7‐6 いつの間にそんな向上心が?
「すげえよな。これが三英雄の実力なんだよな。噂は聞いてたけど初めて見た。それなのに、アネキもアネキで戦えてるのもすげえ! オイラ、いつかこんな戦いができるようになりてえな」
食い入るように戦う二人を見ていたチャルスがそう呟くと、おもむろに両腕を上げ、シャドーボクシングをするように素振りをし始めた。そのパンチの突き出しは、相変わらず目で捉えるだけでも難しい速さで、俺はつい彼にこう言った。
「いつかって、お前だったらすぐにできるだろ」
「え! 本当か! オイラもすぐに、あんな二人みたいにかっこよく戦えるようになれるのか?」
「お前の攻撃はカルーラよりも速かった。あとは全力で振り切れさえすれば、かなり強い戦士になりそうなもんだがな」
嘘偽りない、素直な感想を言ってみせる。するとチャルスは、途端にその顔を曇らせた。
「それが……オイラ、相手を吹き飛ばそうとする瞬間に、どうしても力が弱まっちゃうんだ」
横で聞いていたセレナが口を挟む。
「そのままの勢いで、最後まで振り切ればいいだけじゃないんですか?」
「いや、誰かを殴ったらほら。そいつが痛がるかもなぁって思っちまって、一瞬で力が抜けちまうんだ」
まさかの答えに、俺は一瞬キョトンとしてしまった。
「……は? 本気で言ってるのか、お前?」
「ほ、本気だよ。オイラ、どうしてもそう思っちまうんだ」
「それなのに、あの二人みたいにはなりたいのか?」
「う、うん。やっぱり、強いってのはオイラの憧れだから」
「憧れって……大丈夫かお前? 凄い矛盾してること言ってるぞ」
「わ、分かってる。オイラだってそれはおかしいことぐらい分かってるんだ。でもオイラ、昔やんちゃし過ぎて、友達を思い切り殴っちまったことがあってよ。その時、当たり所が悪かったみたいで、そいつを気絶させちまったんだ」
「物凄い暴れん坊だな、お前……」
「目が覚めたらそいつは、なんてことなかったって笑いながら言ってくれたけど、オイラ、友達を殴っちまった瞬間に、とても怖い感覚になっちまってさ。背中が寒くてたまらなかったし、死なせちゃったかもって思って凄く体が震えちまったんだ。それが今でも忘れられなくて……」
「お遊びでついやったことが、トラウマになってしまったってことか。もう戦うことから離れた方が早いんじゃないのか?」
「そ、それはダメなんだ。どうしてもオイラは強くなりたい。最強になりたい。決闘祭りで、優勝したいんだ」
「どうしてそこまで? 憧れだけじゃそこまで考えられないぞ、普通」
「約束なんだ。オイラがその友達に申し訳ない気持ちを伝えた時、そいつはオイラにこう言ってくれたんだ。そんなに罪悪感が残ってるのなら、その力で最強になってほしいって。そうすれば自分は、最強に殴られた一番の友達だって自慢話ができるって」
「おお。いい友達じゃねえか」
「そうだ。そいつはいい奴なんだ。だからオイラは、最強を目指さなきゃいけないんだ」
「なるほど。そういう理由があったのか」
チャルスが再びカルーラたちに目をやると、その横顔を見ながら、俺は何かが引っかかるような気がした。チャルスの話しから、どこか自分にも共感できる部分があるように思えていて、その原因が何なのか考えてみたら、それはきっと、トラウマを抱いているという部分だろう。
チャルスが人を殴れない理由は、友達を誤って気絶させたから。その時の光景がトラウマとなり、チャルスは全力で攻撃することが出来なくなってしまった。俺にも同じようなトラウマがある。リトルスパイダーとかいう蜘蛛の魔物。初めてそいつに食われそうになって以来、蜘蛛に対しては強い苦手意識を持つようになってしまった。
