依頼
岡崎は、自宅でワイン片手に映画を見ていた。
すると着信が入る。
「ご無沙汰しております。大岩会長」
「岡崎・・・。例のコンサルティング会社はどうであった?」
「小物ですよ。会長が気にかけるような会社ではありません。」
「では、そろそろ本命の港関係に潜入してもらおうかの。」
「潜入とは人聞きが悪いですよ。」
「はっはっは!内情を探り、内から食い破ってもらいたい。」
「運送業と港の港湾荷役業は持ちつ持たれつではないのですか?」
「昔はそうであったが・・・。まあ現状は下請けを2社用意していることで作業料を抑えているが、最近もう片方の経営が危ないようで、どちらか一社になってしまったら、反旗を翻す可能性もある。」
「考えすぎではないですか?」
「事前に潰せるなら、どんなに小さいリスクでも潰しておきたい性質でね。」
そういう会長からの依頼に応えるべくプランを考える。
「最後に、目的は危ない会社を立て直すのではなく、もう一方を完全に逆らえないように牙を抜き飼いならせばいいのですね?」
「その通りだ・・・。入り込めるよう手配はこちらでする。立場について希望は?」
「親会社から天下りしてきた役員ということで・・・。」
「わかった。」
そういうと電話が切れた。
「また、面倒な依頼だな。」
そう呟くと岡崎はワインを飲みほした。