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その聖女、ゴリラにつき  作者: 時任雪緒
第4章 学園生時代
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4-18 英雄達の茶会1

喪が明ける前に、トーマスからお茶会を開いてはどうかと提案された。


「お茶会?」

「はい。スタンピードの折に、姉様のサポートに当たった人も多くいたはずです。その方々へのお礼は必要でしょう」

「確かにそうね」

「それに、姉様とお近づきになりたい人もいるでしょうから、この機にまとめてお相手すれば良いのでは」


なるほど。つまりお見合いも兼ねると。

お礼はいいけど、お見合いは正直めんどくさいなぁ。


「もちろん、先日の論功行賞を授かった家の者が優先になります。ただ、これはシヴィル姉様のお見合いだけではありませんよ。ルサルカ叔母様も婚約者は決まっておりませんし、招待される令嬢の中にも、婚約者を探したい方はいるでしょう」


なるほど!さすがトーマス。頭良い。

そういう事ならやる気も出るわ。


「わかったわ。やってみる」

「僕もお手伝いしますよ」

「ありがとう」


そういう訳で、今度はお茶会だ。お茶会のホストは初めてだから緊張する。


まずは日程を決めて、テーマを決めた後は、花や食材、食器とテーブルコーデ、茶葉を商会に発注。

論功行賞受賞者のリストと、釣り書を見比べながら招待客をリストアップ。仲の悪い家もありそうなので、義父達にも確認してもらいながら大体の席次を考える。

商会から大量に手紙を仕入れて招待状を書いて、招待客に発送。ちなみに学園生には、自分で渡したよ。


お茶会は1ヶ月後。どのくらい来てくれるかな?準備は大変だけど、喜んでもらえるように頑張ろう。


ちなみにテーマは、英雄達の茶会。軽食が主役だ。お茶会なのにそんな馬鹿なと呆れられたけど、反対はされなかった。一応ルールを守れていたら良いのだ。


というわけで、軽食のメニュー開発だ。料理長に頼んで、お茶会によく出される軽食を作ってもらった。

サンドイッチとスコーン。これは定番だから外せない。

問題はペイストリー、菓子ね。困った事に、私はあんまりお菓子が好きじゃない。美味しいから出されたらもちろん食べるんだけど、お腹に貯まらないから……。

でも、貴族は老若男女問わずお菓子大好きだ。飯テロと喜ぶ樹里に監修をお願いする。


(これはくど過ぎる)

(香りが強くてお茶の邪魔になる)

(美味しいけど、ポロポロこぼれるから、お茶会では1口サイズがいい)

(手が汚れるから、ケーキよりタルトとかのがいいんじゃない)

(レンゲみたいな大きめボウルのスプーンに盛って、ワンスプーンにしてみたら)


樹里もとても協力的で助かります。


(だってあんたさー、お茶会とかあたしも興味あるのに、そーゆーの全然行かないじゃん)


忙しいんだよ。


(ま、わかってるけどね。ていうか、この世界のお菓子って、謎に充実してるわね)


そう?


(特に口出す事がない。料理もそうだし)


樹里目線でも、食文化は発達してるってこと?食道楽な人が多いのかな?


(かもね。あーせっかく飯テロかませると思ったのにー。この世界、変な所が発達してんのよね)


私はこの世界で生まれ育っているので、樹里の言う変な所がよく分からない。

一応樹里のレパートリーお菓子一覧も見せてもらったけど、私も大体見た事のあるものだった。

言われてみると、違う世界に同じ食べ物があるのって、変なのかも?でも、似たような植物や動物があれば、似たような食文化になると思う。

ていうか、そんな事言われても困る。私が産まれる前からこうなんだし……。


(まぁいいわ。お茶会頑張って)


そうだ。世界の不思議よりもお茶会だ。

あぁ、成功するかな。文句言われないかな。ドキドキする!



周りの助けも借りながらお茶会の準備は進んだけれど、その影でトラブルが起きようとは、予想もしていなかった。




招待状を配ってから数日後、ルサルカお姉様に聞かされた。

どうやら招待状の奪い合いが起きているとの事。

奪い合いも何も、呼んだ人しか入れる気はないのに、何してくれてんの?


「それがね、招待客の1人が行けないからって、仲の良い友人に譲ってしまった人がいたみたいなの」

「それで、招待状があれば行けると勘違いを起こしたと……」

「そうみたいなの。どうするの?」

「どうしましょう……」


そんなの予想外だよ。そりゃ、普通に懇親会的なお茶会ならそれでもいいけど、私ちゃんと、スタンピードでお世話になったお礼って書いたじゃん!世話になってない人をもてなす気はないけど!?

趣旨をわかってくれない人がいるとは思わなかった。とりあえず、最初に譲っちゃった人はもう二度と呼ばない。


とはいえ、学園生での招待客は限られている。両殿下と取り巻きメンバーでしょ、一緒に戦ってくれた貴族の子女でしょ、シャワー室の手配をしてくれた子爵令息、モップ片手に着いてきてくれた伯爵令嬢、救護所で補佐してくれたオルセン子爵令息と、アンバー伯爵夫人のご息女。合わせて20名程だ。

その招待客に一々確認を取り、招待状再発行なんて面倒この上ないけど、仕方がない。


私はちょっと考えてから、全員分の招待状を書き直して、改めて発送した。

学園生には家か寮の部屋に送った。直接渡した私が配慮に欠けていたんだよね。奪ってまで行きたい人がいるとは思わなかった。

後、招待状を奪った人がいると聞いて、剣聖が激怒しているという噂も流した。実際は呆れてるけど。この噂で招待状を返してくれるなり、諦めるなら見逃してあげる。

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