一度トラウマになってしまった恐怖は、嫌でも忘れられない。解決できる術があるとするなら、長い時間をかける他ないと、俺はそう思っていた。
だが、チャルスの場合は違う。
「なあチャルス。お前は、どうしても強くなりたいんだな?」
「ああもちろん。オイラは絶対に強くなって、最強の称号を手に入れる。そして、その友達との約束を果たすんだ」
彼はトラウマに挑もうとしている。意識にしみついてしまう最も悪質な存在。生物が天敵から逃げるために、本能的に植え付けられたその感覚に、彼は立ち向かうつもりでいる。
「そしたら、俺がちょっと手伝ってやろうか?」
「本当か!」
「ああ。俺に考えがある。お前が全力で誰かを殴り飛ばせるようになれる、唯一の方法だ」
「なに!? そんな方法があるのか! 人間の兄ちゃん凄いな!」
「ハヤマだ。ついでにこっちはセレナ。まあとりあえず、この俺に任せておけよ」
「おう! オイラ、なんだってやってやるさ!」
チャルスが自信満々でそう言って来ると、背後からセレナが、俺を怪しむように見ていた。
「ハヤマさん。一体チャルス君に何を教えるつもりなんですか?」
「あからさまな声色で聞くなよ。別に変なことは教えねえよ」
「本当ですか? ハヤマさんが正当な方法で、チャルス君に戦い方を教えられる気がしないんですけど」
「俺は戦い方を教えるんじゃない。戦う意識を教えてやるんだ」
「意識、ですか?」
「そうだ。聞いておけチャルス。これ以外に方法は多分ないはずだ」
「おっすハヤマ!」
チャルスの意気込みを目にしてから、俺は説明を始めた。
「チャルスが全力で殴れない理由は、昔気絶させてしまった友達が思い浮かんでしまうから。そしてそれが、見ず知らずの相手であっても想像が膨らんでしまうから。それは間違いないな?」
「おう」
「それだったら、相手が痛がっても当然だと思えるようになればいい」
「なるほどそうか。……でも、具体的にはどうするんだ?」
チャルスの質問に、俺は一度セレナに振り返る。
「時にセレナ。お前だったら、どんな人間が殴られてもいいと思う?」
「え? なんだか物騒な質問ですね……」
「いいから答えてくれ」
「そうですね。……悪いことをしてる人とかですかね。それも、人の命を奪ったり、大事なものを壊したりとか」
「そうだな。そういう奴らは確かに殴られて当然だ。それだけの悪行を働いているから、憎まれてもおかしくない。チャルス。お前の場合はどうだ?」
「オイラは、やっぱり人を悪く言う奴かな。それが友達のことだったら、オイラは絶対に許せないと思う」
「なるほど、悪口をいう奴だな。確かにそいつも殴られてしかるべき悪行だな。人を悪く言えば傷つけてしまう。友達が傷つけられたところを見てしまえば、誰もがそいつのことを憎く思うだろう」
「結局、何が言いたいんですか?」
セレナがそう聞いてくると、俺は話しをまとめた。
「人ってのは、自分が憎く思ってるやつのことには優しくなれない。憎くてしょうがないと思ってしまえば、つい殴りたくなってしまうんだ。その心理を逆に言えば、相手を憎く思えさえすれば、誰だってそいつを殴れてしまうってことになる。つまり、チャルスが誰かを殴るためには、相手が憎くてしょううがない奴だと思い込めばいいのさ」
「なるほど。憎くてしょうがないって思えば、オイラでもパンチが届くってことだな」
「思い込むって、口では簡単に言えても、実際には無理じゃないですか?」
セレナが当然の疑問を口にするが、俺は自分の胸を叩いてみせた。
「そこは任せろ。人を憎く思うのは、俺の得意分野だ」
「おお、さすがハヤマだ」
「胸張って言えることですか、それ……」
「まあ任せておけって。今から俺の言うことを聞けば、誰だって怒りや憎しみの情が湧くはずだ。そうすればチャルスも、きっと全力で俺を殴り飛ばせるはずだ」
