいんですよねぇ。

 まず「本」ってくくりが大きいじゃないですか? 相手が想定している「本」=小説だとしましょうよ。でもこっちは──そうだな。「英辞書です」とか答えたら「え、あ、辞書ってそういう本のくくりに入れるんだ……」みたいな空気が漂うじゃないですか。

 小説は小説でも「官能小説です」とか大真面目に言った日には、言った側が罪人みたいな雰囲気になりますし。

 あと頑なに図録とか雑誌は読書とか「本」としては認めない奴とかもいるんでね。文字が書いてあって、まぁ書いてなくても、「本」として製本されていればれっきとした「本」にカウントされるんですよ。

 だから「どんな本が好きなんですか?」って質問、やめた方がいいですよ。両者の会話を平穏なものとするためには。あんなの何も産まないですからね。

 別に私の趣味なんか聞いてない? いや刑事さん、さっき私の趣味について質問しましたよね。だから読書って答えたじゃないですか。それにどんなものが好きかってのも正直に話しましたよ。

「貴方が盗んだのは学生の卒業アルバムで間違いないですね」

「はい間違いないです」

「ではなぜ盗んだのですか?」

「何故って……読書が趣味だからですけど何か?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