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大賢者、逃亡す

俺の名はゼロ、本当の名前は…忘れた。

俺は今学園中を走り回っている、そしてその後ろにはクラスメイトの大群が。

最強の魔力と魔術知識を持ちMP0の俺を利用したいが為に追いかけて来たのだ。

しかし昔からこの学園でイジメを受けてた俺にこいつらと組む理由はなかった。

組むなら俺に関わりのなかった上級生か、はたまた外部の人間か、後は転校生位か。

とにかくこの力を使ってのし上がってやるんだ。


「手を繋いで、早く!」


都合よく待ち伏せしていた金髪の美少女令嬢メア。

転校生であり魅力的である女性である彼女は勿論相棒の対象内だ。

だがこの名門学園には貴族でMPの高い生徒など幾らでもいる。

まだ答えを決めるのは早々だ。

そう考えていた俺の手をメアが強引に握る。


「浮遊の呪文を唱えて!早くしないと追いつかれるわよ!」


「わ、わかった…レビテーション!」


俺が浮遊の魔法を唱えると身体が宙に浮いた。

そして人生二度目の呪文発動に喜ぶ間もなく、俺達は超高速で学園を後にした。

ちなみに浮遊の呪文は高位の魔術で、俺のクラスに使える奴は俺しかいなかった。


学園の裏山にまで飛んできた俺とメアは着地すると、大樹の根元に寝転んだ。


「ふう、ようやく逃げ切ったか…」


「で、私と相棒を組むって話だけど―」


「それだが少し考えさせてくれ」


「そう…なら結婚しましょう、これならどう?」


「は?」


驚く俺。

そりゃそうだろう、魔術師の相棒から結婚なんて飛躍しすぎている。


「俺は平民の出だぞ?両親が反対するんじゃないか?」


「大賢者様なら私の両親も納得してくれるわ」


自信ありげに俺に指を指すメア。

しかし俺にとっては急すぎて訳がわからなかった。


「ちょっと考えさせてくれ…」


俺は疲れた風に裏山の大樹に寄りかかると、深呼吸した。


「まあいいわ、私に勝る候補が他にいるとは思えないものね」


答えは今すぐでなくていいと言う感じで彼女は俺の手を掴んだ。


「さあ帰りましょう、学び舎に」


「あ、ああ」


俺は浮遊の呪文を唱えると彼女と一緒に学園へと戻った。

そして学園の門に着地したそこには先客がいた。


「遅刻か?サボりか?いずれにしても関心せんな」


そこにいたのは帯刀した風紀委員且つ一年先輩の、御門令(ミカド・レイ)だった。

彼女は異国からの留学生で、魔術の名門御門家の出である。

御門先輩は刀を抜くと俺達に突き付けた。


「まあ今日は多めにみてやろう」


突き付けた刀を鞘にしまう御門先輩。


「ラッキー♪さあ、帰りましょう」


「あ、ああ…」


「ちょっと待て、お前はダメだ」


俺だけ呼び止める御門先輩。

なんの用だろう…まさか…!


「…こう、面と向かって言うのは恥ずかしいのだが…」


「(おいおい、やめてくれよ…)」


「私の婿にならないか?」


強力な逃亡対象が一人増えた瞬間だった。



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