「けどよ。ハヤマは殴られても大丈夫なのか?」
「問題ねえよ。俺はこれでも、赤目の戦士にバチバチに殴られてきたからな。痛みには多少慣れてる」
あの鬼神のような攻撃に比べたら、チャルスの全力は比較にすらならないだろう。耐えきれる自信が俺にはあった。
「もしかして、そういう趣味か?」
「んなわけあるか! 俺を変態にしようとするな!」
変なことを聞くチャルスに大声で叫んで分からせる。隣でセレナが「どういうことですか?」と聞いてきたが、俺はそれを無視して話しを続けた。
「とにかく、チャルスは俺を憎く思ったら全力で殴ってこい。何も遠慮はいらねえから」
「おう分かったぜ」
「それじゃ、まずは試しに軽く……」
そう言って「コホン」と一度咳込むと、俺はチャルスを見下すようにしながらゆっくりと口を開いた。
「お前って不快な存在だよな。可愛い系の顔しときながら、中身はパンチできないヒョロヒョロ男子とか。わざとでしか無理でしょ。なに注目されたいの? 女にチヤホヤされたいとか思ってるの?」
「っぎぐ!?」
「あざとい尻尾までつけてさ。そんな見た目で最強目指してますとか、ギャップ狙いのつもりなんだろうけど普通に滑ってるっての。似合ってないんだよ。お前が最強を目指すとか、強くなって友達のためにとか全然似合ってない」
「んな……なにを!」
「力が出し切れないとかただの雑魚だし。というか矛盾も凄いよな。最強目指してるのに誰も殴れないって。戦い舐めてるよな? そんな甘い世界じゃないっての。世の中には木刀の一振りで頭をかち割りそうな人だっているのに、場違いにもほどがある。あざとさを身につけながら目指そうとするなんて、子供でも、いや、脳無しの猿でも考えないんだが」
「ぬぬぬ! ゆるさーん!」
チャルスが怒りの声でそう叫ぶと、右手のトンファーを腹に向けて突き出してきた。それを見た瞬間、俺は体をこわばらせたが、腹に届いた感触は全く威力のない優しいタッチだった。
「……まあ、さすがにこの程度じゃ駄目か」
「こ、この程度って、まだ先があるのかよ、ハヤマ?!」
「当然だ。人を憎むってのは、意外にできないことだからな。実際お前も殴り切れてないわけだし、どんどんいくぞ」
「ひいっ! 結構恐ろしい奴だな、ハヤマって」
カルーラとラグルスが横で激闘を繰り広げる中、俺は悲鳴を上げるチャルスに対し、卑屈な性格から磨き上げられた毒舌を投げ続けた。
「お前の友達は本当の友達なのか?」「この王国で一番の恥晒しだな」「今まで何をして生きてきたんだよ」「そこまで貧弱でいて、何も恥ずかしくないの?」
自分でも容赦のない言葉を浴びせていると分かりつつも、チャルスのために口を止めなかった。チャルスも怒りが込み上げては、俺を全力で殴ろうと何度もトンファーをぶつけてきた。そのどれもが途中で勢いを消してしまっても、俺は毒舌を諦めなかった。
そして、一時間が過ぎ去った今。チャルスが全力のストレートを突き出した。
「オイラの母ちゃんのこと、悪く言うなあ!」
俺の頬にトンファーが当たる。その感触に俺は目を瞑る。いつの間に座り込んでいたセレナがあくびをこぼすのが聞こえると、俺はトンファーを手でどかしながらため息をついた。
「はあ……一体、何がダメなんだ……」
「すまんハヤマ。オイラ、全然強くなれねえな……」
「お前が諦めてどうするんだよ……」
「ハヤマがオイラのために体張ってくれてるのに、こんなんじゃオイラ、迷惑かけちまう」
「迷惑ねえ。お前が手ごたえを掴んだら、別のことを試そうとしてたんだけどな」
そう呟いてる裏で、カルーラとラグルスが未だに火花を散らし合っているのがちらりと映ると、セレナが聞いてきた。
