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王国の彼是  作者: 紗華
14/197

14:腹黒い提案

「オレリア嬢から手紙が届いた」

「なんだ、自慢か?腹立たしい顔しやがって」

「腹立たしい顔とはなんだ!これは()()()()()だ。どう返事を書けばいいのか相談してるんだ」


早朝の鍛錬を終え、オレリア嬢から届いた手紙の相談を持ちかけたのだが、どうやら相談相手を間違えたらしい。


「毎日、花にカードを添えて送ってただろ」

「カードに一言書くのと、手紙を書くのは違うだろう。この間の謝罪もしていないのに、軽々しく返事を書けない」

()()()()抱きついて、愛称で呼んでたじゃねえか」

「~~ッ、だからっ、相談してるんだろ!」


「ネイト…そのくらいにしてやれ。殿下、オレリア様の手紙には何と?」

俺とネイトの進展のない応酬に苦笑いしながら、ウィルが話しに入ってきた。


「先日の謝罪と快復報告。それから、お見舞に贈った花とドレスのお礼だ。」

面会は中止となったが、婚約は無事に成立。

立太子と婚約の儀を同時に執り行われる事が決まり、オレリア嬢にドレスをを贈る事を公爵家に伝えた。


ナシェルは婚約期間中、一度もドレスを贈った事がなく、伯母上が代わりに贈っていたと聞いて驚いたのだが、女性にドレスなど贈ったことがない俺も困難を極めた。伯母上と母に何度も相談して何とか間に合わせ…今はお披露目の夜会用のドレスに悩んでいる。


「儀式の前に、お会いする時間を作ってはいかがですか?ナシェル殿が滞らせていた執務の処理も終えたのでしょう?」

「ナシェルの残務処理は終えている。他の執務も急ぎはないが、警備計画がな…」


慶事ではあるが事情が事情なだけに、伯父上と話し合い、国外には報告の使者を送るに留め、招待はしない事にした。

国賓の招待もなく、何かあっても自分の身は守れる。であれば、警備はナシェルの時より縮小してもいいのではと思っていたが、騎士の感覚で考えるな、護られる立場に在ると理解しろ。婚約の儀も同時に執り行うのだから厳重に。騎士団長とイアン団長に諌められ縮小の案は却下された。


ウィルの提案は魅力的だが、警備計画の指揮を執る立場として任せきりには出来ない。


「1日位いいのでは?儀式を終え、オレリア様々が復学したら、それこそ会う時間がなくなります」

「ウィルさんの言う通りだな。返事に悩む前に、破廉恥な行いを五体投地で謝罪しろ」

「五体投地は大袈裟ですが…謝罪はした方がいいですね」


「……オレリア嬢の都合を聞いて、日程を調整する。カイン、手紙を公爵家に届けてくれ」

「かしこまりました。ウィルさん、ネイトさん、助かりました。これでフラン様を休ませる時間を確保出来ます」


侍従のカインはキリング侯爵家の次男でフランとは従兄弟同士。3歳上で王宮の文官職に就いていたのを引き抜いた。王太子に仕えるなど畏れ多いと断られたが、退っ引きならない状況を説明したら、呆れながらも承諾してくれた貴重な人物。


「カイン、お前は母親か?休みなど必要ない。時間も不規則で、身体にかかる負担も大きい騎士だった頃に比べ、今は体力が余ってるくらいだ」

「自覚がないとは重症ですね。フラン様は心労という言葉をご存知ですか?慣れない執務に、男色を疑われながら過ごすストレスが日々積もっているんです。オレリア様への所業が、殿()()()()()の現れです」

「カインさんの言う通りだ。それから、フランの疑惑が晴れない限り、俺の身が清らかな証明も出来ない事も忘れるなよ」


カインとは幼い頃からの仲ではあるが、文官の特徴なのか、公と私をきっちり分けており、又、従兄弟同士の気安さから、王太子を諌められる人物で、ネイトとの連携は抜群で容赦ない。


「ネイトは自分から宰相閣下に宣言したと、副団長から聞いてるが?」

「ウィルさん…それは副団長の陰謀のせいです」

「叔父上の事は気の毒でしたが、侍女殿達のウィルさんや私に向ける眼差しに、よからぬものを感じます。私達の名誉の為にも、オレリア嬢との仲をしっかり周りに示して下さい」

「カイン…俺の事を心配してるんじゃないのか?」


「もちろん心配していますよ。フラン様の休息が、我々の名誉を守る事に繋がるのですから」


腹黒い提案だが、会わないまま儀式を迎える事が気になっていたのは確か。

お披露目の夜会で、大勢の貴族達に他人行儀な2人を見せるのも、男色の噂に信憑性を持たせるだろう。不純な動機なのは否めないが、抜き差しならない状況から脱するには、言葉で否定するだけでは足りないのだから。






















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