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モテる男の落とし方。  作者: 鈴木ひきこもり。
1/11

深層心理くすぐりゲーム。

俺の名前は 春風 葵。

女みたいな名前。苗字は少女漫画みたいで

偽名みたいだけど 本名だ。

親もバカだよな。もし名前負けする様な

平凡な顔だったらどうすんだよ...。って

思うが 残念ながら イケメンに産んでくれた。


バカだけど かっこいいだけが取り柄の父親。

アホだけど 綺麗だけが取り柄の母親。

いつもテンプレートの様な イチャイチャぶりを

発揮してる。...まぁ感謝はしているんだけどね。


名前と容姿のダブルタックで

俺はモテにモテた。

入学式の度に 見学に来る女子達。

もちろん 高校に入った 今日もだ。

噂が噂を呼んで 先輩でさえ 行脚をしてる。

ボーッとしたふりをして 黒板を焦点を合わせ

ふと 目が合う様に 扉に 目を向ける。

そして ニコッと笑うと 黄色い歓声。


男子からは嫌われない様に

ひたすらとぼける事が大切だ。


「葵 お前すげーな!!」


「えっ?何のこと?」


「みんなお前の事見に来てるんだぜ?」


「いやいや そんな事無いよ。僕は 拓人君の事見に来てるんだと 思ってたけど...?」


相手を気持ちよくさせてあげれば大丈夫。

あまりにもモテ過ぎると 同性からは

嫌われる。これは 小学生のうちに覚えた。

中学校からは ずっとミスをせずに 完璧な

イケメンライフを送れた。俺だけは フィクションの

世界で生きる事を可能にした。


「えっ?そうなのかな?でも葵見てる人も多いと思うよ!」


完全なる 高校デビューを狙う 拓人。

馬鹿か。全部俺様だ。その前髪どうにかしろ

田舎者。我ながら 自分の性格の悪さを愛して止まない。見下す人生は楽し過ぎる。常に下がいると言う安心感で 堪らない。幼稚園生と 鬼ごっこをしてる感覚だ。凡人どもにはこれくらい言えば分かるよね。


常に笑顔を振りまく余裕がある。

これが 美人が性格良く育ち

ブスが 性格悪くなっていく根元でもあると

15歳ながら 気付いていた。


「ねぇ!隣のクラスの 蒼くんもかっこいいらしいよ!見に行こうよ!!」


「えっ!見に行く!!」


「まっ、私は葵くん派だけどね!」


「何組!!」


「3組!!!!」



どうやら 隣のクラスには もう一人イケメンが

居るらしい。


「えっ!モデルの子じゃん!!ほら ファッション誌の!読モだよ!!橋立蒼くんじゃん!」


「マジ?!読モ?!私も行くわ!!」


なんだって?モデル?

気になってしょうがない。

かっこいい上に 社会的地位を得てるのか?

俺の No. 1イケメンライフがこんな所で挫折するのか?と 震えが止まらなかった。そんな時だった。



「あ゛ぁぁぁぁ!」


地の底から響く様な 小さ叫び声が聞こえる。

隣の 女子だ。名前はまだ知らない。

前髪が長くて顔が見えない。


「また 蒼くんの 格好良さがバレた...しかも初日から...オワタ...」


独り言がうるさい。とにかくうるさい。


「だよね...うん。かっこいいもん。同じ高校来た所で 私には ノーチャン。チャンチャン。って話ですよ。

私と蒼くんなんて チャンチャラおかしな話ですよ。

って チャンチャンばっかり...あ゛ぁぁぁぁ」


「フッ...笑笑」


独り言に思わず笑ってしまった。


「ハッ!! あ!エイヤ!すみません!!!独り言うるさかったですよね!」


「あ、そんな事ないですよ。面白い人だなって思って。ニコッ」

必殺 満面の笑み これで落ちる可能性は95%。

俺はイケメンが居てムカつくんだ。

今のうちにこいつを落として イケメン票を獲得しておこう。


「いやぁ。蒼くんかっこよくて 中学の時もずっとモテてて せめて高校行けば もっとかっこいい人がいて

蒼くんから 注目が少しでも ズレればな なんて思ってたんですけど やっぱりダメでした うぇえええええ゛」


こいつ サラッと傷付く事言うな。と思った。


「そうですよね。でもこのクラスにもイケメン多いじゃないですかね?さっきも女子多かったですし そこらへん疎いから 誰が人気とか 僕には分からないんですけどね...ハハッ。僕 葵っていいます!よろしくね!」