「何を試そうとしてたんですか?」
「俺の素質の可能性だ。カルーラを相手にあれだけ動けたし、ラグルスにも散々言われたから、もしかしたらと思ってな。チャルスの攻撃はカルーラよりも速いし、俺を鍛えてくれたミスラさんよりも速いかもしれない。そんなチャルス相手に実戦形式で経験を積んでいけば、俺も戦えるようになれるのかもって思ったんだ」
俺はなんてことなくそう答えたが、セレナは意外そうな顔を向けてきた。
「ハヤマさん。いつの間にそんな向上心が?」
「……自分でも意外だって思ってる。けれど、なんだろう。戦える奴だって認めてくれるのが、そんなに悪い気がしないっていうか。生まれる世界が、本当はこっちだったんじゃないかって思ったりして、な……」
自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた。
「まあ、要はあれだ。その……どうせだったら確かめておこうってやつだ」
そうはっきり言い切ってみると、セレナはなぜか知らない人を見る目を俺に向けていた。
「だ、大丈夫なんですか? 私の知ってるハヤマさんじゃないですよ?」
「どんな心配だよ。折角なら可能性を突き詰めていった方がいいと思うだろ? これからの旅のためにもなるだろうし」
「それはまあ。私が思ったよりも、魔物との遭遇が多いですから、いざという時に戦えるようにはなった方がいいのは間違いありません。間違いはないんですけど……ハヤマさんが、あのハヤマさんが、まさかそんなことを考えてたなんて」
「わざわざ強調するなよ。俺だって弱いままでいたいわけじゃない。異世界に来てから、色んな場面で情けない姿を晒してきたんだ。その分を取り返すためにも、明日の決闘祭りは丁度いい舞台かもしれない。だから、俺の新しい可能性を、ちょっとは挑戦してみてもいいだろ?」
超常現象でも見てるかのような顔が、俺の言葉を聞いていく度、わずかな微笑みに変わっていき、最後にセレナは満足するようにうなずいた。
「ハヤマさんみたいな人でも、そんなことを思うんですね。なんだか見直しましたよ、私」
「そりゃまあ、隣で頑張るって言ってるやつがいりゃ……」
そこまで口にしたところで、俺はセレナと目がばっちり合ってしまい、思わず顔をそらした。
「いや、やっぱなんでもない」
「ん? 隣で頑張る?」
「なんでもないって。ただの気まぐれだ」
強引に言いくるめると、セレナの頭にハテナマークを浮かんだ。俺としたことが、一体何を口にしようとしていたのか。思い返すだけでも似合わなさ過ぎて寒気がする。そこに都合よく、空気を読まないチャルスが割って入ってくれた。
「ハヤマも強くなりたいってことか。だったらオイラも協力してやるぞ。実戦形式で特訓だ!」
「お。それはありがたい。でもチャルスはまだ俺を殴れてないが、いいのか?」
「オイラも強くなる。だからハヤマ。実戦の中でも何かを言い続けてくれ。戦ってる最中なら、同じ言葉でも頭にくるかもしれない」
「確かに。切羽詰まった状況ならいけるかもな。よし。そしたらやってみるか」
そう言ってチャルスが構えて見せると、俺は横に振り返り、すぐ目の前にある入り口の柵に立てかけておいた、模擬剣を取りにいった。手に取りながらついでにセレナに話しかける。
「そうだ。セレナにも協力してもらいたいな」
「私にもですか?」
「お前の使える土魔法って、土を自由自在に操れるんだよな?」
「はい。そうですけど」
「だったら、常に俺の足元の土が動かせるように準備しててくれないか? それで、俺が何か試そうとする時に、上手い事魔法を発動してくれ」
「何を試すんですか?」
「新しい可能性を探るために、ちょっとな。まあ見てればすぐに分かるから、いつでも準備しといてくれ」
