第二話 異世界
とりあえず助かったことに喜んだが、しかし目の前の男は知らない奴である。でも手を差し伸べられ「大丈夫?」と聞かれていることからして敵意はないのだろうと判断し、大志は男の手を取る。
「すみません、助けてくれてありがとうございます。」そう言うと男は笑いながら言った。
「そんな堅っ苦しい言葉遣いじゃなくていいよ、それに誰だって同じことをするさ。僕はトラジ、君は?」
「僕の名前は大志です。あの…ここはどこですか?」一番の疑問を彼にぶつける。
「タイシくんか、いい名前だね。ここはセントルーア領のゲルド村からちょっと離れた湖、レイリーン湖だけど…知らないでここに来れたのかい?」
…一つもまるで聞いたことの無い地名だった。そして湧いてきたのは「もしや本当に異世界に来たのでは」という実感であった。見たことない狼に日常生活ではお目にかかれない剣、知らない場所にいるというのに何だかワクワクしてきたが、問題はどうやって生きていくかである。しかし今目の前にはこの世界の住人トラジさんがいる、せっかくだし全部聞いてしまうことにした。
「あの!気付いたらここにいて行くあてもないんです、どうすれば暮らしていけるかレクチャーしてもらえませんか?」誤魔化しても意味がないのですべて正直に言ってみることにした。
「え?、ああ、えーと、故郷に帰るのが一番楽だろうけど…故郷ぐらいはあるよね?どこの国に住んでた?」突然大きな声で質問されたからか少し驚きつつトラジさんはそう返す。
「日本です」
「…ええと、街は?」
「東京の辺りです」
「…困ったな、聞き覚えがないや…いやもしかして?─」そう言って一度言葉を区切り、
「タイシくん、君もしかして転生者ってやつかい?」そう聞いてきた。
気付いたら前話から数か月経ってました。
次はもっと早く…