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大賢者、双子姉妹を助ける

今日は久々の任務以外での外出だ。

最近色々ごたごたしていて外出どころではなかったからな。

今日はメアも御門先輩もアリスもシルヴィア会長もリーゼもいない、単独行動って奴だ。

自由を満喫してた俺の耳に甲高い乙女の悲鳴が聞こえた。


「ちっ、面倒事は嫌いなんだが」


俺は悲鳴が聞こえた路地裏に行くと二人の少女が悪漢に襲われていた。


「お前たち、その辺にしとけよ」


俺は悲鳴を上げていたであろう少女の手を取ると最下級の風の呪文を唱えた。

悪漢達は風に吹き飛ばされてしまい遥か彼方へ飛んで行った。

あの高さなら、まあ落下しても大丈夫だろう。


「君達大丈夫かい?」


「手を離してよ!」


二人の少女の内勝気な一人が俺の手を振り払う。

もう一人の大人しそうな少女は俺の手を握ったまま離さない。

どうやら双子の様だが性格は正反対の様である。


「あんたの力なんか借りなくても、自分でどうにかできたんだからね!」


「姉さん、お礼位言おうよ…」


「いや、いいよ。余計なおせっかいだったみたいだね」


「待ちなさいよ!後ろ!」


「!?」


双子の姉の方が警告すると、俺の後ろには先程吹き飛ばした奴とは別のごろつきがいた。


「伏せて!」


俺が伏せると、彼女はゴロツキに魔力で強化した拳でアッパーを決めた。

吹っ飛ばされたゴロツキは気を失いのびていた。


「いやー助かったよ」


「これでさっきのはチャラだからね」


「はいはい、分かりましたよ」


「それと…いい加減妹の手を離しなさいよ」


「ああ、すまない」


「いえ、こちらこそ…」


妹の方は俺に恥ずかしそうに会釈すると

俺と繋いでいた手を惜しそうに離した。


「私の名はリザ、妹の方はリズよ」


「俺の名はゼロ…一応賢者だ」


「ふーん、あなたがMP無しのゼロの賢者さんね」


「ちょっと姉さん、よしなよ…」


生意気に挑発する姉のリザを妹のリズがなだめる。


「どうせ妹のリズに媚び売りたい下心丸出しのエロ賢者でしょ」


「…随分な物言いだな」


「当たり前でしょ、子供の頃からこうなん…だから…」


「お、おい!大丈夫か!」


俺のMPタンクになり、自分でも魔術を使ったのだから無理もない。

俺は倒れ込んだリザを抱きかかえると学園の自分の部屋にまで運びこむことにした。




「ふぃー、重かったー」


ベッドにリザを寝かせる俺。


「わ、悪かったわね。重くて」


「あっ聞こえてた?言葉の綾って奴だ、気にするな」


「姉さん大丈夫?」


リズが姉のリザに駆け寄り回復魔術を掛けようとする。

しかしそれが無駄だと分かっていた俺は静止する。

体力でなく魔力の消耗の回復はまだ自然回復以外に方法がないのだ。

肉体の消耗でない以上、回復魔術を掛けても意味は無い。


「俺のせいだな、すまん」


「べ、別に気にしてないわよ」


リザが恥ずかしそうに顔を背ける。


「大丈夫か?顔が赤いぞ?」


「男の人にやさしくされたのなんて初めてだから…」


リザは消え入りそうな小声でそう言った。


「ん?何か言ったか?」


「べ、別に!?なんでもないわよ!」


彼女は頬を赤らめながら全否定すると、ベッドから起き上がった。


「リズ、そろそろ帰るわよ」


「ええ、その前にこれを」


「舞踏会の招待状?」


「はい、学園の近くの屋敷で行われるんです。私達の家なんですけど…」


「へぇ、面白そうだな」


「今日のお礼にダンスを手ほどきして上げてもよくってよ?あなたそういうの苦手そうだから」


リザが上から目線で言ってくる。

しかしどこか恥ずかしそうな顔をしていたのを俺は見逃さない。

これが彼女流のお誘いなのだろう。


「その時はお願いするよ」


俺は跪いて彼女の手の甲に口づけをした。


「なななんあなんあなんわえrちゅいjp@「!?」


言葉にならない言葉を発し彼女は頭を沸騰させている。

また倒れられても困るので、妹のリズに頼み俺は退散した。





「へぇー、ここがリザとリズの家か。でっかいお屋敷だなぁ」


「お待ちしておりました賢者ゼロ様、こちらへ」


「は、はい」


俺はメイドに案内され付いていくともの凄く広いダンスホールに通された。

既にホール内には貴族らしき人達が何人もいる。


「ゼ~ロ~!こっちよ~」


上のテラスらしき場所からリザが声をかけて来る。

どうやらドレス姿の様だ。


「ど、どうかしら?変じゃないかしら?」


「うん、綺麗だよリザ」


「とととと当然でしょ!?ままままあありがとう!」


狼狽えるリザとは対照的に隣にいたリズは落ち着いていた。

彼女は姉の赤いドレスとは違い、青いドレスを身につけている。

彼女の周りには既に何人もの貴族らしい男性が取り囲んでいたが、

俺は困りはてているリズの手を取るとこちらに連れ出した。


「悪いな、強引に連れてきちゃって」


「いえ、助かりました」


彼女はうつむいたまま俺の顔を見ようとはしない。

ここはもう一押しだと思った俺は彼女にアタックしてみた。


「そのドレス綺麗だね、かわいいよ」


「!!!????…あ、ありがとうございます!」


リズは顔を赤らめながら俺にお礼を言った。

俺は確かな感触を感じると脈ありだなぁと思った。

その時である、屋敷に悲鳴が響き渡ったのは。


「お前ら動くんじゃねぇ!こいつの命が惜しくねぇのか!」


「姉さん!」


人質に取られていたのはなんとリザだった。

俺はとっさに周囲を見渡しMPタンクになりそうな女性を探す。


「リズ、力を借りるぞ!」


「は、はい!」


俺はリズの手を強く握ると、リザにナイフを突きつけている強盗に狙いを定めた。


「ロックオン!そしてスリープだ!」


「なんだ…急に眠くなってきたぞ…」


「隙あり!」


リザは強盗犯の手からナイフを落とすと、そのままそいつを背負い投げした。

強盗犯はそのまま気絶し、警備の兵に連れてかれた。


「助けてくれてあ、ありがと」


「私からもお礼申し上げます」


リザとリズがお礼を言ってくる。

俺はまんざらでもない感じで頭をかいていた。


「じゃあこれはほんのお返し、ね」


「私も、です」


リザとリズがそれぞれ俺の両頬にキスをした。


「何かあったらいつでも呼んでね!」


「私で何かお役に立つことがあればいつでもご助力いたします」


リザとリズは恥ずかしそうにその場を駆けて行った。

これでハーレムの王にまた一歩近づいた…のかな?


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