髪型革命ゲームpart1
「はぇえええ ガラス張りだぁ」
ガラス張りの建物 中にはオシャレな人達。
この景色にも割と見慣れたもんだ。
「ここは SKY TOKYO 多分今 1番有名店なんじゃないかな?」
テレビでも 特集されてる お店で
美容師 一人一人に ファンが居て
神の様に扱われてる店だ。
「んいやぁ、 いきなりこんなキラキラした店とかじゃなくて ワンクションまぁまぁな所挟んだ方がよくねぇべか?」
「なんで 訛ってるんだよ笑
やっぱ 気持ち変える為には 形から入らないとね
今 日本で 1番の店に行くのが それには1番!
地元の床屋みたいなところ行ってるお前のままじゃダメでしょ!」
とある高校強豪サッカー部の監督が
1番生徒達のモチベーションを上げる方法を
インタビューで言っていた。それは
"ホンモノ"と触れ合う事だという事だ。
「ふざけんな!!床屋なんか行ってないわ!」
いきなり翠が激昂した。
地元の床屋に行ってるは流石に酷い事を
言ってしまったのと 反省しようとした。
「セルフカットじゃ!」
ズコーッ...
思わず挫いて 噴水に 膝をぶつけた。
「イッテェ...って怒るとこそこ?!」
「当たり前よ!もう四年やってるから ノールックで 後ろまで切れまっせ!旦那!!」
身振り手振りで 切ってる仕草を表現する。
「はぁ...そいつは 良かったですたい...
ほんじゃいくよ?」
受付の人と目が合う。何度も来てる為
手を振ってくれていた。
「おーぅ!!葵くん ひっさびさ!!」
相変わらず チャラそうであるが
それがいい。地元のお兄ちゃんみたいな存在だから 髪型の相談だけではなく 進路の相談や 恋愛の相談を なんとなく喋れてしまう。懐に入られてる感じがするが それも悪い気がしない。
「あ、お久しぶりです!ヤーメン!!!」
アメリカ人でもびっくりするくらい
流れる様なシェクハイドをかます。
どうだ!これが原宿だ!翠!!!
「なに ヤーマンって ダッサーイ!プークススww」
この田舎 ド陰キャ前髪オバQには
可笑しく見えた様だ。
「君が予約したガールズ??今日はよろしくチーッス!」
「あ、どうも...」
おい!俺の時と違って萎縮すんなよメーン!!!
このコミュ症オバケが!!
「じゃあ 切ろっか!よろしくね!葵くんは 隣行く?」
「あ、はい!よろしくお願いしますっす!」
ここに来ると なんか 俺の喋り方まで
チャラくなる。雰囲気作りは もはや演出レベルだなと思った。ディズニーランドに行ったら浮かれて耳をつけたくなるみたいな感じだな。
扉を開くとそこは 夢の国の様だ。
いらっしゃいませー!!と若いかっこいいお兄ちゃん達が声をかけてくれて よし!今から変わるだ!という意気込みにしてくれる。
しかしまぁ 翠は疑念を払わない。
「ねぇ!高そう!詐欺られたりしない??
ホストクラブみたい!!!!」
こいつは 人を疑わなきゃ気が済まないらしい。
疑ってばかりいればそれは 騙されずに済むかもしれない でも 信じる者と書いて合わせると あら不思議!儲という漢字が出来上がる。
何事も 疑いすぎちゃ ダメなのである。
「大丈夫。俺の事信じてくれるんだろ?
