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王国の彼是  作者: 紗華
26/197

26:して欲しいこと オレリア


「王族の…居住区…」

己が眠っていた部屋が、公爵家の自室でもなく、王城の客間でもない、王族の居住区と知り愕然となる。


改めて部屋を見回せば、部屋の広さも、置いてある調度品も、王城の客間とは規模も質も桁違いだと分かる。何故今まで気付かなかったのだろう、図々しく入浴までしてしまった。

王族が生活する空間に、王太子の婚約者とはいえ、貴族の令嬢でしかない自分が居ていいはずがない。


「申し訳ございませんっ。ご迷惑をお掛けし、醜態を晒したに留まらず…今、直ぐにっ、屋敷へ戻ります。エルデ、帰る支度を手伝ってーー」

「リア、落ち着くんだ。リアをここに連れて来たのは俺だ。陛下の許可も得ている」

「…フラン様が?」

「リアに何かあった時に、客間まで駆けつけるのに時間がかかってしまう。リアがここに居てくれれば俺も安心出来る」


取り乱す私を落ち着かせる様に、頭を撫でる殿下の手が心地良い。迷惑をかけてしまったと反省せねばならないのに、大切に扱われている様で嬉しくて仕方がない。


「これから執務に向かうが、昼にまた来る。一緒に昼食をとろう」

思いもよらない殿下からの昼食のお誘いに、更に気分が浮上する。


「はいっ。行ってらっしゃいませ、フラン様」

「行って来る。ウィル、リアの護衛を頼む」

「御意に」

私の見送りの言葉に、一瞬目を見開き、微笑んで返事をした殿下は、カイン様と共に執務に向かわれ、ウィル様も扉の外で待機すると言って部屋を出た。


「昼食を…、~~ッ」

「オレリア様、お顔が赤いですよ」

「エルデっ。からかわないで…」

「申し訳ありません。可愛らしくて、つい。殿下の前でもその様にされてはいかがですか?」


『私の前ではありのままで』

あの時の殿下は、未熟なままでもいいと言って下さった。今の私を見ても、きっと殿下は怒らない。

『人前でその様な#顔__表情__#を見せるな!はしたない』

かの方に言われた言葉が頭を過ぎる。


「…駄目よ、はしたないわ」

「その様な事はございません。エルデさんの仰る通り、今のオレリア様はとても可愛らしいです。粗雑な殿下にはもったいないくらいです」

「そ…粗雑?」

殿下の専属侍女をしているエイラの口から、耳を疑う様な言葉が出てきて、思わず聞き返す。

侍女長のカレンと、今目の前に立っているエイラとドナの3人は、サルビア王国に入婿された、オランド殿下の専属侍女をしていたと聞いている。

王族の専属侍女になる程優秀な侍女の口から、不敬とも取れる言葉が出た事に衝撃を受けたが、エイラの隣りに立つドナも、咎めるどころか深く頷きながらエイラの後を引き継ぐ。


「ええ、粗雑です。見た目は王子然りですが、元騎士だからでしょうか、女性の機微に疎く、細やかな気遣いも出来ない。いえ、今のは他の騎士の方々に失礼ですね。騎士の中にも紳士な方はたくさんいらっしゃいますから」

「あ、あの、エイラ?ドナ?」


エイラとドナの殿下に対する評価が辛辣なのは気のせいなの?


「オレリア様、殿下に遠慮は不要です。遠慮などしてたら、あの方は一生気付かないままです。先だっては、オレリア様が殿下にして頂きたい事は何でいらっしゃいますか?」


2人の勢いに押されて、思考を切り替える。

殿下にして頂きたい事…言ってもいいのだろうか?はしたないと呆れないだろうか?

「…頭を…」

「「…頭を…?」」

「撫でて、頂きたい…」

「「…………」」

ドナと、エイラは微笑んだまま。

何の反応も示さない2人に、己の欲求は不敬なのかと不安が過ぎる。


「…すいません、エイラさん、ドナさん。我が主は、まだまだ子供なのです」

「エルデッ!?」

「オレリア様。頭を撫でて欲しいなど、子供が父親に強請る事です。エイラさんと、ドナさんが聞きたい事とは違います」

「そ、そうなの?」

「…そうですね…シシリア王女殿下が、その様な事を殿下に強請っていらっしゃいますね」

恥を忍んで放った欲求を、父親に強請る子供と一蹴された。

ならば、年頃の令嬢達は何を求めていると言うのか。


「~~ッ。そ、それじゃあ、エルデ達は殿方にどんな事をして…もらいたいの?」

「相手はどの様な関係の方でしょう?」

「か、関係?」

「友人、恋人、夫。それぞれ違いますから」

相手によって、求める事も変わるのだと言われ納得するが、婚約者という関係はないのだろうか?殿下とは政略の上に成り立つ関係。となると正解は…


「…友人?」

「殿下とオレリア様は友人なのですか?」

「違うけど…、婚約者の身分で夫などと言ったら、図々しいと叱られるかと思って」

「殿下はオレリア様の夫となる方です。図々しくなどありません。ここに殿下は居ないのですから、遠慮もいりません」

「……恋人でお願い」

友人ではないが、夫でもない。想い合う関係ではないが選択肢は他にない。

世の令嬢達はどんな事を恋人に求めているのか、手を繋ぐ?額にキスとか?抱擁なんて言われたら、私…


エイ「では私から。毎日、好きと言って欲しい」

ドナ「おはようと、おやすみのキス」

エル「お茶を飲む時は膝に乗せて欲しいですね」

エイ「おやつは手ずから食べさせて欲しい」

ドナ「口に付いたクリームはキスで拭って取って欲しい」

エル「…小さなヤキモチを焼かれたいです」

エイ「ケンカした後は、優しく抱き締めて」

エル「ベッドまでは…お姫様抱っこで」

ドナ「繋いだ手の指を絡めて」

エイ「髪を一房持ち上げて」

ドナ「髪にキスしながら」

エル「じっと目を…見つめて…」


「「「全部俺の物だ」」」


「いかがですか?オレリア様、何かして欲しい事はございましたか?」


聞いた相手を間違えてしまったわ…




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