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大賢者、決闘す

「はぁ~、困ったわ~」


「どうしたんだメア、ため息なんてついて」


「婚約者…と言っても元だけど、そいつがこの学園にやってくるのよ」


「ふーん、それが何か問題なのか?」


「大方婚約破棄の取り消しって所だろう。関わり合う事はないぞ婿殿」


「そうは言ってもですね、御門先輩…」


ここでメアから逃げられたら俺のハーレム計画に傷がつく。

なにより困ってる美女を放っておけないのが俺の性分だ。

俺はメアの悩み解決に協力する事にした。


「君が新しい婚約者のゼロ君だね。僕はクレーゼ、クレーゼ・マキシリアムだ」


「はいはい、で、そのクレーゼ君がなんの用かね」


「簡単な話だ。メアとの婚約を解消して貰いたい」


「(婚約はしてないけど)だが断る」


「よろしい、ならば決闘だ!」


クレーゼが決闘の証の手袋を俺に投げつける。

俺がそれを拾おうとしたその時、メアが静止した。


「駄目よ拾っちゃ!」



「もう遅いんだが…」


俺は決闘を受ける証に手袋を拾ってしまった。


「まあいいや、メア、手を貸してくれ」


「駄目よ、決闘は一対一なの。誰もMPタンクになれないわ…」


「君の噂は聞いているよ、一人じゃ何もできない賢者様!」


「くっ!?」


図星を付かれ後ずさる俺に対し、クレーゼは距離を詰めて来る。


「これで終わりだエセ賢者!炎よ―」


「炎の、矢!」


クレーゼが展開した魔術の炎はそれごと俺の炎の矢に吹っ飛ばされた。

矢の落下地点の半径1㎞は焼け野原と化している。


「お、おかしいだろこの威力!?」


「俺の魔術の威力がおかしいって…弱すぎって意味だよな?」


俺は嫌味をたっぷり込めて言い返してやった。


「お前は一人じゃ魔術が使えないはずじゃ!?」


「使えるんだなぁ~これが」


俺は懐から魔力の込められた魔石を取り出す。

この世に10個しかない天然の魔石だ。

チート賢者たる俺の知識をもってすればこれを数個集める位は余裕だった。

だが貴重な品である事には違いない。

できれば温存しておきたかったが…


「さあ、形勢逆転だな。次はお前事吹っ飛ばすぞ」


「や、やめてくれ!僕の負けだ!」


「さすが私の旦那様ね!」


メアが俺に抱き着き顔にキスを何度もしてくる。


「今日だけは見逃して…はおけん!破廉恥だぞ貴様ら!」


逃げ回るメアと俺に追いかける御門先輩。

ようやくいつもの日常が戻って来た気がした。



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