俺はお前が変われるって信じてる。
だから お前を信じる 俺を信じてくれ。な?」
我ながら テンプレートの様なセリフに
赤面しそうになる。まぁ これがアニメから拝借した言葉なんて 普通の女の子じゃ 分からないだろう。
「なにこれ グレンラガンかよ!自分言葉みたいに言っちゃって だっさーい プークススww」
どうやら 普通の女の子では無かったみたいだ。
アニマックスが友達みたいな奴だった事を忘れていた。普通に恥ずかしい。
「うっせーな!笑笑照れ隠しって奴だよ!」
「はいはい。でも さっきの洋服屋さんの事があるかね。信じてるよ!春ちゃん!」
「なんだよ 春ちゃんって笑 毎回呼び方変えんなや!」
「あれれ〜?おっかしいなぁ〜。天下のイケメン様が照れてるよぉ〜?」
「お前はどこぞの名探偵か!!この野郎!!」
仲が良いんだか 悪いんだか分からない。
「あはは!お熱いね!お2人様!!」
「「熱くないです!!!!」」
2人して 突っかかった。
「はいはい!じゃあ この席ね!座って待っててね!」
奥の あからさまに芸能人が座る席を用意してくれた。2人分の席を取るし 話しやすい席を取ってくれたのだろう。
「ありがとうございます!」
「うん!いま 中田さん呼ぶからね!」
そういうと お兄さんは 小走りで かけて行った。
「もうちょいアットホームで もっとこう...なんというか キラキラしてない感じにしてよね!なんか どう立ち回っていいか 分からないじゃんか!」
翠は 居心地が悪そうにしている。
「まぁ 髪切るだけなんだからさ!いいじゃん!
俺も居るしね!」
「あのねぇ...元はあなたみたいな人間が1番苦手なんだから その理論も通用しないの!わかる?do you understand??hey?ヤーメン??」
見た目で1番似合わなそうな発言をするもんだから
少しおかしくて 笑えてくる。
「なに 笑ってんのよ!あー!!!もう!!!
あんまり前髪は切らないからね!!」
「じゃあ これくらいにしよ!!」
置いてある雑誌 おでこの真ん中くらいの前髪のモデルを指差す。
「バッカか!ピノ子か!おじゃる丸か!
どっちなーんだい!!!」
「きんにくん?!」
細かいボケを入れてくるあたり
めちゃくちゃは緊張してないんだようと
思った。
そうしてると 向こう側から 中田さんがやって来た。
「どーも!!葵ちゃん ひっさびさー!!
お、この子彼女??」
「いえ、違います。」
食い気味で翠が言う。
いや そんな否定しないでいいだろうよ!
「いや この子をこう キラっと系女子というか
いや見た目的に無理なのは知ってるんですけど
マシな感じにして欲しくて!!」
「無理って何よ!顔はともかく スタイルはそんなに悪く無いなずだよ?!顔隠せばいける口だよ?!行ける!行けない!どっちなんだーい!」
「だから なんできんにくん?!」
「あはは 仲良いね!」
中田さんまで それを言うのかと 思った。
「まぁでも 君 可愛いから 髪型変えれば
とても良くなるよ。」
チャラそうなのに 鏡越しの中田さんの目は真剣だ。少し髪をいじりながら 形をイメージしている。伊達に プロフェッショナルと呼ばれて居ないんだろうなって 側から見ていて 想像出来た。
翠もその瞬間だけは 一瞬固まった。
「うん。可愛くなれるね。」
そういうと 近くに居たさっきのアシスタントのお兄ちゃんに声を掛け シャンプー台へと翠を連れて行った。
「紹介してくれて ありがとう。彼女さんかな?」
中田さんが変な冗談を言ってくる。
「まさか!クラスで隣の席になった女子で
好きな人が居るみたいだから 可愛くしたいなと思っただけですよ!」
「え、それで 葵くんはいいの?」
中田さんが 意味深な質問をしてくる。
「え、いいの?って 何がですか?笑」
「あの子だいぶ化けると思うよ?
だから それに気付いて 唾つけてるのかと
思ったよ!気付いてないなら まだまだだな 葵ちゃん!」
そう言い残すと 次のカットの確認があるのか
丸椅子を転がし 次のお客さんの所へ 転がって行った。
まったく 店長も中田さんも変な事言うなぁ...と
思った。そうして 美しい自分の姿を鏡で見ていた。ったく こんなイケメン様が あんな地味な奴に釣り合うわけ無いだろ?そう自分に語りかけていた。
「おい ナルシスオバケ!!」
頭にワカメを乗っけてる様な藻女がそこに立っていた。
「出汁取って来たのか?」
「んだよ 偉そうに。学校では 隠してるだろうけど お前こそ 自分イケメンでしょ?って感じが 出汁みたいに出てるぞ バーカ。」
ある程度の容姿は 髪型や服装で誤魔化せるだろうが やはり こんな女には 靡くわけが無い。
ワカメだけにな。と 笑いを堪えるのに必死だった。
「なーに 笑ってんだよ!そんな変か?」
「あ?ううん笑大丈夫大丈夫!まだマシ!」
「大丈夫!って言葉が1番傷付くからやめてよね!笑」
内心小馬鹿にしてるのに 笑える翠のメンタルの強さを心で讃えた。
「うぇーい!!だいぶ長いね。どんくらい切ろうか?」
「あ...あ...」
だから なぜたじろぐ?!え?!
