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王国の彼是  作者: 紗華
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19:話し合い?

オレリアを運び出す事を最優先と判断した伯父上が命じた広場の封鎖だが、2人の婚約を祝う為に大聖堂前の広場に集まっていた王都民達は、突然告げられた広場の封鎖に騒ぎ出した。


「馬車は前に着けたが、もう少し時間がかかりそうだな」


外の様子を見てきたイアン団長の報告を受け、腕の中のオレリアに視線を移す。


身体は相変わらず冷たく、瞼はしっかり閉じられ、頬の赤みも消えている。薄く開いた唇が呼吸している事を教えてくれるが、その容貌に人形を抱き締めていると錯覚してしまう。


これ以上は待てない…


「このまま出る」


「焦るな。今出たら騒ぎがもっとーー」


「イアン団長!粉が!空から銀の粉が降ってきました!」


問答を始めたフランとイアン団長に耳を疑う様な報告が降ってきた。


少し開いた扉の隙間から外を窺うと、侍祭達と王都民が揉み合う頭上に、確かに銀粉が舞い落ちている。それに気づいた王都民も騒ぎ出した。



ーーー



「この粉…王都中に降っているのか?」


馬車の窓から外の様子を窺うと、雪の如く舞い散る銀粉に大人も子供も興奮している。


これ(銀粉)のおかげで大聖堂から戻れたが、気味が悪いな」


馬車の向かい側に座るイアン団長が外を眺めながら答えた。


祝福か、厄災か…不安を煽る様に、王城に着くまでの間、銀の粉は振り続けた。



ーーー



「大聖堂内であった事は緘口令を敷いた。王都に舞った銀粉は、魔塔の演出と発表した故、多少の騒ぎは起きても、不審に思われることはないだろう。あの場(婚約の儀)の参列者が当主と後継者で良かった」


先日の夜会を思い出しているのだろう。確かにあの場に夫人や令嬢が居たら、カオス劇の再演に、もれなくオレリアの噂まで付いてくる。


「で?オレリア嬢は?」


「まだ目を覚ましません。宮医はマナが異常に減っていると」


「マナが?娘は他の令嬢に比べマナの保有量は多いですが、操作や制御に問題はありません。幼い頃は制御出来ずに倒れる事もありましたが、学園に入学して以降は一度もありません」

「そもそも、オレリア嬢がマナを使う場面はなかっただろう」


「何か気になる事があるのか?フラン」


伯父上とデュバル公爵の話しを聞きながら、立太子の儀式での事を思い出していると、父が問いかけてきた。


「立太子の儀でも、あの声を聞いたのです」


「俺は聞こえなかったが…マナを注いでる時に落ち着きがなかったのはそのせいか」


「そんなにおかしかったですか?」


「いや、おかしくはなかったさ。父親だから気付いたってだけだ」 


得意げな顔をしているが、そんなに鋭い観察眼を持っているのなら、息子が男色じゃないと分かるだろ。


「で?何て言っていたんだ?」


「まだ、足りない。と言っていました…実は、水晶にマナを注いだ時から身体が怠かったんですが、もしかしたら、注いだ上に吸い取られていたのかもしれません」


「今は大丈夫なのか?」


「ええ。リアを迎えに行くまでは辛かったんですが、今は問題ありません」


「…リア?」


「もう、愛称で呼んでいるのか?」


「ええ。先日、城下を案内して頂いた時から。民の生活を知る事ができ、いい勉強になりました」


「フランは騎士だったからな。町の案内は造作ない」


「馴染みのあった者も紹介してもらいましたが、気さくないい青年ばかりでしたよ」


何故、愛称に食いついた?そして何故、デュバル公爵が答えている?


「その日のことなら、余も宰相から上がった()()()でーー」


「?!っ伯父上!」


「ん?なんだ?フラン」


余りの衝撃に素が出てしまった。報告書が伯父上にまで上がってるなんて聞いていない。

そもそも、この緊急事態に愛称の話をしている場合ではないだろう。


「リ…オレリア嬢は、私と同じ様に、マナを吸い取られたのかもしれません」


「なんだ、呼び方を戻すのか?」


「殿下。どうぞ()()とお呼び下さい」


その言い方は、デュバル公爵のことをリアと呼べと聞こえるが?


「オーソン、そう改って呼べと言われると、かえって呼びにくいだろう」


「これは失礼。私も妻をエリーと呼んでいたんですよ、懐かしいですね」


「私はディアと呼んでいる」


「余はメリッサだ。そのままだな」


「どんな愛称で呼ぼうか頭を悩ませたものだな」


「余も愛称とやらを考えてみるかな」


これは、一体何の話合いだ…?

軌道修正を試みるも失敗に終わり、伯父上の後ろでは、ラヴェル騎士団長とイアン団長が震えている。

ラヴェル騎士団長は、あまり我慢するとまた過呼吸を起こすぞ?


「とにかく。今はオレリア嬢が目覚めるのを待ち、あの声が言っていた()()()()について調べます」


「そうだな…オーソン。緘口令を敷いたからには、オレリア嬢はこのまま王城に居た方がいいだろう。復学を予定しておるそうだが、学園には王妃教育の最終確認と、余の名で通達する」


「ありがとうございます。娘を宜しくお願い致します」


「陛下。オレリア嬢を王家の居住区に移すことを許可して頂けますか?」


「居住区に?」


「オレリア嬢の安全の為です」


「確かに…居住区が一番安全ではあるな。許可しよう」


「ありがとうございます。それでは失礼します」


伯母上はメリッサのままでいいと思う。

過呼吸で倒れたラヴェル騎士団長はネイトが運び出した。












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