ツアー開催
あれから数週間が過ぎました。
魔王は「人族観察ツアー」の準備で大忙しです。
最初は、いやだなと思っていました。仕事はきらいですから。
でも、旅行は好きなので、宿や乗り物の手配やスケジュールを考えたりするのはとても楽しい時間です。
旅行パンフレットに得意な絵を沢山入れてフルカラーで立派なものが出来上がりました。
大きな案内ポスターを仕上げる頃には「ツアーを絶対成功させるぞ!」ってなっていました。
魔王城の売店にポスターが貼られてパンフレットが並べられると、新しモノ好きな魔族達から参加申込みが殺到ししました。スタッフさんたちは今日も大忙しです。
「森の鬼人族さんたちから18名様で申し込みです!」
「西の谷の吸血鬼さん3名様です。食事に保存血液の手配を」
「悪魔さんご家族4名様。大丈夫かな〜これ」
「ホワイトドラゴンさんご夫妻で2名様。ていうか、ホワイトドラゴンさんたちに運んでもらう?」
ツアーの参加者は、合計で200名様にもなりました。
みんなが快適に移動できるように、大きな箱を3つ用意して、みんなが座れる座席を並べました。
これを、白竜産夫妻と魔王がぶら下げて飛んで行けば、快適な空の旅ができます。
さあ、いよいよ「人族観察ツアー」が始まります。
魔王城の広場にあつまった参加者たちに魔王から注意事項の説明です。
◇これから皆さんが向かう人族保護地区は、人族の自然な暮らしを保護する場所です。
人族を捕まえたり、食べたりすることのないようにして下さい。
◇人族は、とても臆病な種族です。魔族を見ただけでびっくりして逃げ惑ったり、襲いかかってくることもあります。
できるだけ姿をみせないように配慮して下さい。
◇人族に襲われた時は、あわてないで現地の保護監視員の指示に従って下さい。
◇保護区の自然を守るために、ゴミは捨てずに全て持ち帰って下さい。
◇その他、現地の保護監視員の指示には必ず従って下さい。
悪魔さん家族の子供たちから質問がでました。
「魂をとるのはOKですか?」
それには、悪魔さんのお父さんが答えました。
「野生の人族の魂は、臭くて美味しくないぞ。それにお腹を壊したりするからやめなさい」
説明が終わったら、ツアーの出発です。
みんなが乗った箱をホワイトドラゴンさん夫妻と魔王が運んで、人族の国の近くに付きました。
「みなさん、ここから歩いて人族の町へ向かいます」
魔王が先頭になって、みんなで歩いて行きます。
ホワイトドラゴンさんも歩いて行くので、どしんどしん大地震のように大地が揺れました。
人族の町が見えてきました。 初めてみる人族の町にみんな大喜びです。
町を囲む城壁の上で、人族の兵士たちが右往左往しています。
城壁の大きな門がゆっくりと閉じていきます。
ホワイトドラゴンさんが言いました。
「わしら目立っとるんじゃないかの」
魔王様は思い出しました。姿を消すのを忘れていたのです。
人族お町は大混乱。
魔王と魔族たちは何もしていないのですが、人族は必死で町から逃げ出しました。
やっとこれでプロローグが終わって、あらすじに繋がりました
やったー