共感と傾聴
「改めまして、山西興業さんから貴方への対応を依頼された岡崎と申します。」
「中島です。 債務者専門カウンセラーとは何ですか?」
「基本的には、中島さんのような多重債務で困っておられる方のメンタル面をサポートし、健康に安全に元金まで完済していただくサポートをさせていただいております。」
「確認ですが、中島さんは実家の事業の失敗から多額の2000万円の借金を抱え、ストレスと自暴自棄からギャンブルに嵌り、山西興業さんから300万円借入されたということで間違いございませんか?」
「そうだ!くそオヤジに嵌められて、保証人として借金を背負わされたんだ!」
「連帯保証人にされたということですね。」
「そうだ!それさえなければ俺が借金を払う必要もなかったのに!」
「おっしゃる通りです。なぜ連帯保証人にされたのかと憤りも当時からあったのではないですか?」
「もちろんあった!」
「その連帯保証人を持ちかけられたときはどのようなお気持ちでしたか?」
「不安も多かったが、お世話になった両親への恩返しだと思ってサインしたよ。」
「そうだったんですね。ご両親への恩返しだと思われたんですね。それは素敵な気持ちだと思います。中島さんは優しい気持ちをお持ちの方ですね。」
その後も現在に至るまでの経緯やその都度感じたことや考えたことを2時間かけて聞き続けた。
度重なる共感とミラーリングにより中島は穏やかな表情になり、岡崎は中島が話を聞く準備ができたと感じた。