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1、英雄の息子

そして二人の間には息子が生まれた。名前はエリック・ストラトス。エリックは二人が英雄などと知らず、のどかな村で暮らしていた。


「エリック、お前に魔法を教えようと思う」


 七歳になったエリックに父・サディアスは告げた。


「魔法?」


 あどけない子供のエリックは首を傾げる。


「そうだ。魔法だ。いざというときにはお前が村のみんなを守らなければならん」


 父の強い言葉に息子・エリックは反射的にうなずいていた。


「この世界には闇の魔術というものがある。母さんがお前を生む少し前、闇の魔術師は滅んだ。だが、人の闇は深い。王国には彼を信奉する者がいるかもしれん」


「……うん」


「彼と父さんは親友同士だったんだ。どうしてこんなことになったのかわからないが、彼の悪しき意思を止めねば、ならん」


「うん、わかった。父さん、僕魔法をやるよ」


「ははっ、簡単ではないぞ。父さんの指導はちいとばかり厳しいが、それでもやるか」


「うん」


「よし、それでは始めるぞ。エリック!」


 こうして若き父親は護身術として幼い息子を鍛えることにした。そして時は過ぎ、聖王国オルメリア王都マドリアではユーリ女王が玉座で吐息を漏らしていた。


 二十九歳になる若い女王は引退した先代国王の後見を受けながらも、政務に励んでいる。


「闇の魔術師の事件より十五年の月日が経過しました。今こそ、我が国最強の魔術師部隊を編成しなくてはなりません」


 壮年の男性が貴族服に身を包みながら、意見を述べる。


「そう……ですね」

「女王陛下も魔術師の中から結婚相手を選ばれませ」


 杖を突いた老人が大きな声で言った。貴族服の男が肩をすくめる。


「大きなお世話です。ハロルド名誉学院長」


 女王はギロリと睨む。女王の夫はいない。未婚の女王であり、そのことに貴族たちも心配している。


「父上、陛下に不敬でありましょう」


 にやにや笑いながら、男が言う。


「ベルトゼン公爵、あなたには闇の魔術師たちを抑えるすべがあると?」

「はい、陛下。このベルトゼンめにお任せあれ。私の推薦する選りすぐりの魔術師たちを陛下に」


「お待ちください。陛下。我が学院の生徒からお選びくださいませ」

「何を言っている! 我らが経営するビルドバード家の魔術学園では国の守りにはならぬと申すか!」


 妙齢の女性は薄く笑む。軽装だが、どことなく品のある佇まい。年齢は二十後半だろうか。薄く塗った口紅が言葉を紡ぐ。


「闇の魔術師と戦ったのは我が姉・エルメスでございます。その息子を呼び寄せましょう。きっと陛下のお役に立つはずでございます」


「英雄・サディアスとエルメスの息子……」


 女王陛下が息を呑む。大きく目を見開くベルトゼン公爵と対照的に女は余裕の笑みを浮かべていた。


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