第一話 プロローグ どこかの湖
—綺麗な景色の広がる湖の畔で、松坂大志は目を覚ました—
クラスの帰りの会が終わり、僕はあくびをしながら帰りの支度をする。
支度が終われば友達たちと少し話してから家へ帰り始める…何の変哲もない日常だ。
夜も更け、布団に入り明日のテストに備えようと瞼を閉じた。だが寝ようとしても睡魔はなかなか訪れてくれない。僕は、大好きな異世界系のラノベ世界に自分がいたらという妄想をして時間をつぶす。
「異世界…行ってみたいな。」
そんなを独り言を最後に、意識は夢の世界へ落ちていった。
その日夢を見た。見たことのない街並み、日本とは似ても似つかない場所。
「タイシ?ほら、早く行こう…」
隣で歩いている女の子にそう言われた。
…驚いたことに腕を組みながら一緒に歩いている。綺麗に整えられた銀髪は日の光も反射してしまう程。綺麗な髪を持つその子は、今まで見たどんなものよりも美しかった…気がした。
—綺麗な景色の広がる湖の畔で、僕は目を覚ました—
(うん、なんで?いやまあ昨日見た夢のせいだろうけど…でもいくらなんでもこんな異世界の始まり方は無いでしょ、トラックとかじゃないの?普通さぁ?)
「そもそも異世界に来てるのに普通もなにもないか…」
そうやって辺りを見渡しながらボケとツッコミをこなしていると何かを見つける。
それは鞘に入った剣だった。
「銅で出来た…剣かな…?」
少し鞘から出してみてよく見て見るが銅の片手剣で間違い無さそうだ。辺りを見回してみたが他にはこの剣とセットであろう剣帯以外無さそうだったのでとりあえず拾って身に着けてみた。それに異世界なのだから魔物が襲って来たりするかもしれない。
それから少し歩いていると「ガルルルル…」という唸り声が聞こえてきた。
考えた事が実際に起こる呪いでもかかっているのだろうか…
剣を抜きながら、その音がする方を見るとそこには見たことのない黒い毛の狼がいた。怪我をしているのだろう…血が遠目で見てもわかるほどに垂れていた。
そして…どうみてもこちらを殺す気満々だった。
狼から目を離さないようにしながら後ろに下がり距離をとろうとする。
「グルルル…ガオッ!」
鳴き声と共に狼が飛び掛かってくる。
とっさに剣で自分をガードするように構えるが…飛び掛かってきた狼の力はとても強くそのまま後ろに押し倒されてしまった。
「は…離せ!」
必死に身をよじるが逃げられない。
オオカミに押さえつけられ、僕の首筋にオオカミの口が近づいてゆき…あと少しで噛み付くというその瞬間、真っ白な光線が横から飛んで来て狼を貫いた。
「ウ、ウオォォン…」
狼は光線に貫かれ弱々しく鳴きながら少し逃げた後倒れてしまった。
「やあ、ごめんね…巻き込んじゃって。大丈夫だった?」
いつの間にか近くに来ていた男が手を差し伸べながら聞いてくる。
一応顔を見たがもちろん知らない人だった。
はじめまして!とらじです!このお話は作者の頭でずっと考えていた物語を書き起こしていくシリーズです。更新頻度は低いと思いますが諦めはせずに書いていこうと思います。