葵って名前は もうある程度女子には行き渡っている。そして このクラスに イケメンがいるのは確実。

さぁ これで 俺の存在に気付け。そして 3年間を俺に使え この前髪お化け...。


「あぁ。あのみんなが言ってる人 あなたなんですね。」



きたー!!!やっと気付いたか!そうだ。俺様だ。

まずは存在を認知させる所からだ。

そして 俺と居る事の 価値を認識させる所だ。


「え、あ。僕ですか?あの女の子達が?まさか...笑笑」


後ろを振り返り 廊下に居る女子に 会釈をする。

その瞬間 轟く 黄色い歓声。


「ほら なんか 僕が目を合わせたら笑われちゃってますし...きっと僕じゃないですよ...ははっ」


疎いアピールと ちょっと天然アピールだ。

実際漫画の様な 天然は存在しない。

居たら確実に計算だ。だが 俺の様なイケメンは

フィクションを現実にするのだ。

腹の底から こみ上げる 笑い声。

ミサミサを抱きしめた時の夜神月の顔をしているだろう。



「はぁ。気付いてる癖に。そうやって 自分に嘘ついてるの疲れません???」


ふと我に返った。


「え?...なんのことかな ハハッ」


「なんか無理してるでしょ?計算してるのが伝わるっていうか 綺麗な顔してるからって よく見せたいと思いが強過ぎて なんか 辛そう?

あ、ってごめんなさい!なんか初対面なのに ズブズブ言い過ぎましたね。」


「は?どうゆう事だよ。僕のどこが無理してんだよ。」


「あ、今は無理してないですね。少し本物が出てきた!!」


「だから 意味分からないって!」


「ほーら!そんな怖い表情してると 積み上げるものも積み上がらないですよ!!」


またもや我に返る。


「だから どうゆう事なんだよ!!僕が計算してるとか 嘘付くとかってさ!」


「私 嘘とか 演じてるとか 相手の考え読めちゃうんですよ!だから 自分は嘘付きたくないから 正直に生き過ぎて?苦しい?的な感じなんですけど 葵くんは 嘘つきすぎて 苦しそう!」


「いや!これが 俺!嘘ついてない!!」


「あ!やっと 俺に変わった!僕なんて言うタイプじゃないと思った!!今は少し本当!」


ダメだ ペースを完全に握られている。


「じゃあ お前の好きな蒼くんは 嘘ついてないのかよ!!」


「あぁあ゛゛゛゛゛」


急に頭を抱えはじめた。


「え?なに?笑笑 え??いきなり?笑笑」


「蒼くん 尊い...うぅ゛...」


机に突っ伏して 涙を流し 鼻水を垂らしている。

なんだこの変幻自在オバケは。


「あの人は 自分がかっこいいって知ってる上で

なんの嫌味も無く それを発散出来てるんです。

だから 友達も多いし 私も すーっと 魅せられてしまうです...。かっこいい...」


俺の蒼が気になって仕方なくなって居た。


「お前は 蒼と中学の時 話したりしたのか?」


「ぜぇえええん ぜぇえん!!!無理!!

イケメンの思考回路が分からない....」


「いや 俺とは 話せてるじゃん!」


「いや 葵くんは 性格が悪いのが伝わるから

大丈夫!!」


「うるせ!!!」


「はぁぁ。もう私の3年はまた 終わるのね。

はぁ。終わった。オワタ州...それはどこ...

あ...オハイオ州か....似てる...はぁぁ...

私が持ってるのは ペンシル!! バニア州...

なんてね...はぁ...」


「ぷっ...笑笑さんむ。」


「だって こうでもしてないと 悲しくてはぁぁ..」


「じゃあ 俺が手伝ってやるよ!!」


「え?」


「いや イケメンの思考回路だったら 俺に任せろよ!

俺が男の深層心理とか教えたり サポートしてやるからさ!!」


「....」



「お?不満か?」



「いや なんか怪しい...笑笑」



「なんだよそれ!笑 お前に嘘は通じないんだろ?」

本当は そんなイケメンの的に 彼女が出来れば

人気がガタ落ちするのを 狙っているなんて

絶対に言えない。まぁ でも こいつじゃ無理か。

とか 今気づいたって事も絶対に言えない。



「あ...あ..あ...」


「いや カオナシかよ!ほら握手!」


「ありがとうございます!よろしくお願いします!」


「おっしゃ!同盟だな!」


「じゃあ私は 葵くんの性格の悪さ治すね!」


「うるさい!!!笑笑」



こうして 僕らの同盟がはじまった。

題して 日米修好通商条約!!


「いや 不平等条約やんけ!!!!

破棄するわ!破棄!!」


「分かったよ!笑笑 じゃあ次までに

決めるか!じゃあ また後でね!」

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