「はあ。よく分かりませんが、一応準備しておきます」
セレナの煮え切らない様子をそのままに、俺はチャルスの前まで戻っていく。そして、模擬剣を片手に構えてみせた後、俺はチャルスの目を見て口を開く。
「実戦だ。せいぜい貧弱なりに戦ってみせろよ、チャルス」
「いきなり挑発か! 上等じゃねえか!」
毒舌を吐き続けながら、チャルスの風を切る攻撃を見切っていく。その間に新しいことへの挑戦もしていくと、その感覚を何度も繰り返し、確かなものへと近づけていった。
そうして時間が流れていくと、辺りはあっという間に真っ暗になっていった。
特訓が続いた長い一日が終わる。俺とセレナは適当な宿で部屋を借り、すぐに死んだように眠ってしまうと、すぐに次の日。決闘祭りの当日は訪れた。
「起きてますか?」
叩かれた部屋の扉を俺は開ける。
「丁度準備が終わったところだ」
「それじゃ行きましょうか、ハヤマさん。決闘祭りへ!」
朝日によって照らされるベルディアコロシアム。獣人と人間が入り混じった、何人もの人々がそこに向かっていき、コロシアムの入り口では、バーゲンセールになだれ込む人だかりで、朝から大賑わいだ。そこに俺たちも、欲深き目標と大きな覚悟を胸に歩いていく。昨日の今日で準備はもう万端。あとは、実戦で自分の実力を確かめるだけだった。
――だが、俺はまだ知らなかった。そこに集う者たちが、本当の強者ぞろいであったことを。
「この日がやってきましたね。お二人の活躍、期待してますよ」
「任せてキョウヤ。私が強くなったところ、ちゃんと見せてあげる!」
「キョウヤ様がお望みならば、このミスラ、全力でお臨みしましょう」
――このプルーグには、断然俺よりも強い人だらけだということを。
「いやあ楽しみだね、二人とも!」
「気が乗らない。なんたって俺もこんな賑やかなところに」
「いいじゃんラシュウ。ネアたちずっと依頼続きだったし、こういう息抜きも必要だよ」
「はあ……」
――彼らが皆、過酷な経験と地道な努力を続けた、選ばれし戦士であることを。
「この盛り上がりは、今までに見たことがないわね」
「ロナでも見たことないんだったら、今年は本当に力を入れてるんだね」
「うおおお! 俺も腕がなってきたぜえ!」
「まさか魔法限定大会が作られるとは。まあ、最強は僕に違いないだろうがな」
「全く調子がいいんだから。誰かフォードをギャフンと言わせる魔法使い、現れてくれないかなぁ……」
「そんな存在、現れる訳がないだろうレイシー。最強の魔法使いは僕以外にあり得ない」
「フォードはブレないな。まあ、とりあえず行こうか」
――俺が知らないところでも、人は高みを目指しているのだと。
「とうとうこの日が来ましたよ、エング先生! 一番弟子ソルス。全力で戦ってまいる所存です!」
「あんま気負い過ぎるなよ。あとふざけ過ぎないように。お前の実力なら、それなりに戦えるはずだからな」
「了解っす! エング先生に教わった魔法、いっちょかましてやりますね」
「……不安だなぁ」
――そして、決闘祭りは、決して遊びではないということを。
「これがベルディアコロシアム。いい眺めではないか。ん? あの黒毛の豹は、確か三英雄の。なるほど。これは面白くなりそうだ――」
「ぬうおおおぉぉぉ!! このグルマンが、今年もやってきてやったぞおおおぉぉぉ!!」
「……なんだったんだ、今の厚かましいおじさんは。さっさと走り去っていったが……まあいい。私の魔法と魔剣。これがどこまで通用するのか、確かめるにはいい機会だ」
かくして、我こそはという強者たちが一斉に集まった決闘祭り。その開催は、もうすぐだ。
七章 だから憧れるんだろうが。最強って言葉に
―完―