俺の時はめちゃくちゃ喋る癖に!!
「えっと 基本は ストレートタッチなんですけど
この子黒髪は綺麗なんで ロングのままにしたいんですよね!毛量が少し多いで 量を少し減らして
前髪を眉毛に被るくらいにしてくれたら 嬉しいです!!」
「ok〜。この子の事だいぶわかってるんだね。了解。」
そういうとハサミを取り出す。
「慣れてんな!お前!何人女連れて来たんだ?!あ?!」
翠が先ほどのたじろぎと打って変わりヤンキーみたいな口調で話す。
「いや なんで 俺にはそんな感じ?!人格何個あんの?!たじろぎのお前 ヤンキーのお前 ホントのお前はどっちなんだーい!!あい!!」
渾身のきんにくんボケをかます。が 翠の顔は冷めている。
「はぁ...」
「いや さっきまで お前がやってたやーつ!!」
まったく ペースを乱されて仕方ない。
「葵ちゃん あれだね。よく喋る子なんだね。
なんか楽しそうでこっちも 嬉しいよ!」
「いや そんなんじゃないんす!こいつ俺の事舐めて見てくるんですよ。」
威嚇する様に 翠を見る。
「まぁ 葵ちゃんは 普段女の子に色目使われるしね
それくらいの方が 気が楽なんじゃないの?」
まぁ確かに こんな物事を考えずに
喋れるのは 小学校低学年の時 向かいに住んでた
理香ちゃんぶりだなと思った。その時は好きだったけど 小学校高学年になって お互いよそよそしくなり 好きじゃなくなった事を思い出した。
大人になるとは 面倒くさい事なんだなって
その時 思った事を思い出した。
「それじゃ オーダー通りにしていくね。」
何の迷いもなく バッサバサと切っていく。
広がっていた 大きくなっていた頭がどんどん小さくなっていく。あまりの変わり様に 面白がって見ていた そして 前髪に差し掛かり 前髪をばっさり切った時に 僕は 興味から 少し好意に変わってる事に気付いた。
あれ?もしかして 本当にこいつ可愛い??
ジロジロ理科の実験の様に見ていると翠が
口を開く。
「なにそんなジロジロ見てるんだよ。
通報するよ?」
「あ...えっと その...いや なんか良くなって来たなって思って。」
思わず ホントの事を言ってしまう。
「は?!なに茶化してるんだよ!きんも!きんも!!」
小学校低学年レベルの口喧嘩がはじまる。
「あははは お2人さん お熱いねぇー!」
「「だから そんなんじゃない!!」」.
声が裏返って仕方ない。
まったく なんなんだよ。
色んな姿が見れて コロコロ変わる表情を見れて
なんだったら 自分の手で いい方向に変わっていく様子を見れて 少しずつだが 葵の気持ちもコロコロ変わっていく。これはもしかして 恋心なのか?
マンガ見たいな恋のシーソーゲームが今はじまる!!
「おい。」
「わ?!」
「なにブツブツしゃべってんだよ 悪口か?」
「いやいやいや!!違う違う!!あの...山月記の暗記をしてたんだよ!ほら 古典のテストあるからさ!!!」
「いや その範囲もう終わってますけど...」
「男のバイブル的なところあるじゃん?山月記!
虎になりたい!っていう衝動が男にはあるんだよ」
「あおいちゃん。35年生きてるけど
虎になりたいなんて 思った事ないよ?」
「ちょっと 中田さんまで!!!!」
「すいません...うちの 春風が...この子たまに 虚ろな目をして 1人で喋ってるんです...病気なんです...
エグエグ...」
「葵ちゃん...鏡の見過ぎで違う人格が出来ちゃったんだね...大丈夫。それでも僕は葵ちゃんを見捨てないからね!!安心してね!」
「だーかーら!!もう!!
えっと!えっと!次回きちんと話すから
そうゆう目で見ないで!!」
「次回!葵 死す!!!デュエルスタンバイ!!」
「おおおおい!!!!」




