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旅の前に 1

投稿いたしました。


ブロスフォード家の邸宅の一室で僕を始め、母様、シア、リーシェン、カーナの5人で、魔宝石店での出来事を皆に相談しているところだ。


「そう、その魔宝石店はダルナン商会という、この国でも最大規模の商会の一つだね。」


母様が教えてくれるがその表情はあまり良い雰囲気で無いことを物語っている。


「やっぱり、その商会って何かあるの?」


僕の質問に母様は少し考えた素振りを見せてから自分の納得して頷く。


「これは此処だけの話にしてね。そのダルナン商会については、国としても内々に調査を進めているところなの。」

「調査ですか?

「そう、表向きは健全な商売をしてる大商会だけど、実際は違法性の商売をする闇商人じゃないかって噂が絶えないのよ。」

「闇商人といいますと?」


母様の話にシアが聞き返す。


「まあ、毒薬や違法薬物の取引、違法奴隷の取引、盗難品の売買ルートの元締とかね、表には出ない地下で暗躍する商人の事ね。」


嘆息混じりに首を振る母様。


「その様な商人をお父様はお許しになっているのですか?」


シアの顔は険しいものだった。それはそうだろう。自分の父であるフォレスタール王が治める国にその様な輩が堂々と住んでいる事が信じられないのだろう。


「シア姫様、それは違います。これはどんな名君であろうと、人の闇にある欲求は絶えさせる事は出来ません。その欲求の為にはどんな犯罪だろうと、違法な事であろうとその目をかい潜りいつの間にかそこに居るものなのです。」


「では、その違法なる者を取り締まり、野放しにしないのはお父様のお仕事なのではありませんか?」


真剣な表情で母様に詰め寄るシア。さすがこの国の王女、ちゃんと国の事を考えている。


「その通りです。姫様。ですので王は私に内々にと内省調査を指示されているの。」

「内省調査ですか?」

「はい、恥ずかしい話だけど、このダルナン商会には何度となく法務省の役人も煮え湯を飲まされて来ているのですが、それがどうも身内にダルナン商会の息が掛かった者が居るようで、おかげで内部情報が駄々漏れという状態が続いているのよ。」

「つまり母様は、そのダルナン商会の息が掛かった者の洗い出しをしているわけだ。」

「まあ、引退した私では直接は動けないけど、法務省にも元私の部下や弟子が結構いるからね、その辺から情報を集めている最中だったのよ。」


母様がそんな事しているとは知らなかった。まあむしろこれだけ能力の高い人間を王国が遊ばせて置くこと事がおかしいよね。


「それで、レン達の方はどうしてそのダルナン商会がおかしいって判ったの?」


母様は真向かいのソファーに座る僕とシアを交互に見て、問いかけてきた。

そこで、たまたま入った魔宝石店の事を最初から話す事にした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「なるほどね。で、シア姫様は何を見られたんです?」


事のいきさつを一通り聞いた母様が、体調崩してまで見てくれた店員の心を聞いてきた。


「はい、まずはあの店員の言っている事は魔宝石や投資などについては、おおむね嘘ではありませんでした。」


後で聞いた話なんだけど、シアの加護、神意を見る者、は言葉とかがそのまま聞こえるわけではないのだそうだ。そのかわり人が出す感情が色で判るらしい。悪い事や嘘等は黒やどす黒い赤だったりするらしい。ただ、強い思いや念があると言葉とか文字とかも見えるらしい。


「けど、心の奥底にはまとわりつく様な醜い嫌なものを感じました。それにあの魔宝石から、助けを求める声が、それと、リデリア、と云う文字が浮かびました。」


シアがその時の事を思い出して話すその顔には嫌悪感が漂っている。


「姫様が体調を崩してまで手に入れた情報、無駄には出来ないわね。」


母様がシアに微笑む。


「カーナ、頼める?」

「はい、リデリアという名前の魔導加工師を探せば宜しいのですね?」

「リーシェンには、」

「ダルナン商会に張り付きます。何か動きがありましたら連絡いたしますので。」


さすが、カーナとリーシェン、母様の指示を言われなくても解るあたり二人とも出来るメイドを実践してる。俺も頑張らないとな。


「シア、そのリデリアとい魔導加工師を救いに行こう!」

「はい! レン様!」

読んでいただき有り難うございます。

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